■ 2018年10月 ブログ

グアテマラのナチュラル

 9月に行ったSCAJ2018の生豆商社のブースで、数多くのコーヒーを試飲したのですが、その中にグアテマラのナチュラルがありました。グアテマラの一般的な精選方法はウォッシュドで、通常収穫期の最後に水洗式に適さなかったあまりもののコーヒー果実がクロップの最後にナチュラルに仕上げられることがあるようですが、その商品はウォッシュドにも適する真っ赤な完熟果実のみを丁寧にセレクトし高級ナチュラル用に仕上げられた豆のようです。

 生豆の状態でも甘い香りがし、試飲用カップに注がれたコーヒーからは、ブルーベリーやストロベリーを思わせる甘い香りがします。かといって、強くナチュラルを押し出すわけでもなく、いやな気分にはなりませんでした。正直、「グアテマラのナチュラルもありかな?」って思い、サンプル用に取り寄せて馴染みの方へ試飲してもらったのです。

 ところが、反応がイマイチ。「私、ダメ!」とはっきり言われたり、「コーヒーじゃないみたい。」、「なんだかハーブティー。」など、フルーティーさがアダになったようで、評判はあまりよくありません。まだまだナチュラルのコーヒーに慣れていないせいもあるでしょうが、このコーヒーを楽しんでもらえそうにありません。

 けれど、そんな評価を受けながらも、11月には販売を開始しようと決めました。今までに体験したことのないコーヒーだからこそ、こんな小さな町でも特別な体験をしてもらいたいのです。ウォッシュドやナチュラルのことも理解していない人ばかりの店ですが、「なんか違うな?」って感じてもらえればアリだと思っています。

 このコーヒー豆の産地は、グアテマラ南東部に位置するサンタロッサ県の一部で、アナカフェ(ANACAFE、グアテマラ国立コーヒー協会)が定める8つの生産地区の中の「ニューオリエンテ」とは異なる、「オリエンテ」と言われるエリアで生産されています。近年では、このオリエンテエリアでのコーヒー生産も増えており、今後も注目していきたい産地の1つです。

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花壇の植え替えに感謝

 日々の出来事を記録するためのブログでしたが、腰痛に苦しみ出し、週末は悪戦苦闘しながら焙煎をしていました。そんな状況だったのでケーキやクッキーの補充もできず、ブログも手付かずのまま、お客様サービス低下も甚だしくなってしまいました。姿勢が悪いことに気づかれた方から、「マスター腰だね!」なんて言われてしまい、帰る際には食器をカウンターへ運んでくれたり、情けない状態が続いています。

 そんな定休日の月曜日。本来計画していた自宅の垣根の手入れと店舗前の花壇の植え替えは、花壇の植え替えのみ妻に行ってもらいました。毎年二人で行っていた共同作業でしたが、今回は完全に負んぶに抱っことなってしまいました。ただただ妻に感謝という訳です。

 午後からは多少調子の良くなった腰をかばいながら、妻への慰労を込めて瑞浪市に1年前にオープンしたCAFE+BARへ連れ出します。瑞浪市出身のオーナーが、横浜からのカフェバー兼輸入中古車販売をされているお店で、田舎と違って都会的なセンスのお店です。

 美味しいブレンドとニカラグアのパカマラを飲みながら、ブレンド名が「400マイルブレンド」となっているのに興味をもって尋ねてみると、どうやら、80年代に週刊プレイボーイで連載されていた『ケンタウロスの伝説』という漫画で、横浜から神戸まで一杯のコーヒーを飲むためだけにバイクで走ったという「600マイルブレンド」のエピソードにちなみ、横浜から瑞浪市の距離にひっかけてブレンド名にしたとのこと。

 モデルとなった神戸三宮の茜屋珈琲店は昭和41年創業で、味覚だけでなく、陳列された碗皿を楽しむ視覚、店内で流れるクラッシックを聞く聴覚、挽きたてのコーヒーの香りを嗅覚で、口に含んだコーヒーを触覚の、五感で楽しむのが「こだわり」なんだとか。五感で楽しめない人はどうすればいいのかとツッコミたくなりますが、機会があれば訪れてみたいものです。

 ちなみ、私の少年時代は「ケンタウロスの伝説」よりも「バリバリ伝説」でした。 

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カンパーニュ

 コーヒー豆をいただいたことを書いた翌日、今日は「カンパーニュ」をいただいちゃいました。この「カンパーニュ」とは、フランスパンの一種で、フランス語で”田舎パン”や、”田舎風パン”を意味しているんだとか。元々は、パリ近郊で作られ売られていたそうで、素朴な味わいと見た目もあって、パリ市民が故郷のパンを思い出し『田舎パン』パン・ド・カンパーニュと呼んだのが名前の由来だそうです。

 

 このパンを持参された方は、土岐市内でパン教室と日曜のみ販売もしている「ラ・モック」というお店をされており、パンの配達帰りに立ち寄っていただきました。以前もご友人と来店され、カウンターに座ってコーヒーの事など色々と話が弾んだこともあり、ご自身が作られたパンを持ってこられたようです。 

 パンのこと、コーヒーのこと、ブログやホームページ作成にいたるまで、会話は進みますが、ちょうど来店されるお客様が増えたこともあって、遠慮気味にお帰りになりました。本当は遠慮など要なく、延々と話しても構わないのですが、気を遣わせてしまったようです。

 お店を通して日々様々な方が来店され、何かの縁で繋がっていることを感じさせます。「袖振り合うも多生の縁」なんていいますからね。悪いことはできません。(していません)でも、「もらった」、「もらった」って何度も言ってると、欲しいみたいでよろしくないのかな?一応、“来るもの拒まず”というスタンスなので、ご厚意はお受けしますから。

 パンはサンドイッチに合うという話だったので、冷蔵庫にあった野菜とハムを挟んで美味しくいただきました。

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公民館講座

 今回の土岐泉西公民館講座でのコーヒー講座は、トータルで4回目となります。昨年の冬に初めて依頼を受け、春と秋に年2回行うことにしました。毎回内容を少し変えて行っていますが、準備して運び込む道具がどんどん増えていき、来年が恐ろしくなってきます。

 コーヒー講座といっても、たった2時間程度の時間では簡単な抽出方法の説明となるのが残念で、あれもこれも盛りだくさんの内容になってしまいます。けれど、限られた時間では抽出の技術が身につくはずもなく、それならば楽しい実験のような内容にしてしまえと、お店にある豆を選りすぐり、様々な体験をしてもらうことに徹することにします。

 今回は、タンザニアの豆をコーヒープレスで淹れ、半分をペーパーで濾過して飲み比べたり、ブレンドを6個のコップに順に淹れ、抽出の段階でコーヒー液がどのように違ってくるかを確かめてもらいました。

 また、グアテマラのウオッシュドとナチュラル、コスタリカのウオッシュドとブラックハニー、エチオピアのウオッシュドとナチュラルを全員で淹れあって飲み比べを行ってもらったものの、抽出がそれぞれ安定していないので、違いをはっきり感じてもらえなかったようです。

 最後は、パプアニューギニアの生豆を使って手網焙煎を行ってもらったのですが、私がしっかり目配りしていなかったせいもあり、煎り止めが遅くなって真っ黒!極深煎りに仕上がってしまいました。でも、そんな焙煎したての豆を使ってコーヒーを淹れ、質疑応答でお茶(コーヒー)を濁したわけですが、果たして満足してもらえたのでしょうか?

 そうそう、記録し忘れましたが、最初に毎回のごとくロブスタをブラックと練乳入りで試飲してもらったので、トータルで10種類のコーヒーを試飲してもらったことになります。進行が悪く、講師も悪い、それでもってめちゃくちゃコーヒーを飲ませる公民館講座なんて遊んでるって言われても仕方がないですね。だって、本当に遊んでるんですから。

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藩士の珈琲を楽しむ(2)

 

 弘前の成田専蔵珈琲店で「藩士の珈琲」を楽しんだ際、店内で販売されていた「ダンク式珈琲バッグ 藩士の珈琲」を買い求めました。今日は来店客も落ち着いたので、どんなものかとダンク式とやらを試してみたのです。

 コーヒー袋を開けると、コーヒーバッグに金属製のスティックが巻き付いており、スティックをまっすぐになるよう伸ばします。そして、大きめのカップに入れて熱湯160mlを注ぎ、しっかり浸し30秒程待つことに。その後、スティックを持って上下に動かす動作を1分間行って、コーヒーを適当な濃度まで抽出します。

 そうなると、ダンク式と謳っているものの、ダンク(dunk)には「液体につける」といった意味がありますが、これは上下に動かすところがミソなので、アップダウン(up down)式、いやアップ・アンド・ダウンup and down)式が良いのではと思ってみたり、使用しているコーヒーの量が8gと少なめと、妙なところが気になってしまうのでした。

 やはり、藩士の珈琲と言うからには豆を臼で挽いて袋に詰め、土瓶で淹れるスタイルでなければ雰囲気が味わえないというものです。当時と比べ物にならないくらい良いコーヒー豆を使用している筈なので、せめて形だけでも似せないと意味がないと感じました。

 そうやって遊んでいると、以前から調子の悪かったプリンターがとうとう使えなくなりました。「こりゃ困った!」と修理か買い換えか迷い、悩んだ末に選択したのが中古品の購入です。新品の半額以下の商品を見つけて「ポチッ!」と注文。ところが翌日届いた箱を開けると、あれ?CanonのはずがEPSONのプリンターが入っています。着払いで返送処理し、販売元へ電話連絡して再送依頼しましたが、結局アタフタするばかりで、棚に並んだコーヒー袋はラベルを貼らないままです。

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冬をやり過ごす

 青森県では紅葉が始まっており、奥入瀬渓流は黄色い木々と苔の緑、一部の木が紅く染った色のコントラストが美しく、八甲田は一面の紅い山が燃えているかのように見えました。ところが、お店の周りの紅葉はまだまだ先のようで、近くにある八剣神社のイチョウは青く、ハナミズキが紅くなった程度です。11月中旬には市内の数か所で紅葉のライトアップが行われる予定ですから、できれば散策しようと思っています。

 紅葉を見ると何となくセンチメンタルな気分になります。それは、勢いのあった濃い緑から黄色や紅に染まる光景が老いるように見えたり、なによりも落葉が人生の終焉をイメージさせるのかもしれません。けれど、落葉広葉樹にとっては冬をやり過ごす逞しい選択だったりします。

 樹木には葉の形や構造によって、細い葉を持つ針葉樹と、表面積の大きい葉を持つ広葉樹とに分けられ、さらに、1年中緑の葉を持つ常緑樹と、秋から冬に葉を落とす落葉樹があります。針葉樹のほとんどは常緑樹ですが、広葉樹には常緑樹と落葉樹があり、それぞれを常緑広葉樹、落葉広葉樹と呼び、秋になると葉の色が変わるのが落葉広葉樹です。

 この落葉広葉樹は、冬が近づいて気温が低くなり、雨が少なく乾燥しやすい条件では、光合成の効率が悪くなります。葉が光合成で生産するエネルギーより、葉を維持するのに必要なエネルギーの方が多くなると、樹木自体を維持することが困難になるため、自ら葉を落とし、できるだけエネルギーを消費しないように冬をやり過ごすプログラムが遺伝子の中に組み込まれているらしいのです。実に合理的な逞しい選択をしているのが分かります。

 そして、葉の付け根に離層と呼ばれる組織がつくられ、そこで葉が茎から離れることで引き起こされるのが落葉です。この葉を落とす前に、葉の中に残った栄養分を再利用するため、葉の光合成色素を分解して、樹木に回収する期間が紅葉や黄葉の期間となるのです。

 実はこの話、奥入瀬渓流ホテルのラウンジで行われている「森の学校」というプログラムで、ネイチャーガイドの方に教えてもらった内容です。早い話が受け売りなんで自慢できることではないですが、樹木の生きる術に感心したと同時に、色々な生き続ける選択肢があるのだと改めて思いました。珈琲屋始めて3年半程が経過し、なんとかこれまで続けてこれましたが、それこそ冬の到来があるのかもしれません。果敢に挑戦するのか、じっと維持して我慢するのか、または落葉広葉樹のような別の選択をするのか、そんなことを考えながら紅葉についての話を聞いていたのでした。

 ちなみに、栗はお客様からいただいたものです。お店に来る途中で拾ったといって日々手渡してくれるので、もう少し増えたら栗ごはんにしようと思っています。 

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旅先のコーヒー

 普段の生活では自分が焙煎したコーヒーしか飲むことがないため、休みの日に遠方へ行った時には、他の店のコーヒーを飲むことにしています。今回、久しぶりの二泊三日の旅行となったので、旅先でのコーヒーを記録することにしました。

 先ずは、県営名古屋空港から青森空港までの往復はFDAを利用したため、機内で提供されるコーヒーを楽しむことにします。FDAではカルディコーヒーファームの豆を使用しており、ホームページには「厳選したブラジル豆100%でミルクや砂糖との相性も良い珈琲です。機内サービス専用の豆を使ったこだわりの本格珈琲をお楽しみください」とありましたが、いつものようにミルクや砂糖なしのブラックで飲むため、ミルクや砂糖との相性は分かりませんでしたが、新幹線のワゴン販売で飲むコーヒーより美味しかった。

 一泊目は星野リゾート青森屋です。旧古牧温泉グランドホテルがバブル後に倒産し、星野リゾートが再生させた風光明媚な温泉宿で、青森を前面に出したお祭りムードたっぷりのホテル。囲炉裏ラウンジには全自動コーヒーマシンがあり、UCCコーヒーの豆を使用していました。多くのホテルが使用するロブスタ豆入りのコーヒーと異なり、カップ最後まで飲み干せます。

 客室に用意されたコーヒーは、COFFEE COLORS製造の青森屋オリジナルパッケージコーヒー「SAKURAKO」です。「SAKURAKO」という名称は、こちらのコーヒーに使用している豆を日本に初めて広めた、田中桜子さんのお名前からつけられたそうです。コスタリカで生産されたコーヒー豆を青森の職人が丁寧に焙煎した、フルーティーな香りとなめらかな口当たりが特徴のコーヒーだとか。パッケージ裏面を見ると、コスタリカ・グアカ農園の豆で、レヴェンス精製所のセミウオッシュドと書いてありました。確かに薫り高く美味しいコーヒーです。

 二泊目は奥入瀬渓流ホテルです。チェックイン後、ラウンジ「森の神話」でオリジナルブレンドコーヒー奥入瀬を飲みます。このブレンドコーヒーは、軽井沢を本拠地とする星野リゾートらしく丸山珈琲を使用するようになったそうです。

 さすがに星野リゾートだと思ったのもつかの間、客室に用意されたコーヒーはオリジナルパッケージながら、なんとブルックスのブレンドコーヒーでした。豆はエチオピア、インドネシア、他と記載があるものの、薫りの抜け殻のようなコーヒーです。インスタントではないにしても、これではブランドが落ちるというものです。しかし、冷蔵庫にはミネラルウォーターと青森リンゴのジュースがあったので、帳消しなのかもしれません。

 そして、最後に飲んだコーヒーは「藩士の珈琲」です。旅行日程の都合上、地元の珈琲屋さんを巡るごとができませんでしたが、旅先でのコーヒーでロブスタを飲むことなく帰路に就くことができ、満足のいくものとなりました。

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藩士の珈琲を楽しむ

 日曜日から三日間臨時休業にし、夫婦と次女の三人で青森県まで旅行に行きました。主に八甲田山から右の南部地方を巡ったのですが、最終日に弘前市へ向かい、弘前藩士たちが薬として飲んでいた珈琲を再現し、「藩士の珈琲」として提供している成田専蔵珈琲店へ立ち寄ったのです。弘前藩士が飲んでいた頃と随分品質の良いコーヒーであるうえに、おしゃれな店内で飲む環境に違和感があるものの、弘前の地で楽しんでみるのでした。

 

 「藩士の珈琲」を注文すると、先ず運ばれてきたのが、すり鉢、すりこぎ棒、珈琲豆(スクールブレンド24g程)のセットです。見本の粉と同じようになるよう、薫りを楽しみながら、すりこぎ棒で珈琲豆を粉砕します。すりこぎ棒も陶器製で粉砕しやすいのですが、均一にするのには結構力が必要です。

 

 

 見本の粉と同じような中挽きになったら、粉砕した粉を木製スプーンで袋に詰めます。詰め終わったら店のスタッフを呼びます。

 

 

 店のスタッフが珈琲袋を土瓶に入れてお湯を注いでくれるので、蒸らしの時間である1分間を砂時計の黄色い砂が落ちるのを見ながらじっと待ちます。

 

 

 蒸らしが終わったら土瓶のふたを取り、砂時計をセットして袋をティーバッグをように上下させて、1分間振り出します。

 

 

 トングを使って袋を取り出すと、ちょうど良い濃度になっているので、湯飲みに入れて飲んでみます。袋がネルより粗目の布なので、底に珈琲の粉が多く残りますが、想像以上に美味しい珈琲でした。

 

 

 飲み終わった頃、店のスタッフの方がドリップで淹れてくれた同じ豆の珈琲を出してくれます。飲み比べ用だとのこと。どちらかといえば、「藩士の珈琲」の方がマイルドで、ドリップの方はすっきりした口当たりでした。

 

 

こんな感じで楽しみながら飲んでしまっている姿に、稚内市の発行した『天明の蝦夷地から幕末の宗谷』(稚内市教育委員会:2009年)に記載されたような、幕末の壮絶な宗谷警備の中で飲まれた光景などは想像できず、なんだか申し訳ないような気分になります。でも、良い経験が出来ました。

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Pura Vida(プーラビーダ!)

 前回のブログの最後に、コスタリカ人気質を表現するPura Vida(プーラビーダ!)という言葉を使いましたが、具体的なことについて触れなかったので記載します。
 Pura Vida(プーラビーダ!)。コスタリカ人はこの言葉をこよなく愛しているようで、この言葉を使いこなせたら「もうあなたももうコスタリカ人。」なんてことも言われるみたいです。直訳すれば「純粋な人生」となりますが、直訳の意味はあまり気にせず、とにかく良い意味、ポジティブな意味で、様々な場面で使います。
 とびきりの笑顔で、元気に明るく、このPura Vida を連発するコスタリカの人々。彼らはこの言葉を誇らしげに思っているように感じられるのは、大自然と質素な生活が組み合わさった国であるコスタリカの合言葉なのかもしれません。
 実際に、Pura Vida(プーラビーダ!)の使い方は、こんな感じだそうです。
・Como está ? コモ・エスタ? (どうだい調子は?)に対して
・Pura Vida ! プーラビーダ! (最高だよ!)

・Gracias. グラーシアス (ありがとう)に対して
・Pura Vida! プーラビーダ! (どういたしまして)
用途に応じて
・Pura Vida プーラビーダ (気にするなよ)
・Pura Vida! プーラビーダ! (なんてすばらしいんだい!)
・Pura Vida! プーラビーダ! (それはよかった!)
てな感じで使いまくります。
 つまり、「GOOD」「最高!」など適当な使い方なので、直訳の「純粋な人生」とは随分意味合いが違うのです。日本語で言えば「気楽にいこうぜ」といった意味が近いのかもしれません。使い方によっては、沖縄の「なんくるないさ」のような感じです。
 コスタリかのポジティブさが伝わってきますが、反面、人々は細かいことや先のことはあまり気にしないために、時間は守らないし、約束は破るなんてこともあるようです。(個人差あり)
 こんな国のコスタリカで生産されたコーヒー豆を使っているのだから、コーヒーについても、堅苦しく「品種や精製方法がどうのこうの。」とか「焙煎は○○なんだ。」とか言うばかりじゃなく、Pura Vida(プーラビーダ!)の言葉のように気楽に楽しく飲みたいものだと思うのでした。
 Como está ? Pura Vida !

 

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コスタリカのカーボン・ニュートラル

 以前、「幸福なんだけど」という内容で、コスタリカが世界幸福度指数で一位になったことや、常備軍を持たない国として特異な存在であること記載しました。しかし、中米諸国の中では比較的所得水準が高い一方、地域間の所得格差が顕著であり、コスタリカ国家統計調査局によれば、同国の貧困率は全国平均が20.0%、首都圏が15.7%である一方、地方では首都圏の約2倍の30%前後となっている地域もあります。

 また、財政状況はリーマンショック後にプライマリーバランスが赤字化して以来、赤字傾向が続いており、2017年の財政赤字対GDP比は6.2%2016年は5.2%)と、過去35年間で最悪の値となっています。特に、公務員の高額な給与・退職金・諸手当が問題となっているほか、増税を含む税制改革が喫緊の課題となっています。

 かといっても、 人口485.7万人(2016年)のコスタリカは小規模国家でありながら、一人あたりの名目GDP11775ドル(2016年)と中米諸国の中では比較的所得水準が高く、治安のよい国であることは間違いありません。

 また、1940年にコスタリカの国土の75%を占めていた森林被覆率は、人口の増加と経済発展にともなう開発等により、1987年に21%まで減少したものの、1980年代後半からは森林保全、生物多様性保全のための先駆的な政策、活動を実施した結果、森林面積は2010年に52%程度まで回復するに至っています。そして、自然を利用したエコツーリズム発祥の国としても知られています。

 さらに、意外と知られていないことが、コスタリカ政府が20159月に温室効果ガスの排出と吸収を相殺する「カーボン・ニュートラル」目標達成のためのロードマップを発表し、第一段階として2030年までに2012年比で約25%の温室効果ガス削減を宣言した事実です。もし計画どおりにいけば、世界初の脱CO2経済を達成することとなります。

 そもそも、コスタリカは再生可能エネルギー推進国でもあり、国内電力の93%を再生可能エネルギー(水力、地熱、風力他)で賄っており、中でも水力発電が全体の4分の3を占め、豊富な水資源を活用したクリーンエネルギー発電を推進しています。コスタリカ政府は国家開発計画で、「電源の95%を再生可能エネルギーとする」という目標を掲げており、最近では新たな地熱発電の調査も始まりました。

 また、電気自動車購入に際して優遇税制を適用するなどの制度整備し、日本とも二国間クレジット制度(JCM)を取り交わしました。そして、201803月には、三菱自動車の「アウトランダーPHEV20台と「i-MiEV(アイ・ミーブ)」29台が日本政府からコスタリカ政府に納入され、今後5年間に電気自動車を10万台導入する計画やEV用の充電インフラの大規模な拡充を検討されています。同時に、国内のEV推進のためにタクシーの買い替えを優先し、特に安定した収益の上がっている空港タクシー(オレンジ色)のEV化の計画もあるようです。

 こうした国家としてカーボン・ニュートラルへの取り組みを行っていますが、今後の人口増加と電力の需要増加見込みもあって、実のところ達成は難しい見通しで、現ソーリス政権はこの達成を2085年までに達成すると、目標を後退させたようです。

 そんな中にあって、アラフエラ州ナランホ地区にあるサンタ・アニタ農園では、コーヒーチェリーの果肉を肥料にし、果皮を燃料にするだけにとどまらず、農場の現地事務所とコーヒーミルが使用する電力の85%を敷地内に設置した太陽光パネルによってまかなっています。こうした取り組みによって、世界で初めてレインフォレスト・アライアンス認証と国際カーボン・ニュートラル認証の両方を得たコーヒー生産者となりました。

 遠く離れた国であるコスタリカですが、コーヒーを通じて見るべきところが多い国です。まだまだ課題も多く、コスタリカ全国で下水処理率は4%です。首都サンホセですら、汚水が未処理のまま河川に垂れ流される状況であったり、家庭で分別されたゴミも、回収された後に一緒に埋め立てられてしまうといった事例もあります。さらには、コスタリカ大学の調査によると、2011年にはゴミの25%が河川に棄てられたといいます。

 豊かな自然を売りにエコツーリズムの人気訪問地とは真逆な現実ですが、JICA(独立行政法人国際協力機構)の活動を見ていると、確実に改善されているように思えます。そして、コスタリカなら可能なのではないかと思えるのが、元気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局長のクリスティアーナ・フィゲーレスのTEDスピーチです

 気候変動について、『「無理」という言葉は事実を指すのではなく発言する人の態度を表しているのです。(中略)私は気候変動に対する態度を変え、気候変動について尽力することに決めたのです。(中略)人類の運命を変えていくために一致団結して助け合うことは可能なのです』と述べ、楽観的な態度で徐々に変化が生まれ、不可能と思われたことがパリ協定で実現できた事例を挙げているの姿を見ると、コスタリカ独自の「プーラ・ビーダ」という言葉に代表される、生きる上でのポジティブメッセージの力を信じたくなるのです。

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臨時休業への罪悪感

 お店の定休日は月曜日のみとしています。それ以外の冠婚葬祭等は臨時休業で対応していますが、先月28日と今月8日の日曜日、そして14日~16日と続くため、なんだか気が重くなっています。

 先日の日曜日は葬儀出席のため、急遽、臨時休業としました。その翌日の定休日に、雑草が増えた芝生の整備をしていると、何台かの車が一旦停止し、休みであることを理解したのか帰っていきます。その後、妻も応援に来てくれたので、私は店内で焙煎の作業をしていると、「豆が欲しいんだって!」と妻が声を掛けてきます。どうやら、日曜日に来店された際、臨時休業だったので次の日ならと足を運んだそうです。

 そんな事で店内に招き入れた方が2組あり、有難いと思う反面、臨時休業したことへの罪悪感を感じるのでした。地域の方へ良いコーヒーを提供するため珈琲屋を始めたものの、欲しいと思った時に閉まっていたでは正直申し訳ないのです。

 そうした気分になることが臨時休業にするたびあり、「こないだ来たのに休みだったよ。」の言葉に、定休日を少し増やそうかと考えている気持ちが萎みます。多くの珈琲屋さんが隔週1日づつ休みを増やしているのを見て、どう考えているんでしょうか?なんて思うのでした。

 14日からの臨時休業については、先月のイベント葉書の中でお知らせしたものの、どの程度の方が認識しているのかも分からず、また「休みやったよ!」と言われることになるのではと、今から気にしているのでありました。

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ギャラリー詩と美術館/カフェ山峡へ

 今日は従兄弟の葬儀参列のため臨時休業しました。年齢は自分よりも少し上なのですが、1/2の人が患う病のため亡くなったということもあり、自分の人生も日々充実させたいと改めて思うのでした。
 自宅へ戻ったのが午後3時頃であったので、思い切って車を飛ばして、中津川市にある「ギャラリー詩と美術館/カフェ山峡」(中津川市手賀野41-3)へ向かいます。目的は10月3日から14日(休廊日:10/9)まで行われている、瑞浪市出身の森本 彰 展 ─写実の深い魅力─を観るためです。
 森本さんとは瑞浪市の画家グループ萌穂会に所属されていた際、知人の方を通して知ることとなり、その写実的な絵を観るのが毎回楽しみでした。2011年には「第16回TYK絵画大賞」に森本彰さんのアクリル画「虹」(120号)が選ばれ、喜んだのもつかのま、長野県に移り住んだと聞き残念な思いをした記憶があります。その森本さんの個展が開かれていることを新聞の地方版で知ったのです。
 さらに、今回思い立って出かけた理由の一つに、「ギャラリー詩と美術館/カフェ山峡」で働いていた方が以前お店にいらしたこともあって、その時にいただいた名刺を時々眺めては、いつか訪問したいと思っていたからです。この二つが繋がったことが何かの縁だと感じ出かけたのでした。
 会場には森本さんもお見えになり、作品を見た後に懐かしい昔の話や現在の様子、そして作品について話が弾みます。以前から障害者を対象にした絵画講師をされているそうで、アール・ブリュットについても話が進みます。パラリンピックの影響でおかしな方向へ進んでいくのではないかといった危惧や、背景に大きな力を感じているなど、幅広い話ができました。
 ギャラリーは中津川ICから少し走った住宅街にあるものの、三角屋根と周りに配置されたアート作品、それに黄色く実った柿の木に囲まれ、その空間だけが別世界のようで楽しくなります。これで落ち込んだ気持ちも穏やかになり、台風一過の秋晴れのようです。
 なお、作品の画像は了解を得て載せています。

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物理学で迫る「コーヒーのおいしさ」の仕組み

 珈琲狂からコーヒーに関する資料のコピーをいただいた。それは、応用物理学会が発行する機関誌「応用物理Vol87 2018年10月号」であり、その中に寄稿されている旦部幸博氏の文章でした。旦部幸博氏といえば、滋賀医科大学微生物感染学部門助教であり、微生物と癌の研究のかたわら、コーヒー好きが高じて学際的な文献調査と情報収集を行い、コーヒーホームページ「百珈苑」を運営し、「コーヒー科学」「珈琲の世界史」などの著者でもあります。
 今回寄稿された内容のタイトルは、『物理学で迫る「コーヒーのおいしさ」の仕組み』です。微生物感染症学の研究者がコーヒーを通し、コーヒーのおいしさの基となる味や香りが生まれる過程に、物理学が大きく関わっていることを解いていきます。
 焙煎の度合いによる界面活性成分の量の違いや、その界面活性成分によって抽出過程にできる液滴の現象を「マランゴニ浮揚」と呼ばれる原理で説明したり、コーヒーカップに注がれたコーヒーの上に浮かぶ「もや」の正体と壊れる現象の謎解きがされます。
 また、テーブルに1滴こぼしたコーヒー液が、縁の部分だけ濃くなってリング状に乾く現象が「コーヒーリング効果」と呼ばれており、その原理がインクジェットプリンターの改善に利用されているなど、「コーヒー」と名が付くとなんだか嬉しくなります。
 コーヒー豆は植物であり、当然のごとく生物学(植物学)という視点で見てしまいがちですが、焙煎という加熱処理による物理的変化については、焙煎過程を細かく具体的に説明がされており、焙煎時に色や香りを生み出す細胞壁の1つひとつを「反応炉」と表現するが面白いし、分かりやすい。そのミクロの反応炉で起きている現象を、「煮立ってシチューのように混ざり合い」や「細胞内のどろどろによって細胞間の通路も塞がれ」といった表現が映像を見ているようで楽しい。
 冒頭に書かれていましたが、身近な現象の中から物理学のタネを見いだす「ネタ」が詰まっています。応用物理学会の機関誌だけに公開されているのがモッタイナイ!

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一冊のフリーマガジン

 お客様から一冊のフリーマガジンをいただきました。私に渡された理由は、「コーヒーは好きですか?」と表紙にあるとおり、自家焙煎店をメインに9店舗のお店が紹介されている特集記事だったからです。このフリーマガジン「aun(あうん)」は、オールカラーの季刊発行で、2001年7月に、2000年にオープンした公設民営の商業施設「アクティブG」(岐阜駅)からの依頼を受け、周辺エリアの活性化も同時に促す情報誌として発行することになったもので、今回で70号を数えます。
 創刊当時は「地域を憂う想い」を前面に、様々な問題のあぶり出しや提起を行うなど、発行側のメッセージが強い媒体でしたが、途中から編集者が素直に良いと思った「モノ・コト」を取り上げ、地域を再発見する媒体へ転換しています。なにせ、フリーマガジンの発行経験のなかった西濃印刷株式会社が、新たに編集部を立ち上げたところから始まっているので、その成長過程とともに内容も移り変わり、発行者が発信するだけでなく、読者の共感を得ることも意識した媒体へと変貌していきます。
 現実的な話では、岐阜駅周辺エリアの情報には限度があるというもので、今回の特集記事のように美濃加茂市、関市、大垣市と取材範囲を広げざるえないという現実があるようです。
 ともあれ、特集記事に掲載された9店舗のうち、訪問したことのある店は4箇所あって、残りのお店もいつか訪問したくなりました。そして、各店舗の取材記事を読んでみると、私が知っているお店の実態とは多少異なる内容もあり、こうした記事の影響力に心配したりと、他人事ながら気になるしだいです。
 また、自分の店がこうした紙面に出ることは避けたいとも思いました。だって、ビジュアル的に問題があるし、以前「土岐のマスターは頭皮の分が全部どっかにいっちゃた感じ。」などど言われてしまうくらいですから。それに、一時的に来店客が増えても対応できませんからね。目立たぬようにコツコツと続けたいですから。忙しくなったらカウンター越しに楽しい会話もできなくなってしまいます。このまま等身大のコーヒーを長く提供することを心がけ、日々精進しましょうか。そんな事を考えた一冊のフリーマガジンでした。

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4人の焙煎

 1111日は、「ポッキー&プリッツの日」をはじめ「きりたんぽの日」など45個もの記念日あるそうですが、そんな日に美濃加茂市のコクウ珈琲で「4人の焙煎」というイベントが行われます。4人とは「帰山人の珈琲遊戯・コクウ珈琲・星屑珈琲・吉岡コーヒー」といった、「日本珈琲狂会」主宰や珈琲屋の店主の面々です。 

TwitterFacebookの画像が粗すぎて読めないと思うので、内容を書いときます。 

 

「焙煎」なぜ彼らは豆煎りをつづけるのか 

なぜ彼らはその魅力にみせられたのだろうか。 

シャンシャンシャンシャン日々シリンダーの中で豆を鳴らせ もったりとした独特な匂いに包まれながら視覚、聴覚、触覚、味覚、臭覚 5つの感覚が導き出す答えを探している。 

四人の焙煎には、それぞれの哲学があり道具や焙煎の過程にもあらわれる。 

彼らの話に耳を傾け「焙煎」という言葉の奥にある何かを感じてみてはどうだろうか。 

日時:2018年11月11日

   ①13:00~14:30

   ②17:00~18:30 各定員25名(予約制)

会場:コクウ珈琲(美濃加茂市) 

内容:・4人が焙煎したコーヒーの飲み比べ 

   ・4人の「焙煎」についてのトーク 

   ・飲み比べのコーヒーを、各々の抽出方法で説明しながらドリップ 

   ・4人それぞれのコーヒーを販売 

料金:各回3,500円 

 といった内容です。 

 なぜ、他の珈琲屋のイベントを紹介するのかというと、先月、「コーヒーの焙煎を教えていますか?」という電話があったからです。 

 その方は、ある場所でコーヒーの抽出などを学ばれ、カフェを開業したいそうなのですが、コーヒーの焙煎にも興味を持って自家焙煎の店にしたいそうです。焙煎を学ぶ場所についてはネットで色々と調べたようで、近場にないことを理由に電話をかけたんだとか。まめ蔵では「焙煎体験」は行う事はあっても、開業者向けに指導はできないこと、焙煎を学ぶ場所を数か所紹介し、焙煎を含めてコーヒーについて時間をかけて学ぶことを勧めたものの、春にオープンする計画なので時間がないとのことでした。 

 そんな話を聞くと、ついついお節介の虫が騒いでしまい、オープン延期を勧めたり、別の角度でコーヒーを学ぶことを勧めたりと、余計なことを言ってしまいました。まったく、どんな人かも分からないままアドバイスする訳ですから、相手にとってはいい迷惑というものです。 

 そんなことがあったものですから、今回の「4人の焙煎」というイベントが少しでも参考となればと考えたのでした。もっとも、電話をかけた方がこのブログを見るのかも分からないにも関わらずなのですがね。

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150周年

 久しぶりに来店されたお客様から「庭で採れたから。」といって、カボスをいただきました。こうした季節の食材を見ると、ついつい秋刀魚が食べたくなり、自宅へ帰る途中にスーパーへ立ち寄り、特売品の秋刀魚(一本77円)を購入しました。
 心の中で、「中国産でもいいから焼き松茸や土瓶蒸しがいいな~」と思ってみるものの、現実は庶民的な秋刀魚に落ち着くの訳で、そんな事を考えながら習慣になっているブログチェックをしていると、「10月23日は明治維新150周年の日」という文字が目にとまります。
 実は、明治維新により元号が明治になった1868年10月23日から、今年で150年経過するそうです。そこで、23日は政府主導で「明治150年記念式典」が開催されるそうなのです。
 しかしながら、この聞き慣れた「明治維新」って言葉も、明治になった当時は使われることはなく、その当時には「瓦解(がかい)」という言葉であったり、「御一新(ごいっしん)」という言葉が使われていたそうです。そして、明治14年頃から「明治維新」という言い方を使い始めたようなのです。
 そん話はさておき、時代が大きく変化し、新しい事が始まった時代だからこそ、この時期を起点として150周年を迎えることも多く、全国では様々なイベントが行われているようです。「北海道命名150周記念」をはじめ、「戊申150周年」、「兵庫県政150周年」、「新潟開港150周年」、「明治維新150周年(鹿児島)」、「日本スペイン外交関係樹立150周年」、「灯台150周年」、「ハワイ日本人移民到着150周年記念」などなど、戊申150周年などは白河戊申150周年と会津若松戊辰150周年と地区対抗のような有様です。
 所詮役人が考える行事ですから、自分がそのポストに就いた実績を示すため、都合の良い企画で予算をぶん取って鼓舞するだけで、後はイベント会社に丸投げしそうな気もするのですが、ともあれ、150周年なんだそうです。
 そんな記念すべき時期にコーヒー業界も乗っかるところも多く、昨年の「神戸港開港150年記念」では、UCCが「神戸開港150周年記念ドリップコーヒー」を発売したのをはじめ、キーコーヒーが「ドリップオン・ スペシャルブレンド横浜開港150周年」を出しています。さらには、新潟開港150周年で、株式会社鈴木コーヒーが「新潟開港150周年記念ブレンド」を、サッポロ珈琲館は北海道命名150周年記念ボトル「ブラジルヌーボーコーヒー」を発売するなど、この期を逃さぬように一生懸命です。

 コーヒーの生産国として「港」で発展を遂げてきたブラジル(サントス港)とイエメン(モカ港)を考えれば、港に関連したコーヒーの商売もありなのかもしれません。そんなことを考えていると、何だか港町でコーヒーを飲みたくなります。でも、岐阜県は海無し県だから無理だと感じながら、同じく何処かの港で水揚げされた秋刀魚をカボスで美味しくいただいたのでした。

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ドラえもん展

 名古屋テレビ放送の企画により、松坂屋美術館で9月27日から11月18日までの間、「THE ドラえもん展 NAGOYA 2018」が開催されています。2002年に開催されたドラえもん展が時を経て再び行われることから、前回見ることのなかったこともあって、定休日を利用して出かけてきました。
 もっとも、森アーツセンターギャラリーで昨年、「THEドラえもん展2017」として開催されていることから、概要が分かっているだけに新鮮味に欠けるものの、今回のドラえもん展は写真撮影が原則OK(映像は除く)とあって、気になった作品を何枚か撮影してきました。
 漫画家 藤子・F・不二雄氏の手により1970年に誕生した『ドラえもん』は、漫画、テレビアニメ、映画の中でのび太やその仲間たちを優しく、ときには勇敢に助けてくれるドラえもんの姿に笑ったり、興奮したり、時には泣いたりもしたという方も多いかと思います。(私は泣けませんが)そんな思い出を持つ国内外で活躍する総勢28組のアーティストたちに、「あなたのドラえもんをつくってください。」というお願いをし、生まれた“あなたのドラえもん”と共に過ごす展示会なんだとか。
 確かに、作品の横のパネルには各アーティストたちの思いが綴られているものの、全体的にはちょっと物足りないという印象でした。だって、ドラえもんに対して非常に友好的で好印象な作品ばかりになっているのですから。誰かが言っていた「芸術は爆発だ!」というような刺激的で、批判的な作品が少なく、物分りの良過ぎるものばかりなのですから。
 全ての人に愛されるなんてありえないし、斜に構えるくらいの偏屈な人もいて良いと思ったりしました。しりあがり寿さんの「万事解決!劣化防止スプレーの巻」という作品の説明文の中には、『社会の仕組みの老朽化、人々の幼児化、色あせた理想、世界中の複雑に入り組んだ困難な問題をいとも簡単にまとめる「劣化」という言葉。そしてそれを一瞬にして解決する「劣化防止スプレー」。万能のドラえもんに託す希望と、だけどそれは有り得ないという絶望のほろ苦さを重ねたアニメ作品。』となっていましたが、世の中劣化し壊れるから、また新しいものが生まれるのであって、現状維持を望むこと自体が人々の幼児化の現れだと思ってしまいます。不完全な世界に生きているのだから。
 そういう意味では、山口晃さんの四コマ漫画では、のび太の「人生の意味って何なの?」という質問に、ドラえもんが、「意味なんてないよ。」「無いんだから勝手に決めればいいんだよ。」という気の利いたセリフや、坂本友由さんのリアルしずかちゃんがを見ると、ちょっとだけ救われた気持ちになり、秋にアートな気分になっている自分に満足するのでした。
 でも、会場を出るとキーホルダーやぬいぐるみ等のグッズ販売コーナーに群がる家族連れを見て、「何だ、やっぱり金で解決するんだ!」と覚めてしまいう自分がいました。

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