■ バッハのコーヒー・カンタータ

 イギリスに遅れること20年あまり、1670年になってドイツにコーヒーが入り、1679年にはドイツ初のカフェが登場。ロンドンのコーヒーハウスが女人禁制であったように、ドイツでも女性はコーヒーを飲むべきではないという風潮がありました。これに反発する女性の声を代弁し、ドイツでのコーヒー騒動を風刺したのが、バッハの「コーヒーカンタータ」です。

 本来は「おしゃべりをやめてお静かに」という曲名であったのが、今では「コーヒーカンタータ」として有名になっています。もともと、コーヒー愛好家であったバッハは、『お静かに、おしゃべりめさるな』というカンタータをライプツィヒのカフェで、自ら指揮棒を振り初演しました。これが、俗に『コーヒー・カンタータ』と呼ばる、風刺喜劇になったのです。

 歌詞は、当時の人気詩人・ピカンダーによるもので、
「千のキスよりすばらしく、マスカットぶどう酒より甘いわ。」

「コーヒー、コーヒーはやめられない」という娘に対して、
「コーヒーをやめないなら外出禁止だ」という父との掛け合い、

さらには家中を巻き込んでの大騒ぎが展開されるというものです。

 この歌詞は当時かなりの評判を呼んだそうで、バッハ以外にも2~3人の作曲家が曲をつけたといいます。

 

戻る