■ 2019年9月 ブログ

温かな珈琲の季節

 毎日、数人の方がコーヒー豆を買い求めるため来店されます。そのほとんどの方はリピーターの方なので、豆選びやレジ入力の際に言葉をかけ、いつの時間帯に飲まれるのか、何人分誰が淹れるのか、どんな器具で淹れるのか、そんな会話をしながら、時には世間話を通じ、お客様の家庭の様子を垣間見たりします。

 独身の方が一人で淹れたり、夫婦であったり、親子で飲んだり、多い方は一度に4人分を淹れたりと、その家庭でコーヒー飲まれる光景は様々です。ですから、温かな珈琲の季節といっても、コーヒーの温度の感じ方は異なるのかもしれません。

 そんな季節の変わり目に、最近来店されない方がいたりすると、「あの方のご主人、入院するって聞いていたけど、無事退院されたのかな?」とか、「奥さんが授乳期でコーヒーを控えているのかな?」などど、少しばかり気になったりします。

 そんな時、「今日は飲んでいこうかな。」と、普段はコーヒー豆を購入するだけで帰られる方が、カウンターに座って会話を楽しみながらコーヒーを飲まれると、家庭とは違ったコーヒーの温度で飲まれることでしょう。 

人それぞれの「温かな珈琲の季節」を楽しんでほしいと思う、今日この頃です。 

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受動喫煙対策義務化のお知らせ

 火曜日は親戚の葬儀出席のため、お店を臨時休業にしました。昨年末から三度続いて身内の葬儀があり、中には60代で亡くなった方もあって、自分はこうしてまだノホホンと生き、好きなことをやって毎日過ごし、食べ過ぎと言われるくらい全部食べ、興味のある場所ヘはせっせと出かけ、くだらないブログを書き続けています。まったく罰当たりで、限りのある人生をこんな使い方でいいのかと思いながらも、少しだけ美味しいコーヒーを提供しているから許してもらえると自分に言い聞かせています。 

 そんな時、東濃保健所から一通の封書が送られてきました。宛名の下には「受動喫煙(たばこ)対策の義務化に関する説明会のお知らせ」と大きくあり、「20204月から、法律に基づき、原則店舗内での喫煙が禁止となります。」と補助説明があります。健康増進法改正によって、望まない受動喫煙による健康影響をなくすため、店内禁煙ということです。 

 今回の健康増進法改正では、学校・病院・児童福祉施設等、行政機関は、令和元年7月1日から原則敷地内禁煙となり、上記以外の施設等(事務所・工場・飲食店など)は、令和2年4月1日から原則屋内禁煙となります。ただ、喫煙を認める場合は、喫煙専用室などの設置が必要となるため、受動喫煙対策の義務化に関する説明会を開催するので参加してくださいといった内容です。喫煙専用室などを設置する場合は「喫煙可能室設置施設届出書」が必要ですから、その基準に合わせた改装費用が発生します。 

 とはいうものの、「まめ蔵」では開業当時から禁煙にしており、分煙にする気もないですし、このまま店内禁煙でいこうと考えているため、保健所の説明会に行く必要もなく、特段、お客様へ周知することもありません。これまで、「ここは禁煙ですか?」尋ねられた際には、「禁煙です!!」とはっきり伝えていたこともあり、そうしたお客様は二度と来店されることはありませんでしたから、禁煙による影響は来年4月以降もないでしょう。 

 むしろ、この改正によって、喫煙者である店主が一番困るのではないでしょうか?私は全く喫煙をしないため、タバコが切れて悶えるような感覚が理解できないこともあり、どれくらい影響が出るのか想像できません。 

 先日亡くなった親戚も、いったん病院から退院して家に帰った途端、家族に「タバコを買ってこい!」と暴れて困らせたという話を聞き、ますますタバコが嫌いになった私は、愛煙家に「可愛そうに。」という言葉もかけられないのです。

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コーヒー催事の詳細追加

 朝晩めっきり涼しくなったこの季節、温かなコーヒーがのみたくなりますね。そんな時に、先日ご紹介したコーヒー催事の一つ、「タチ、タチ、タチ。ツーツーコロコロ。×篠田康男×鳥目散帰山人」というイベントの詳細が分かりましたので、追加でご案内します。 

 

7.0」コクウ珈琲10周年記念/大坊珈琲店・大坊勝次氏の珈琲とおはなし

 数年前から大坊さんをコクウ珈琲にお招きしたいと考えていました。それが今回の10周年記念で実現することになりました。38年間、変わらないスタンスで続けてきた大坊さんの「珈琲屋の姿勢」は、わたしを含め皆さまにも深く響くと思います。大坊さん、長年大坊さんと親交のある鳥目散帰山人さんとご一緒に楽しいひとときをお過ごしください。(コクウ珈琲・篠田康雄

日時/20191116 [

13:0015:0012:30開場) 

16:0018:0015:30開場) 

 各定員25名【予約制】 

 会場/ コクウ珈琲 ?505-0042岐阜県美濃加茂市太田本町1-7-1) 

 内容/◎大坊氏がネルドリップでコーヒーを2杯淹れてくださいます(お菓子付) 

◎大坊勝次×鳥目散帰山人×篠田康雄のトーク 

料金/ 各回4,000円 

【予約・お問合せ】 

info@s-riverbed.com 

お申込みはメールのみ受付いたします。必要事項を下記のアドレス宛にお送りください。追って、こちらからご連絡します。(返信メールをもって、受付完了となります。ご注意ください。) 当日、大坊氏のコーヒー豆を販売いたしますが、数に限りがございます。購入希望の方は予約の際にお申し付けください。おひとり1袋(100g)とさせていただきます。 

※必要事項 

1.お名前 2.参加人数 3.お電話番号 4.参加希望の回(①又は②)5.大坊氏のコーヒー豆購入希望の要否 

 

 時々、他店でのコーヒーイベントを紹介することがありますが、正直、全く抵抗がありません。コーヒーは嗜好品です。好みも人それぞれであり、「これがベストなコーヒー!」なんてものは無いと考えています。ベストだと考えているのは珈琲屋の店主であり、それがそこの店の味なのですから、その味が好きな人が集ってこそ、その珈琲屋の存在が成立するのです。 

 ですから、中煎りから中深煎りが中心の私の店では、お客様の好みを聞いて、お客様の好みに合いそうな店を紹介もします。だって、コーヒー好きの方に満足していただきたいですから。自分のコーヒーが世界一美味しいとは思っていませんし、また、そうなりたいとも考えていません。ただ、帰り際に「コーヒー美味しかったです。」の一言に喜びを感じているだけです。 

 今回のコーヒー催事も、私の店では経験できないことですから、貴重な時間となること間違いなしです。なので、大いにPRさせていただきます。イベントのタイトルに「7.0」とあるのは、大坊氏の独特な焙煎度を表す数字です。具体的なことは当日詳しく聞いてください。でもね、大坊勝次氏と鳥目散帰山人さんとの絡みですから、他では聞けない話についつい深みに入り、自分の行くべき道に戻れなくなるかもしれませんので、くれぐれもご注意申し上げます。特にコーヒーマニアの方は。

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山之上で梨狩り

 祝日の月曜日は、私にとって「家庭の日」でもあります。サラリーマン時代は土日祝日が休みだったこともあり、家の用事をする機会が多かったものの、今ではほとんど妻に任せっきりになっています。ですから、祝日の月曜日は、様々な用事を与えられ、せっせと(多少手抜きしながら)こなして家庭サービスをするのです。 

 今回、事前に妻に尋ねると、「梨狩りに行きたい。」というリクエストです。どうやら、先月、娘達が桃狩りに行ったことを聞いていたので、自分たちも〇〇狩りがしたいと調べ、二十数年ぶりに美濃加茂市にある山之上観光果樹園へ梨狩りすることに決めたようです。 

 山之上地区では、幸水、豊水、二十世紀、愛宕、新雪、晩三吉といった梨が作られ、これら梨の生産量では県内一を誇っています。そして、山之上観光果樹園では、8月中旬から下旬は幸水梨、9月上旬から10月中旬は二十世紀梨の梨狩りが楽しめます。なので、この時期は二十世紀梨の梨狩りとなりました。 

 子供の頃は、長十郎という甘味が少なくザラつき感のある梨を食べ、いつごろか瑞々しくて甘い二十世紀梨に変わってきました。その頃は何て甘いんだろうと思っていた二十世紀梨も今では食べなくなり、果汁がたっぷりで甘味があり、酸味・渋みはほとんどない豊水や、柔らかくて甘味が多く、酸味もややある幸水を食べるようになったのです。 

 ですから、スーパーで二十世紀梨を見ても買うことのなかった梨でもあり、「二十世紀梨の梨狩り?」と思っていたのですが、果樹園で食べる梨は全く別物でした。何せ完熟なので甘い!そして、梨を剥く際に果汁が滴り落ちる水分量に驚きます。正直、「二十世紀梨ってこんな梨だったけ?」と言葉が出るような感想を持ちました。 

 県内一の梨の生産量を誇る山之上地区ですが、梨の生産量は千葉県や茨木県がダントツに多く、岐阜県は23位(平成28年)となっているため、他県の人にしてみれば「そこ、どこ?」ということになります。確かに、山之上地区で梨の栽培が始まったのは昭和78年頃だと言われています。 

 明治時代、当時の山之上村の上野地区は、上野ヶ原といわれ、海抜140メートルの広漠とした小松原の原野で、土壌は、赤色粘土質のやせた土地であったそうです。したがって、農地としては利用されず、旧陸軍岐阜部隊の演習地となっていました。明治末期になって八百津町からの移住者が開田を試みますが失敗し、大正10年ごろにも、別の移住者が開墾して、柿・梅・栗・桐等を植え始めますが失敗しました。 

 そんな時期に、山田仲三郎という人が雑草の中に1本の稲穂を見つけて開田に乗り出し、45畝歩の水田開発に成功します。そして、大正133月には、佐口佐太郎という人が果樹の苗を植え付けるため1坪開墾し、柿の新植を始めました。昭和5年の春には、大霜の害があり、各地の果樹栽培地帯は大被害を受けますが、山之上は地勢上その害が少なかったこともあり、新聞紙上にこのことが掲載されると、西濃方面や県内外より入植希望者が急増します。そこから、ぶどうや柿の出荷が始まり、さらに梨が植えられて、長十郎・二十世紀の2種類が出荷されるようになります。(美濃加茂市史:通史編より抜粋) 

 そんな歴史を感じながら、甘く果汁のしたたる梨を食べたのでした。 

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お寺でアート

 瑞浪市稲津町小里にある興徳寺で、920日(金)から26日(金)の間行われている、地元の画家で2016年に亡くなった、西尾征一郎さんの作品展を妻と共に見に行ってきました。 

 西尾さんは、熱病のため生後間もなく聴力を失いなだらも、65歳まで土岐市内の製陶所で、絵付けや彫り付けの仕事に従事してきました。製陶所の仕事に就く前には看板屋で働いていたこともあり、20歳頃から本格的に創作活動を始め、独学で絵を描き続け多くの作品を残しています。 

 手話サークルで講師を担当していたこともあり、私達にとっても関わりが深く、個展の通訳に同席したり、二科展や独立展へ作品を見に行ったものです。今回は、興徳寺の檀家でもあった縁から、お寺での遺作の展示が行われ、亡くなった後でも作品を通して偲ぶことができました。 

 お寺でアートって中々素敵な企画です。私も一応地元の寺の檀家となっているものの、お寺に足を向けることはめっきり減りました。お盆に施餓鬼旗(せがきばた)をもらいに行くくらいですから。今回、興徳寺の座敷で行われた作品展には、手話サークルに関わる人以外にも、地元の檀家の方々が次々と訪れていた光景を見ると、お寺の在り方を考えさせられます。 

 稲津町小里にある興徳寺は、戦国時代から江戸時代初頭にかけてこの地を治めた旗本小里氏の菩提寺として建てられた寺だとか。この寺にある木造菅公像は岐阜県指定文化財に指定されていたり、茶壺も小里氏の支配地であった恵那郡大川村(現・瑞浪市陶町大川)に所在した大川窯の陶工、羽柴与左衛門景度の作品と伝えられており、瑞浪市指定有形文化財となっています。 

 そんな古びた寺を後にしながら、芸術に触れた貴重な時間を楽しんだのでした。「芸術の秋」先取りってか? 

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WCR年次報告書2018

 昨年5月に、「WORLD COFFEE RESEARCH」の年次報告書2017日本語版を読んでいたことから、6月以降、時々2018日本語版が出ていないかチェックしていました。ところが、9月になっても見当たらなくて忘れかけていたところ、例のごとく例の方が教えてくださり、こうして読んでいる次第です。 

 ついでに、2017版も出して読み比べたのですが、目次を見ても2017版と2018版とでは、 

WCRとその活動について 

WCRのパートナーシップ・アプローチ 

・財務状況 

・運営チーム・メンバー・パートナー 

と共通の文言があるものの、中心となる内容についての目次では、 

2017】 

コーヒーのサイエンス・ギャップ 

世界的品種改良プログラム 

健康な苗木を生産者の手に 

中央アメリカにおけるコーヒー葉さび病 

ビッグデータとビッグコラボレーション 

2018】 

先端研究 

応用研究 

多地域実証試験 

農場試験 

技術継承 

と、まるで表現が異なっています。その違和感は直ぐに本文を読めば分かり、翻訳を人間が行ったものと、自動翻訳機が行ったくらいの差があったのです。だから読むのがしんどい! 

2017年版は、2050年問題を掲げて進めていきますが、2018版では、干ばつやサビ病、低価格によって、コーヒー生産者がコーヒー栽培を止めてしまうというところから進めています。 

冒頭の図の「技術のパイプライン」で示されているように、アラビカ種のDNA解析によって、アラビカ種ゲノムを世界中の研究者が利用できるように公表し、品種改良による品質特性を比較的早い段階で判断できるような応用研究を行っています。さらに、世界の育成拠点での試験栽培を経て、実際に農園試験を行い、生産者への技術継承を行い、農家がこれからもコーヒー栽培が続けられるようにというストーリーです。 

確かに、そうした技術のパイプラインが全てのコーヒー農家に届けば良いのですが、世の中がそうであるように、そのパイプは途中で途切れてしまうのでは?と思います。誰かが良いとこ取りや、独り占めなんてことが起きるのではと危惧しているのですが、考え過ぎでしょうか。 

また、今回の年次報告書ではロブスタにも触れており、最初の国際的共同および基礎的ロブスタ研究会が行われたことも記されています。将来的にはアラビカの生産量をロブスタが抜く日が近いのかな?いろいろ考えさせられる年次報告書です。

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明石焼き?たこ焼き?

 先日、UCCコーヒーアカデミー神戸校に行った際、めずらしく店の前に並んで外食しました。いつもなら、会場近くにあるイケアのフードコートで、ホットドッグとドリンクのセット(200円)で済ませるのですが、1時間程予定よりも着いたこともあり、三ノ宮駅前にある、さんプラザ地下1階の明石焼きの店「たこ焼たちばな」へ行きました。 

 せっかく神戸に来たのだから、やはり地元で知られた食べ物にしたいと思い、店の前に来てみると、既に何人もの方が順番待ちをしています。しばらく並んで待っていると、店員さんが「一人ですか?」、「カウンター席が一つ空いたので先に入ってもらいます。」と、運よくおカウンター席へ案内されます。 

 席に着くなり「一人前ですか?」と間髪入れず注文を聞かれ、「はい」と返答したものの、店内に貼られたメニューを見ると「たこ焼き」とドリンクしかないので、選択肢は何人前で注文するしかなかと気付きます。直ぐに、急須っぽい器に入っただし汁と三つ葉が出され、しばらくすると、板の上に整然と並べられた「たこ焼き」が運ばれてきます。 

メニューの張り紙の横に、「蛸は明石の活き蛸」と書かれていたので、その蛸を味わいながら食べてみるかと箸をにぎります。以前、妻と共に姫路城を見に行った際、明石市に立ち寄って老舗の明石焼きの店に行った経験から、明石焼きを崩さず上品に食べるのは駄目なことは知っていました。まず半分に割って、出汁を一杯に吸わせ三つ葉と絡めて口へ運びます。勿論、出汁も一口。お茶漬けを食べてるような感じでしょうか。 

 そうやって「明石焼き」を食べ店外に出た際、店の看板をみながら「なんで明石焼きの表示ではなく、たこ焼きにしているんだろう?」と疑問に思います。そこで、セミナー会場で席が隣になった地元の方に伺うと、神戸では、出汁につけて食べる「明石焼き」を、普通に「たこ焼き」と呼んでいるそうです。また、今のように出汁椀が別に出るのではなく、神戸では最初から大きめの椀の出汁の中に、たこ焼き数個が入った状態で出されることが多かったのだそうです。「へ~!」 

私が食べた「たこ焼きたちばな」では、たこ焼きの出し方こそ「たこやき台乗せ」、だし椀が別につくスタイルに変わりましたが、今でも明石焼きではなく「たこ焼き」の名前を大切にしており、昔から食べている神戸っ子にとっては、「たこ焼き」を「明石焼き」と呼ぶのには抵抗があるということでした。 

ちなみに、明石観光協会によると『江戸時代の末期から明石の重要な産業の一つとして「明石玉」が作られていました。「明石玉」とは、卵の白身を接着剤に硝石などを固めて作られた模造サンゴのことで、かんざしなどの装飾品に使われていました。明石焼(玉子焼)の起源は諸説ありますが、当時、大変人気を得ていた「明石玉」を作る過程で大量に残った卵の黄身と、小麦粉さらに明石でたくさん捕れるタコを入れて作られたものが、明石焼(玉子焼)のはじまりと言われています。』というように、明石でも「明石焼き」と言ったり、「卵焼き」とも言うそうです。

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ダテータ農園のカッピング

 ブラジルのミナスジェライス州・パトロシーニョ市に位置するダテーラ(Daterara)農園は、 2750haという広大なブラジルを代表するコーヒー農園です。2750haというと釧路湿原の2,700haと同じくらい、もっと分かりやすく言えば山手線の内側とほぼ同じ広さになります。

 今回、そのダテーラ農園で取り組まれている、エアロビック・アナロビックといった、味わいの多様性を産み出すプロセスのコーヒーをカッピングするため、神戸にあるUCCコーヒーアカデミー神戸校へ行ってきました。

 ダテーラ農園では、クラシックラインと呼ばれるブラジル独特の香味を待つ豆が75%生産されており、残り24%がコレクションラインと呼ばれ、よりエレガントで、より甘い特性を持つ豆、さらに、今回カッピングを行ったマスターピースと呼ばれる1%のコーヒー豆が生産されています。

 ブラジルでは、フレーバーやテイストに大きく影響を与える天候、土壌、地形や標高が他の国と比べて特筆すべきものが少ないため、一般的にシンプルなコーヒーのイメージが付いています。そこで、この農園では、120種類もの品種がテスト栽培され、マスターピースと呼ばれる実験的な発酵処理方法が4年前から行われています。

 この農園を知ったのは私が珈琲屋を始める前で、各地のコーヒー農園の動画を探していた際に、この動画を見つけ、手摘みをしている中米やアフリカの産地との大きな違いに驚いたものでした。そして、今、その農園で試験的に作られているマスターピースのカッピングをする機会を持つことになり、何かの縁を感じることになったのです。

 カッピングは15種類あり、ニュークロップオークションロットの斬新なコーヒー豆ばかりです。一般的には個々のロットに対して、豆の品種や精製方法のみを明記するのですが、この農園ではブラジルの音楽や神話になぞらえたネーミングを付けており、今年はブラジル文学の主人公になぞらえたネーミングになっています。そして、各カップの上にはその主人公のイラストが並べられるという、ちょっと趣向の効いたカッピングです。

 その15種類の中で、前回記したファーメンテーションの特徴のあるエアロビックは2種類、アナエロビックは11種類、そしてハニーが2種類となっており、圧倒的にアナエロビックが占めています。こうなると、どれも甘くてフルーツの香りが漂い、桃なのか、トロピカルフルーツなのか、ベリー系かメロンかってくらい、口の中がフルーツの香りが広がります。どれも新鮮で美味しいのですが、毎日飲みたいコーヒーかといえば考えてしまいます。

 興味を引いたのが、それぞれに使用されているコーヒー豆の品種です。Catucai Gesha くらいは知ってはいたものの、Naomi  Catigua  Acaua  Laurina  Aramosa  Guara  Arara といった豆が本来どんな味覚特性があるのか全く経験がなかったので、ファーメンテーションによる変化が分かりませんでした。さて、この中から将来有望なコーヒー豆となるものが生まれるのでしょうか? 

ファーメンテーションの説明では、同じエアロビック(Aerobic)でも水の多い少ないで差を設けたり、アナエロビック(Anaerobic)では、バケツ程度の小ロットで実験したり、様々な菌を加えたり、発酵温度をコントロールしたりと多様な取り組みがされています。そうして作られた15種類のロットは200kg程度の小ロットではあるものの、ユーザーの嗜好を知る上での貴重な意見に繋がると考えており、栽培の難しい品種であっても、将来を見据えた実験的な取り組みには大きな意味があります。

 「ダテーラ」とは、ポルトガル語で「母なる大地から」を意味する言葉のようです。1902年にイタリアから移民としてコーヒー農園を始めるも挫折し、その後、自動車部品メーカーとして国内に200店を構える会社となります。そして、1976年に再度「母なる大地」へ農業という形で投資が始まった経緯があります。だからこそ、他には真似のできない企業的な商品開発が行われるのかもしれないと思ったのでした。

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コーヒー催事

 総務省による「平成28 年経済センサス-活動調査」によれば、喫茶店の店舗数は全国で67,198店舗あるそうです。平成3011 日の人口で1店舗当たり人数を計算すると、東京都が2032人に対して、岐阜県が738人、愛知県が970人と、この地方の喫茶店文化が盛んなのかが分かります。しかし、コーヒーの催事は先日東京に出かけたように、主に関東や関西に集中しているのが現状です。 

岐阜県の田舎に住む者として、毎回苦虫を噛む思いをしていたところ、お客様から近くで行われる「コーヒー催事」の情報を頂きました。比較的近場で11月に集中していたこともあり、ここに書き留めておきます。 

11月4日(月・祝)14:0016:00 

 名古屋市中区大須で行われる「やっとかめ文化祭 寺子屋」の中で、「名古屋コーヒー学」と題して松屋コーヒー本店前のセミナールームで行われるイベントです。講師は松下和義氏(松屋コーヒー本店)と鳥目散帰山人氏(日本珈琲狂会)の二人で、「名古屋の喫茶店文化を支えてきたのは、なんといってもコーヒー豆の卸企業が多く存在したから。大正8年にコーヒー豆を販売していた老舗企業で、名古屋のコーヒーの歴史と文化を学ぶ。後半は、名古屋発祥の抽出法を実際に体験して、その場で味わいながら、名古屋独自のコーヒーについて考察しよう。」という内容のようです。 

 普段使用されていないセミナールームは、地下鉄鶴舞線「上前津」駅9番出口より徒歩2分の、松屋コーヒー本店前の衣料店ベルモールの店頭脇に入口があるということですが、私には見当がつきません。会費は2,500円で、松屋式の金枠とフィルターのお土産つきですから、意外と良心的なお値段かも。気になるのは、松屋の会長が暴走するのか?帰山人さんが暴走するのか?見所はそんなところでしょうか。 

 ちなみに、定員は20名で、申し込みは「チケットぴあ」にて! 

もう一つは、 

■11月16日(土)時間は不明 

 美濃加茂市にあるコクウ珈琲で行われるらしい、「タチ、タチ、タチ。ツーツーコロコロ。×篠田康男×鳥目散帰山人」というイベント。詳細は全く不明ですが、「コクウ珈琲にあの男がやってくる」という意味深な言葉があったこともあり、以前、帰山人さんが書いていた「大坊さんは、タチ、タチ、タチ。コロコロコロ。ツーツーコロコロ。」というのがあったので、たぶんその人なのでしょうね。 

 マイペースな人と、たぶん緊張してフリーズしてしまう篠田さん、それをリセットさせる帰山人さん、面白そうな展開が予想されるイベントになりそうです。 

 毎回、お客様から色々と楽しい情報をいただいています。人だけには恵まれている「まめ蔵」でした。

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芋名月

 今年の中秋の名月は、今日の913日なんだとか。今は曇りになっていますが、夜になれば少し雲が切れるようだから、月が拝めるようになるのかもしれません。ちなみに、中秋の名月は農業の行事と結びつき、「芋名月」と呼ばれることもあることから、前回まで作っていたイチジクのロールケーキに代えて、種子島の安納芋を使ったロールケーキを作ってみました。

  生地には紅芋パウダを加え、変色を抑えるためにレモン汁を入れます。ロールケーキの中心には、安納芋に生クリームを足して少し練り、棒状にしたものを生地の上に置いて巻きました。中心が満月のお月様みたいで気に入っています。まさに「芋名月」なのです。 

 こうして、日々季節を感じながらお菓子作りをしている以上に、季節や気温、さらには気圧に影響を受けやすいコーヒー豆の焙煎をしていると、あっという間に半年、いや一年が経過していくのを強く思います。さあ、残り2種類ほど焙煎を続けましょうか!

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エチオピアコーヒー

 東京へ向かう電車の中、頭の中をコーヒーモードにしておうと、Amazonnプライムでダウンロードしておいた「おいしいコーヒーの真実」(2006年)を見ます。コーヒー原産国であるエチオピアの光景を見ながら、「貿易の不公正なシステムがあると言ってるけど、エチオピア国内に問題もあるんじゃないの?」とか、「公正な取引がフェアトレードなんて決めつけんじゃないの!」、「貧困に苦しむコーヒー農家の人々を救うために、恵んであげるみたいなのはヤダ!」と声に出さないように呟いておりました。 

 そうこうしていると品川を経て新橋に着き、ゆりかもめに乗り換えると、「運転手の居ない機械仕掛けの乗り物に乗っている自分に気づき、ほぼ全ての工程を手作業によってコーヒー作りをしている人の気持ちが分かるんだろうか?」などと分かった気になっている自分を諌めたりもします。 

 そんなコーヒーモードの頭にの仕込んでおいて、会場に入るなり各ブースを回って試飲しまくります。正面のコロンビア、右に回ってパナマ、インドネシアを中心としたアジア方面、今年は雲南珈琲のブースが広くなっていると驚きながら、UCC、ジャマイカを巡り、ハリオ、小川珈琲、カフェバッハ、さらにはサザコーヒーを飲みます。

 そうそう、生豆商社の試飲もしなければと、古いウイスキー用オーク樽に貯蔵して一定期間エイジングした豆や、エチオピアのグジ地区ゲイシャ・ナチュラルなどを確認した後、『コーヒー発祥の地・エチオピアコーヒーの魅力』と題した産地セミナーに参加します。

 セミナーでは、エチオピア駐日大使をはじめ、コーヒー庁総裁、コーヒー輸出協会会長といった政府側の話と同時に、JICA技術力プロジェクトによる、エチオピア南西部の高地で、アラビカコーヒー発祥の地といわれる森林コーヒーの保全と付加価値化高める活動の報告がされます。 

 政府側はコーヒー豆の生産量アップ掲げる同時に、他国と比べて取引価格が低すぎると不満を述べ、JICA側は希少な品種の宝庫である非効率な森林コーヒーを守るという、なんだか矛盾した意見が同時に聞けるセミナーでした。

 何が正しくて、何が誤っているのか?目に見えるものが全てではないことを、映画「おいしいコーヒーの真実」と同様に考えさせられる時間となったのです。

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Nutraceutical Coffee

 昨日は、土岐市駅69分発の電車に飛び乗り、一路東京ビッグサイトへ向かいました。毎年行っているSCAJのイベントの「SCAJ2019」に行くためですが、そのイベントでは出来るだけ産地セミナーに参加することにしており、今回は、『 Nucoffee コーヒー精製の最先端のその先へ 』と題したセミナーを申し込んでおいたのです。副題が「クロロゲン酸影響下においてスペシャルティコーヒーの生産は可能か?」であり、「Nucoffee」、「クロロゲン酸影響下」といった言葉に惹かれた訳です。

 Nucoffeeは、ブラジルの4,000以上のコーヒー生産者が関わっている団体で、生産性・差別化を通じて高品質のコーヒーを生産することを目的としており、生産者がコーヒー栽培の技術を引き上げるための必要なすべてのサポートを提供しています。

 そのNucoffeeが、発酵研究センター(NEFER)とのパートナーシップを持ち、ブラジル Lavras国立大学教授のフラビオ・メイラ・ボレム氏の指導により取り組んでいるのが、今回のセミナーの副題となる「クロロゲン酸影響下においてスペシャルティコーヒーの生産は可能か?」の形になったNutraceutical Coffee」でした。

 何年も前、フラビオ・メイラ・ボレム氏にもとに日本人の研究者たちがやってきて、「未熟豆にはクロロゲン酸が多く含まれるので、これまでの市場にない、人間の健康と美味しさを両立したものが作れないだろうか?」と言われたことがきっかけで、その抗酸化作用を使って、スペシャリティーコーヒーを作ろうと取り組み始めます。 

 未熟豆には、渋み、あるいは渋柿や野草を口に含んだ際の「酸っぱくないけど口の中がキューっと締め付けられる様な感覚」となる収斂性を伴う香りがあります。ただ、発酵豆、カビ、虫食いとは違い、健康に害を与えることが無く、世の中には未熟な物を食べる習慣もあることから、様々な条件のもとで研究を進めたそうです。

 クロロゲン酸は未熟豆に多いものの、熟度が増すほど減少するため、完熟豆と未熟豆を混ぜる中で、未熟豆を3035%にして、薬剤を含ませた特許技術であるNutraceutical」によって、収斂性の伴う香りを減少させて、甘く酸味のあるコーヒー向上させるイノベーションだというのです 

 発表の中で様々な数値やデータが示されましたが、チンプンカンプンなこともあって頭に入ってきませんでしたが、実際にコーヒーを試飲すると、レモンのフレーバーを感じるすっきりしたコーヒーで、ミルクを合わせたものは結構美味しかったのです。 

 コーヒーを使った「健康」というフレーズには、少々嫌悪感があるものの、コーヒー生産時に必ず一定割合で未熟豆が入る中で、その未熟豆を活用した美味しいコーヒー作りが行われることは、コーヒー豆を作る農家にとっても、コーヒーを飲む側にとっても良い事であり、今後どのように進むのか興味が持たれました。 

最後に、サンプルの生豆がもらえたり、通訳の丸山健太郎氏の聞き取り易さもあって、東京までの移動の疲れも少し取れた気がしました。でも、コーヒーは栄養補助食品じゃなくて、ただの嗜好品でいいんじゃないの!

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栗きんとんの日?

 昨日、99日は『栗きんとんの日』だったそうです。そんなことは露程も知らず、前日の旅行の帰りに電車の車内に忘れた帽子を受け取るため、中央西線の終着駅である中津川駅に向かったのです。妻から、「中津川へ行くなら、栗きんと詰め合わせがあるから買ってきて!」と頼まれたので、JR中津川駅前の「にぎわい特産館」へ立ち寄ります。

 この「にぎわい特産館」では、91日から中津川市の和菓子店14店の栗きんとんの食べ比べを楽しめる、「中津川栗きんとんめぐり」というセット商品が発売されています。「風流(ふりゅう)」と「ささゆり」の2種類あり、くじ引きで組み合わせを決めた各7店の商品を1個ずつ詰め合わせ、地元製茶店3店の煎茶1袋(25グラム)を添えており、私は「ささゆり」を購入しました。

 「ささゆり」には、仁太郎・美濃屋・松月堂・ヤマツ食品・信玄堂・しん・七福・御茶の詰め合わせとなっており、妻と半分ずつして食べ比べしてみるものの、甘みの強弱や固さの違いしか分からず、結局、どれも美味しくいただいたのでした。

 気付かなかったのですが、JR中津川駅前には栗きんとん発祥の地の碑があるらしく、毎年99日の重陽の節句が、別名「栗の節句」とも言われることから、その碑の前で神事が行われ、栗きんとんが無料で振る舞われるとのこと。残念ながら私が着いた時には、既に終了していました。

 そもそも、「栗きんとんの日」なんてあったっけ?と思い、中津川観光協会のホームペジを見ると、「山に囲まれた中津川は、県内有数の良質な栗の産地で、昔から山栗を収穫して茹でたり焼いたりして食べていました。茹でた栗を茶巾で絞った栗きんとんの原型に近いようなものも食べていましたが、これが栗きんとんの始まりだといわれています。」とあり、どうやら中津川市で独自に決めた記念日のようです。

 東濃地方では馴染みのある「栗きんとん」ですが、栗菓子としては「栗こもち」という餅を栗で塗したものも有名です。そういえば、地元の「旭軒」でも幟が出ていたので買ってみようかな。

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赤いプレゼント

 9月7日・8日はお店を臨時休業にし、箱根と小田原を旅行してきました。旅行計画を立ててくれたのは娘たちで、私が今年で還暦を迎えることから、娘たち夫婦と私たち夫婦の3組で旅行することになったのです。娘たちが偶然にも相模原市に住み始めたことから、夫婦で二組の新居を初めて訪問し、宿泊先となる箱根へ向かいます。 

夕食の際に、記念品として渡されたのが赤いデジカメです。以前から妻が、「お父さんのカメラは安物だから画質が悪い!」と愚痴っているのを聞いていたためか、使用中の物よりも高画質で、Wi-Fi機能付きです。娘から、「還暦だから赤いものが良いと思い、赤色のデジカメにしたから。」と言われ、赤いパンツやシャツじゃ恥ずかしくて使えないけど、これなら良いと、早速翌日の朝から使い始めました。 

考えてみれば、還暦には赤いものが良いとされていますが、理由がよく分かっておらず、「還暦になるってことは赤ちゃんに戻るっていうから、その赤から選ばれるんだ。」と思っていましたが、どうもそれだけではないさそうです。 

確かに、理由の一つには、「赤ちゃんになぞらえて赤色を選んでいる」というものがあり、干支は60年で一周して、その人が生まれた暦に戻るので、その人は再び赤ちゃんとして人生の再スタートを切ったということを意味すると考えられているそうです。そのため、赤ちゃんになぞらえて、赤い物を贈り物に選ぶのだというのがこの理由なんだとか。 

 他には、「赤は古来より特別で神聖な色とされているから」というものがあり、古代においては、酸化鉄から作り出された赤色の占領を使って壁画に絵を描き、呪術的な要素を加えていたということが背景にあるようです。また、五後世ごろには紅花から作られた赤の染料は極めて貴重で、殿上人のみが着用できる色とされていたことからも特別な色のようです。神聖な色といえば、一番イメージしやすいのは神社の鳥居かもしれません。 

 また、「赤には魔よけの意味合いがあるから」という理由もあるようで、つまり、還暦祝いにおける赤色には、魔を退けてこれからの人生における幸福を願うといった意味が込められているわけです。

 これで、夫婦で出かけた際にこのデジカメを使用すれば、喧嘩もせずに、夫婦円満に旅ができるのかもしれません。ご利益があるように大事に使わねば。 

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星の王子さまを読む

 かなり久しぶりに、『星の王子さま』(著:サン=テグジュペリ 訳:内藤 濯)を読んでみました。最初に読んだのは、24歳頃に友人から勧められて読み、その後一度読み返したでしょうか。しかし、読み返したところで独特の世界観に馴染めず、どことなく歯がゆい思いをしたものです。

 ところが、社会人として長く生活していると、王子が出会った星の登場人物である、

  1. 自分の体面を保つことに汲々とする王様

  2. 賞賛の言葉しか耳に入らない自惚れ屋

  3. 酒を飲む事を恥じ、それを忘れるために酒を飲む呑んだくれ

  4. 夜空の星の所有権を主張し、その数の勘定に日々を費やす実業家

  5. 1分に1回自転するため、1分ごとにガス灯の点火や消火を行なっている点燈夫

  6. 自分の机を離れたこともないという地理学者

 といった人物に私自身も出会う経験をします。 

 そして、王子が地球を離れた場所で見た際に、111人の王様、7,000人の地理学者、90万人の実業家、750万人の呑んだくれ、31,100万人の自惚れ、かれこれ20億人の大人が住んでおり、電気が発明される前には、6つの大陸に462,511人の点燈夫を見つけたように、この小さな珈琲屋にも、たぶん同じ割合で訪れる人が居ます。サン=テグジュペリのいた時代と、今も変わらない地球にいることを気づかせてくれます。 

 王子はキツネから、「なつく」、「ならわし」、「大切なものは、目に見えない」ことを教わります。「なつく」というのは「絆を結ぶ」ことであり、仲良くなることで、キツネにとって王子さまは、ほかの10万人いる男の子とは違う特別な存在となり、「黄色く色づく麦畑を見て、王子の美しい金髪を思い出せるなら、仲良くなった事は決して無駄なこと、悪い事ではなかった」と仲良くなることの意味を教えます。 

 「ならわし」についてキツネは、「ある一日を、ほかの毎日とは違うものにすること、あるひと時を、ほかの時間とは違うものにすること。」といい、キツネにとっての天敵である猟師が毎週木曜日には猟をしない日とすることから、その日は安心してブドウ畑まで出かけることができるのだと教えます。 

 さらに、「ものごとはね、心で見なくてはよく見えない。いちばん大切なものは、目に見えない。」といい、王子が故郷の星に置き去りにしてしまったバラの花が、あれこれとワガママを言い、世話を焼かせてくれたおかげで、王子にとって、そのバラの花は特別な存在になったことに気付かせます。一番大切な、費やした時間という目には見えないものだと知るのです。 

そんな、「秘密」を王子はキツネから教えられるのでが、私は友人・知人・家族から教わったのかもしれません。だからこそ、カウンターに座ったお客さまと「絆を結び」、「ならわし」として、時間の許す限りコーヒーに関するイベントに出かけては、「大切なものは、目に見えない」からこそ、コーヒー産地やその国の文化・歴史を知ることで、コーヒーカップの琥珀色した飲み物の先を語り伝えたいと思っているのです。

さて、次回読んだ時には、どんな感想を持つのでしょうか。 

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軽減税率対応色々

 昨日、軽減税率に対応したレジシステムの入力について書いたところ、タイミングよく次のようなニュースが目に留まりました。『牛丼チェーン「すき家」を展開するすき家本部は3日、10月の消費税増税時に導入される軽減税率の適用について、店内飲食と持ち帰りの税込み価格を統一すると発表した。牛丼大手では、松屋も税込み価格をそろえる方針だが、吉野家は店内10%、持ち帰りは8%の軽減税率を適用する方針で、対応が分かれた。』(毎日新聞201993日)

 「すき家」は、消費税率が上がることになる店内飲食の牛丼の並盛りについて、本体価格を値下げし、税込みの価格では持ち帰った場合と同じにする方針を固めたとのこと。これは客側から分かりやすいし、現在の低価格志向は本物だと考えているに他ならないのでしょう。

 また、業界第3位の「松屋」も、税込同一料金を選択しています。確かに、テイクアウト用の容器代を考えれば、増税2%分以上のコストがかかるのですから、テイクアウトの方が安いのは変なような気がします。もっとも「松屋」は自動券売機を使っているので、ボタン設定を変更する必要がないのでいいのかも?

 一方、牛丼の老舗である「吉野家」は、「本体価格を2つにしてしまえば、同じ商品なのに価格が異なる一物二価ということになってしまう」という理由で、「店内では10%、持ち帰りでは8%」の路線を貫くんだとか。イートインでもテイクアウトでも、牛丼の値打ちはイン同じだから単純に消費税を上乗せするという、自分の商品を一番に考えていることが理解できますが、客側にとっては複雑な気持ちではないだろうか?

 牛丼以外では、日本KFCホールディングスグループの日本ケンタッキー・フライド・チキンは、軽減税率制度導入後も、店内飲食とテイクアウトの税込価格を統一すると7月に発表しています。店内の表示は全て従来どおり税込価格を使用し、オリジナルチキン単品の税込価格は増税後も現行の250円に据え置く予定のようです。

 そして、日本マクドナルドホールディングスは6月中間連結決算の記者会見で、10月の消費税増税への軽減税率対応について、9月上旬までに公表すると発表していますが、現在のところ発表はなく、かなり悩んでいるのかな?

 消費増税まで残り1か月を切っており、ややこやしい事例の話題が増えてきそうです。「やっぱり軽減税率って、よくない制度だよな!」って妻に話すと、「来年の6月に終わるんじゃないの?」と、能天気な答えが返ってきました。オイオイ!

 軽減税率は、消費増税と同時に導入すると国税庁が公表しており、軽減税率は例外(経過措置)という位置づけではありますが、「いつまで行うのか」「社会情勢がどのようになったら終了するのか」については言及していないのです。

 妻が勘違いしているのは、201910月~20206月の9ヶ月間、中小店舗でキャッシュレスで決済すると、最大5%のポイント還元がされる制度のことです。経済産業省が行う事業で、『キャッシュレス・消費者還元事業は、2019101日の消費税率引上げに伴い、需要平準化対策として、キャッシュレス対応による生産性向上や消費者の利便性向上の観点も含め、消費税率引上げ後の一定期間に限り、中小・小規模事業者によるキャッシュレス手段を使ったポイント還元等を支援する事業です。』というものです。

 これも軽減税率同様に、ややこやしい事例ばかりで、何だかキャッシュレス化を強引に進めるための方便にも見えます。そう考えると、能天気な妻のようなスタンスの方が、周りに踊らされなくていいのかもしれません。

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美鈴珈琲餅

 午前中に焙煎したコーヒー豆をハンドピックし、一息入れようと、お客様からお土産に頂いた株式会社 天狗堂宝船(北海道亀田郡)の「美鈴珈琲餅」を食べます。天狗堂宝船は昭和28年にカステラ製造から創業を開始し、昭和48年から「きびだんご」の製造を始めており、現在までロングセラー商品となっている銘菓です。

 この「美鈴珈琲餅」は、1932年に函館で開業された、北海道で一番古い老舗の珈琲店である「珈琲工房 函館美鈴」が、創業以来守り続けてきた珈琲の味と香りが口に広がる珈琲味の餅菓子だそうです。早い話、「きびだんご」の珈琲バージョンなのです。

 原材料を見ると、水飴、砂糖、小麦粉、粉末コーヒー、もち粉、あん、オブラート(澱粉)、炭酸Ca、香料(原材料の一部に大豆を含む)となっており、粉末コーヒーの食感が分かるコーヒー豆のジャリジャリした餅になっています。

 一般的にコーヒーの菓子類にはインスタントコーヒーを添加したものが多く、がっかりさせる物が多い中にあって、想像以上にコーヒーの香りが強く、砕いたコーヒー豆が入っているので、明らかに他と違う食感が楽しめます。函館美鈴の創業当時の店舗をイメージしたパッケージデザインといい、北海道開拓時の携行食だったいわれる「きびだんご」を味わいます。

 そんな「美鈴珈琲餅」を口に入れながら、映画「函館珈琲」(2016年上映、監督:西尾孔志)や、2016年の夏に函館で泊まったホテルで飲んだ、「珈琲工房 函館美鈴」の味を思い出してみるのでした。まったく、頭の中も口の中もコーヒーだらけです。 

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レジシステムへの事前登録

 いよいよ2019101日から、軽減税率制度がスタートします。まめ蔵は飲食店であると同時に、菓子製造業として登録しており、クッキーやケーキ、もちろん焙煎豆や抽出器具も販売しています。販売する商品や形態によって軽減税率の対象となるものもあり、レジシステムへの事前登録を行いました。 

 いわゆる、飲食店でのイートインかテイクアウトの区別で言えば、テイクアウト用のドリンクは提供しませんし、ケーキも店内提供分の少量しか作らないこともあって、テイクアウト用の包装箱もないので、税率10%となります。ただ、持ち帰り用のクッキーと焙煎豆が軽減税率の対象になるかを確かめる必要があります。

 政府広報オンラインによれば、『消費税率引上げに伴い、所得の低い方々に配慮する観点から、「酒類・外食を除く飲食料品」と「定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞」を対象に消費税の「軽減税率制度」が実施されます。』とあります。つまり、消費税が上がるけど、生活大変だろうから、酒や外食のような嗜好的なもの以外は税率そのままにするよってことですね。

 そうなると、明らかに食品である持ち帰り用クッキーは対象となることが理解できますが、焙煎豆が「食品」に含まれるのかという疑問です。その点について、国税庁の消費税の軽減税率制度に関するQA(個別事例編)と見てみると。『「食品」とは、人の飲用又は食用に供されるものをいいますので、人の飲用又は食用に供されるコーヒーの生豆は「食品」に該当し、その販売は軽減税率の適用対象となります。』と以前にありました。

 でも、コーヒーの生豆は「食品」だけど、焙煎豆はどうなの?それに、コーヒーは嗜好品なのだから、10%になるの?はっきりと焙煎豆についての回答がなかったので、国税庁の「消費税軽減税率電話相談センター」へ電話照会をしてみます。すると、「食料品の部類ですので、軽減税率が適用されます。」とのこと、よって、コーヒー豆を購入される場合は、10月の消費税増税で10パーセントになっても、軽減税率が適用されかかる消費税は8%のままとなります。

 ただ、これは消費者へ焙煎豆を販売する場合であって、例えば、取引先からコーヒーの生豆の支給を受け、焙煎等の加工を行っている事業者の場合、この「焙煎等の加工」は軽減税率の適用対象とはなりません。このケースでは、取引先からコーヒー生豆の「支給」を受け、焙煎等の「加工」をしているということで、売買が成立していないと考え、今回の内容からは外して考えます。これは飲食店で飲食料品やサービスの提供となる「役務の提供」と同じような分類をするためです。

 なんだか少しややこしいのですが、とりあえず焙煎豆と持ち帰り用のクッキーについては、レジシステムの入力が必要なため、Airレジの「消費税率改定に向けた準備ガイド」の診断チャートを見ていくと、「Dタイプ:軽減税率対象商品の扱いがあり、注文ごとに税率が変わる商品があり、税率改定に合わせて価格の見直しを行わない場合。」に該当しました。店内提供や持ち帰り(もしくは出前)がある飲食料品など、同一商品であっても異なる提供方法で販売する商品がないため、「消費税率改定の準備」画面で、すでに登録してある商品に対して、消費税率改定後に適用する税率を設定します。

 こうしてレジシステムの登録はしたものの、消費税率改定による価格変更はしないつもりなので、商品を全て内税表示にしていることもあって、お客様にとっては何も変わらないことになります。ただ、コーヒー豆やクッキーのパッケージなどは仕入れ値が上昇することとなり、利益率が抑えられることとなりそうです。

 とりあえず、軽減税率制度がスタートに合わせた準備はいいのかな? 

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