■ インスタントコーヒーの発明

 インスタントコーヒーの発明者はシカゴ在住の日本人化学者・加藤サルトリ氏です。1899年、緑茶の即席化の研究途上、コーヒー液を真空乾燥で粉末にするという画期的な実験に成功し、日本で売ろうとしましたが、時代が早すぎて売れる目当てがなく、2年後1901年「パン・アメリカン博覧会」に「ソリュブル・コーヒー」として出品しました。ソリュブル(soluble)とは溶けるという意味です。香りが出しにくいという欠点があり、 商品化されることはありませんでした。
 1906年、アメリカ人G・ワシントンが、別の改良した製法で特許をとり、1909年に「G. Washington Instant Coffee」として商品化しました。
 先に発明した加藤サトリ氏よりも、後のワシントン氏の方が商品化された事は日本人としては残念なことですが、日本ではインスタントコーヒーの発明元年は加藤氏の発明の1899年とされて いる事が多いようですが、実際に特許を取得したのがワシントン氏であるため、ワシントン氏が発明者とする文献も多くあるそうです。
 なお、加藤氏がどのような研究を行っていた人物なのかは不明です。また、製造法が違うと言えども、どうしてワシントン氏が加藤氏の発明があるにもかかわらず特許を取得できたのかも謎だと言われています。
 ちなみに、大量生産をはじめたのは、1938年に「ネスカフェ」の商標で発売した「ネッスル社(現ネスレ社)」です。1930年のブラジルのコーヒー大豊作における価格暴落を憂慮したネッスルがインスタントコーヒーの製造技術を完成させた事により可能になりました。1950年頃からネッスル社はネスカフェの輸入を開始、1960年には国産メーカ(不二家)の インスタントコーヒーも登場し、1964年からはネッスル社も日本国内生産を開始しました。
 ネッスル社はフリーズドライ法で製造されたインスタント・コーヒー「ゴールドブレンド」を 開発し香りの差を強調しました。いわゆる「違いのわかる男」というキャッチフレーズは有名です。

 

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