■ 2017年4月 ブログ

自作手廻し焙煎機

 「焙煎機を見てください!」そう言って店に入ってきたのは馴染みの男性客です。鉄工所に勤めている彼は、手網焙煎を始めたことをきっかけに、煎りムラが無くて上手に焙煎できる方法はないものか考え、勤務先の鉄工所から出る廃材をコツコツと集め、自作の手廻し焙煎機を作ったのでした。

 「どうですか?」そう聞かれても具体的に答えることも出来ないため、「面白そうだから使ってみようか!」と早速店内で実際に焙煎をしてみることに。ところが、「はて?」生豆を入れるところがありません。作った本人によると金枠のネジを外して出し入れするとのこと。???「そりゃアカンわ!」ドラムの軸が細すぎて一粒づつしか入れられないし、煎り止めしてもスグに冷却できないから焙煎が進んでしまうという構造でした。

 全く知識のないところから作り始めたわりには、ガスコンロの五徳の形に合わせた台座や、パンチングメタルのような直火式のメッシュの入った長方形のドラム、豆が均等に攪拌されるようにドラムの内部に羽を付けたりと、ネットの情報を彼なりに工夫して加工してる事が良く伝わる作品になっています。さらに、内部の温度が分かるように温度計が入る差込口も付いています。お世辞抜きで正直、中々の力作なんです。

 「焙煎直後は熱くてネジが外せないんですよね。」そうでしょ!そうでしょ!見た目はバッチリだけど使えないよね。そんな訳で、焙煎機に必要な構造をネットの自作焙煎機の画像を見せながら説明していきます。他にお客様がいなかったので二人は子供のように焙煎機とコーヒーの話をすることになりました。

 ちなみに、鉄工所から出た廃材で作った手廻し焙煎機は、手回し部分のノブをホームセンターで買った以外はタダ!お見事です!今後、どのように改良さっるのか楽しみ。楽しみ。 

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連休を前にして

 連休を前にして色々な準備をしていますが、なかなか思ったように進みません。現在のところは、コーヒー豆を購入していただいたリピーター様への2周年イベント(割引)葉書を準備し、ハンドピックで取り除いた欠点豆を使用した「芳香・消臭袋」を作成しました。そして、まばらだったクッキーの商品棚をなんとかカッコがつくまで埋めたのです。後は、5月から販売を開始する2種類の豆をメニュー表に加え、必要数だけ印刷すれば間に合いそうです。

 本当はもっと色々なアイデアを出して楽しみたいところですが、時間があっという間に過ぎてしまって行動が追い付きません。「えっ!また定休日か?」という状態が最近は続いています。こういう生活が本来は良いのかも知れませんが、様々な場所へ出向いて人や物に触れることで刺激を受け、やってみたいことを自分なりに実践したいのです。

 さて、可能な限り連休を前にして、もう少し出来る事を準備してみようかな。自分も楽しく、お客様も楽しいような工夫をしながら。

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店の前も新緑

 昨日は雨が降ったせいかチューリップの花が傾き、花びらも落ちる光景に寂しさを感じるものの、店の前のハナミズキは新芽を出して、一部には白い花を咲かせています。ハナミズキの下を見れば、芝生も少しずつ緑が増えてきており、すぐに緑のじゅうたんとなることでしょう。

 一人で店を営んでいると定休日以外は昼間に出かけることがないため、休みの日に外の景色を見ては季節の移り変わりを感じることになります。しかし、今日は店の前でも新緑を楽しむことが出来ました。こうした気分にしてくれるのも、同級生が植えてくれた芝生や妻が豆に世話をしてくれる花壇の花々があるからです。ホント。感謝するしかないね。

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パプアニューギニアって国

 パプアニューギアでのコーヒーの歴史は浅く、1930年代に宣教師がジャマイカから苗を移植したというのが始まりで、1950年代に入ってから本格的な栽培が開始されます。その後、国連のグルメ・コーヒープロジェクトが1997年~2000年に実施され、高品質のコーヒー豆を生産する国の一つになりました。

 パプアニューギニアという国については、ニューギニア島を分断してインドネシアと国境を接しいることから、旧ドイツや朝鮮半島などと同様に歴史的背景があることは感じていましたが、実際には観光地としてのイメージしかなかったので、この機会に調べてみると、過去に島の真ん中付近で東がイギリス領、西がオランダ領になり、オランダ領は現在インドネシアのパプア州となって、イギリス領は独立してパプアニューギニアという国になったことを知ります。

 その中で気になったのが、「ギニア」という文字です。 ギニアとつく地名にはアフリカの「ギニア」、「ギニアビザウ」、「赤道ギニア」とあり、オセアニアの「パプアニューギニア」とは地理的に関係があるのか興味を持ちました。どうも、「ギニア」とはベルベル語(この言語も複雑難解)で「黒人たちの土地」を意味する言葉なんだとか。ここに住んでいるオーストロイドの元住民は色が黒く、熱帯地域でもあったので、ヨーロッパ人がギニアに似ているという様な意味で「新しいギニア」ニューギニアと付けたようです。また、ニューギニアに暮らす人々の髪の毛が縮れていることから、マレー語の縮れ毛を意味する「パプア」をくっつけてパプアニューギニアになったみたい。そう考えると勝手に名付けられた国名な訳で、複雑な気分です。

 これまでコーヒー産地としてのパプアニューギニアしか見ていませんでしたが、歴史や文化を垣間見ると日本の戦争と深い関わりがあったり、原始的な生活を知ることになり、この国に関する本でも探して読んでみようと思います。コーヒーの生産国を廻る旅をしたいものですが、現実には難しいので本の世界だけでも旅の気分を味わってみますか。

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サンプル焙煎をしてみる

 5月から新たに2種類の豆を扱うことに決め、今日はサンプル焙煎を行いました。一つはニカラグアのサンタアナ農園SHGで、もう一つはパプアニューギニアのハイランドスウィートです。

 豆の品種は、ニカラグアがカツーラがメインで、ビジャサルチ等の加わったもの。パプアニューギニアはティピカがメインで、アルーシャと僅かにブルボンの加わったもので、両方とも柑橘系の香りでフルーティーさがあるものの、ニカラグアにはコクがあり、パプアニューギニアは淡い甘さとすっきりした後味と、それぞれ特徴を持ったコーヒーです。

 特にパプアニューギニアを選択した理由には、グアテマラのカルメン農園ティピカが入手できなくなることから、ティピカを栽培する生産国だということがあります。コーヒーが生産国の栽培環境や品種によって個性を持つことから、限られた品揃えの中で多くの品種の豆を提供したいという考えに基づいています。

 サンプル焙煎は幾つかのパターンで行い、イメージしていた物で焙煎度を決めましたが、お客様がどのような感想を持たれるか不安な面もあるものの、新しいコーヒー豆と出会うのは楽しい時間です。世界中で70か国以上の国がコーヒーを栽培しているそうですから、まだまだ楽しみは尽きることはありませんね。

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再び「喫茶 苔」へ

 今月中にどうしても訪問したい場所がありました。それは、西尾市にある古民家和カフェ「喫茶 苔」です。店主が私と同じ場所でお菓子作りを学んだことから知り合いとなり、私よりも1年10か月早く開業したこともあって、開業後に様子伺いに訪問したり、ブログを時々見るなど関心を持っていました。そのお店が4月末を持って閉店することになたため、再び「喫茶 苔」へ出かけて行ったのです。

 閉店理由は結婚によるものだそうで、開業までの店主の努力を聞いていただけに残念ではありますが、人生は何が起きるかわかりません。ちなみに、店主は私の長女と同年代の女性で色白美人さんです。古民家和カフェにピッタリという感じで、おっさんがやってる「まめ蔵」とは大違い!

 お店のスタイルは午後1時から11時までで、夕方からはお酒も楽しめる畳敷きに和風カフェ。靴を脱いで畳の上に置かれた椅子に座る人も居れば、卓袱台でコーヒーを楽しむ人も居ます。開店時間に合わせて訪問したのですが、既に駐車場には車が数台止まっており、店内に入った後にも次々と来店者が続き、それも20代・30代といった若い人ばかりで驚かされてしまいます。「こんな若い人が昼間から居るなんて!」と、田舎の珈琲屋にはびっくりの光景です。やっぱり大手自動車部品メーカーが近隣にあるだけに違うことを実感させられました。

 店主とゆっくり会話するにも来店者が多いため、少しだけ話をしただけで帰ることにしました。何せ片道1時間半程の場所だけに、午前中に焙煎とお菓子作り、夕方からは東京から出張の途中に帰ってくる娘を駅まで迎えに行くという日程の中では、正直時間が足りなかったのです。しかし、閉店前に楽しく仕事をしている様子を見ることができて満足の一日でした。

 20代から夢を持って開業した人、定年前に早期退職して第二の人生を歩み始めた人と違いはあるものの、いきいきと仕事をすることは素晴らしいことだと改めて感じます。縁あって知り合った店主ですが、再び出会うことが無いかもしれないことに、ちょっとだけ寂しくなるのでした。

 追伸:西尾市は抹茶で有名です。そんな訳で、今朝は抹茶の生地でフルーツのロールケーキを作りました。

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松屋式で淹れてます

 お店でコーヒーを淹れる際には、松屋式という抽出方法を使用しています。正式には松屋式ドリップ法というらしく、カウンターにお座りの方へは金枠のドリッパーを使った抽出の仕方を説明していますが、興味を持たれた場合は必ず「松屋コーヒー本店」へ行くことをお勧めしています。何故なら、本家本元の松屋の会長から直々に教えてもらえるからです。間接的に私から伝えるよりも良いというのが本音です。

 松屋式については、松屋コーヒー本店のホームページにも解説があり、『松屋式ドリップ法とは、安定した味が出しやすくコーヒーの旨味成分だけを抽出し、時間が経っても味が劣化しない独自の抽出法です。』という説明とともに動画も貼り付けてあります。また、なぜ松屋式は金枠を使用するのかについても。『それは、蒸気が抜ける事により蒸らすという行為が出来るからです。陶器やプラスティック製のホルダーでフィルターを覆ってしまうと、蒸気が抜けず蒸らしがたりません。金枠だからこそ蒸らすことによりコーヒー粉が膨らみ、コーヒーの中まで水が浸透しおいしいコーヒーが抽出できるのです。』とあります。

 実際に松屋コーヒー本店に行かれたお客様も何人かおられ、それ以降は松屋式でコーヒーを楽しまれているそうです。そうした方には、さらに西尾市にある「フレーバーコーヒー」もご案内しているのですが、何せ遠い場所なので行かれた方は少ないようです。「フレーバーコーヒー」に行けば、珈琲屋と思えぬ店内の光景と店主のキャラクターにハマっていただけるのですが、西尾市までの交通の便を考えると、大須の松屋コーヒー本店まで行ってもらえるだけでも大満足なのです。

 「松屋式で淹れてます!」といっても、この松屋式が全てだと思っていません。松屋式は数ある抽出法の中の一つにすぎず、この抽出法で淹れたコーヒーが好きな方が利用されれば良いのですから。実際、私自身も色々な抽出器具や抽出法を試してきましたが、それぞれ特徴を持ったコーヒーの味に仕上がるため、どれが一番というものではなく、私が好きなコーヒーとして選択したに過ぎません。そして、そのコーヒーに共感していただける方が、ご自身でも松屋式を利用されることを望んでいます。

 コーヒーの抽出やコーヒーのことを真面目に考えている珈琲屋さんが東海地方にあるのですから、松屋コーヒー本店やフレーバーコーヒーには是非立ち寄ってほしいものだと思っています。

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桜の花が散る前に

 今朝の天気予報では、午後から雨風が強くなるというので、桜の花が散る前に最後の花見をしようと多治見市の虎渓山に出かけてきました。虎渓山は岐阜県選定の「飛騨・美濃さくら三十三選」にも選ばれる桜の名所ですが、老木の桜が枯れてしまい、昔のような山全体が桜色に染まることもなくなって無残な状態になっています。そんなこともあって、地元の有志の方々が集まって桜の再生に取組んでおられるおかげで、今でも公園内には約400本のソメイヨシノなどの桜が咲く、お花見と言えば虎渓山の虎渓公園と言われる桜の名所なのです。

 多治見市街を一望できる虎渓山には、開花期間の夜には飲食の露店が並び、お花見気分を盛り上げてくれるほか、子供が遊べる遊具がいくつかあるので人気のお花見スポットとなっています。また、公園から伸びる参道を降りて行くと、虎渓山永保寺の美しい庭園が広がり、池を囲むように桜の木が植えられ、国宝の観音堂など由緒ある建築物と共に、春色に色づく庭園を楽しめます。(もう遅かった!)

 散策していると雲行きが怪しくなったので、虎渓山にある「五平餅」と「木の芽でんがく」が有名な若松屋に立ち寄り、「五平餅と田楽セット」(500円)をいただきました。田楽が一部欠けているということで一本おまけしてもらい、ちょっと得した気分で散りかけた桜を見ることができました。

 帰路に着く頃には雨も本降りとなってきました。桜の花が見られなくなるのは残念ですが、この春の嵐とともに季節も徐々に夏へと向かうのでしょうね。さて、開店二周年の案内状に載せる絵手紙でも描きましょうか。 

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弘法乞食

 朝からお店の前の道に、多くの子供たちが歩いている様子が見えます。「そうか!今日は弘法乞食の日なんだ。」と気づきました。この地域では「弘法乞食」と呼んだり、「弘法様」や「弘法さん」とも言うお祭りがあるのです。

 弘法様とは、日本仏教界に多大な影響を与えた高野山金剛峯寺、真言宗の開祖、弘法大師(空海)のことです。庶民の教育や社会事業にも尽力し、日本有数の思想家です。書家としての才能も発揮しており、「弘法も筆の誤り」「弘法筆を選ばず」など、ことわざにもなっているほどの「仏教界のスーパースター」なのです。3月21日は、弘法大師の亡くなった日で、旧暦の3月21日には「正御影供(しょうみえく)」という弘法大師の御影を祀って供養する行事が日本各地で行われているのです。地域によってやり方も開催日も様々ですが、多くの地域では弘法様を祭っている家でお菓子や餅を配る風習が残ってます。

 子供たちが小銭(1円、5円、10円)やお米をお供えすることで、お祭りしてある家主から駄菓子がもらえるため、お祭りしてある家々を沢山回って、手提げ袋を駄菓子でいっぱいにしていますが、このお菓子を振る舞う理由には、弘法大師(空海)の生きていた時代は飢饉が多かったそうで、弘法大師が庄屋さんなどのお金持ちに「自分一人ではなく、貧しい人にも分け与えよう。」と説いて回ったことが由来とされているようです。

 そんな理由を知ることもなく、駄菓子が山のようにもらえるイベントとしての「弘法乞食」ですが、“お互いさま”の精神を学ぶ風習として、私が子供のころから続いている光景を微笑ましく眺めているのでした。

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竹の子総会

 昨夜は「土岐手話サークル竹の子」の第42回総会が行われました。考えてみれば42回も総会が行われるほど、何と長く続いているのかと感心してしまいます。その期間に幽霊会員期間も含めて三十数年関わっており、ボランティアサークルとして地域に根付いた活動が続けられているのも、多くの会員が地道な努力を積み重ねているからだと思います。

 そのサークル活動を設立時から支えてもらった聴覚障害者の西尾さんが昨年亡くなり、奇しくも今年が全日本ろうあ連盟の70周年記念にあたることから、記念に作成された連盟の70年の歴史を紹介するドキュメンタリー映画を総会終了後に上映することになりました。

 映画は、全日本ろうあ連盟が1947(昭和22)年に群馬県伊香保温泉で創立以来、先人たちが差別や偏見と闘い、運転免許獲得運動、手話通訳制度化運動、差別法令撤廃運動など、石段を一段ずつ登るように運動を重ね、ろう者の人権を獲得してた、これまでの運動の歴史を紹介するとともに、運動の基盤である「仲間・組織」の大切さを訴える内容になっています。

 私が手話サークルに入った頃は、国際障害者年のボランティアブームにのった時代で、多くのサークル会員にも恵まれ、単に手話を学ぶだけでなく障害者の生活向上や権利について理解を深めたものです。けれど、最近では県内の手話サークルの多くが会員減少とカルチャースクール化してしまい、手話の裏側に存在する苦悩の歴史を知る機会は少なくなりました。そんな意味で、今回の上映会は単に懐かしさだけではなく、気づきを与える時間になったのではないかと期待を含めて思ったのでした。

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貝殻でコーヒーを量る

 コーヒーの木の果実には2個のコーヒー豆の形の種子がはいっているのですが、成長の過程で一つが成長せずに、残った1個が丸く育つことがあります。ピーベリーと呼び、栗の大粒の実と同じような状態です。

 また、一つの種子の中は胚乳が「の」の字のように渦を巻いてものが、二重になって育つものがあり、一回り大きい反面、焙煎の途中で分離して凹んで湾曲したりします。これを「貝殻豆」と呼んで、多くの自家焙煎店ではハンドピックの際に取り除いています。気象条件による生育不良が原因と考えられており、ケニアやタンザニアで多い傾向のにあるようです。

 確かに貝殻のように見えますが、成分は炭酸カルシウムではくコーヒーですし、貝柱もありません。(あたりまえか?)通常の豆の状態と比べて薄い部分が多くなるため、過度の焙煎状態となり、苦みが増すなどの理由で取り除かれてしまう貝殻豆ですが、ファミレスのコーヒーマシンの上部に見えるコーヒーストックには時々見られます。何だか厄介者のようですが、イエメンでは貝殻豆だけを集めて高級品として扱われているそうです。いったい現地でいくらで取引されているのか?何で高級品なのか知りたいものです。

 コーヒーに関する興味は日々尽きることがありません。それは、今では日常の飲み物となったコーヒーだからこそ、普段口に入れるコーヒーそのものに関心を持つからでしょう。そして、コーヒーを扱って商いを行っているからなのですが、ややもすると、こうしたブログやカウンターでお客様との会話の中で、知りえたわずかな情報のみでウンチクを語りだしてしまいそうになり、つい立ち止まってしまうこともあります。まだまだ新米珈琲屋であり、学ぶべきことが山ほどあることを自覚しているからです。けれど、今後も出来る限り知りえた情報をもとに、コーヒーを楽しみたいというお客様へ伝えるべき事柄を話していきたいと思います。

 ことわざに、『貝殻で海を量る』というものがあります。「貝殻で海の水を汲み、その水の量で海の大きさを量ろうとすること。すなわち、自分の狭い見聞や浅薄な知識で、大きな問題を論じる浅はかさをたとえていう。」という意味ですが、『貝殻でコーヒーを量る』にならないよう、これからも自分の足で出向いて、自分の目で確かめ、多くの人と出会って学んでいく姿勢だけは続けたいのもです。

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コーヒーの甘さ

 喫茶店をやってみたいと単純に思っていた頃は、まさか珈琲屋という形態になる事を夢にまで考えていませんでした。けれど、コーヒーについて学んでいく際、苦いだけのコーヒーという感覚を覆す、コーヒーの甘さを強く感じたコーヒーに出会って、コーヒーの魅力に引き込まれたのでした。コーヒー豆の産地や品種、生産処理方法で味覚が異なり、焙煎によってさらに複雑に変化するコーヒーには大きな魅力があったのです。

 現在もコーヒー生豆を焙煎し、日々抽出する過程の中で、焙煎後も香味が変化していくコーヒーに驚き、時には翻弄されているのですが、コーヒーの甘さについては理解できないことばかりです。そんな理解の甘い私に、コーヒーの甘さを教えてくれる本があります。

 20089月発行の『コーヒー「こつ」の科学』(著:石脇智広)によれば、「完熟豆には糖分が多く含まれ、それがコーヒーの甘みになるという説ですが、これは誤解です。(中略)なぜなら、生豆に含まれていたショ糖は、焙煎によってほとんどなくなってしまうからです。ショ糖は焙煎するとコーヒーの色、香り、酸味のもととなります。実際には果実の熟度が高くなると、焙煎時の色づきがよく、香りと酸味の豊かなコーヒーになるのです。ショ糖が甘みのもとになっているとすれば甘いカラメル香としてであって、舌に感じる甘みとしてではありません。では、コーヒーを飲んだときに感じる甘みはどこからくるのでしょう?これは私にとっても謎です。甘みにつながりそうな物質はあるのですが、答えはまだ出そうにありません。」

 このコーヒーの甘みの謎を少し解き明かしてくれたのが、昨年2月に発行された『コーヒーの科学』(著:旦部幸博)です。「コーヒーを飲む人たちの間では、しばしば「コーヒーの甘味/甘さ」が話題に上がり、特にスペシャリティーコーヒーをよく飲む人たちが、この焦がし砂糖のような香りのコーヒーを「甘い」「後味が甘い」と表現するようです。じつは、もともと生豆に含まれるショ糖の量は少ない上に、浅煎りの時点までにそのほとんどが熱分解されて、「(味覚としての)甘味」を感じるだけの濃度は残りません。それ以外の甘味成分もコーヒーからは見つかっておらず、「コーヒーの甘み」が実在するかどうかはずっと疑問視されてきました。しかし、それがフラノン類によって生まれる「(風味としての)甘さ」だと考えれば上手く説明がつきます。フラノン類は食品に甘い風味を付ける着香料にも用いられ、水に混ぜて口に含むと確かに甘さを感じます。」とフラノン類を指摘していましたが、どうもそれだけでは全てが納得できそうにもないようです。

 自分は科学者ではないからといって、科学者が書いた本に頼って全てが分かるほど甘くはないと思うのですが、お客様に提供するコーヒーを通してコーヒーの甘さの認知を広めていきたいと思っています。

 

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春らしく

 今日から数日間は雲が多くかかる天気のようですが、昨日まで暖かい日が続いたこともあり、駐車場横の花壇にはチューリップが並んで咲いています。

 午前中に焙煎していた際の煙も煙突から北向きに流れていることが分かり、北風から南風に移ったんだと季節の変化を感じます。

 気づけば入口ドアのガラス越しに、中学生が真新しいカバンを背負いながら歩いています。「そうか、今日は新学期の始業式なんだ。」と気づきました。

 最近は毎朝、新聞配達のオートバイの音を聞いて目覚めた後、裏庭の方から聞こえる鶯の囀りを楽しんでいます。

 春らしさを感じるものは人によって様々なのでしょうが、私が春らしさを感じるものはこんな出来事なのです。そういえば、コーヒーでも「〇〇春ブレンド」なんて言って、春を連想させる豆を販売している店も多いのですが、正直、飲みながら春を感じたことなかったな~。これは、私に春を感じる味覚がないのか、単に店主の自己満足なのか?

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臨時休業が増えそうです

 定休日を月曜日として営業していますが、冠婚葬祭や病気の場合、コーヒーセミナー参加等を理由に臨時休業してきました。今年度は町内会長の役が来たため、臨時休業がさらに増えそうです。

 町内の役は1年間だけなのですが、頻繁に飲みに通っていただける方や、コーヒー豆を定期的にお買い求めの方に対してはご迷惑をおかけすることになりそうです。特に町内の行事には河川清掃、お祭り、防災訓練等が日曜日に行われるため、お勤めの方で休日に来店される方々には出来る限り事前にお知らせしなければなりません。

 先日も休日に来店された方が、来店前に電話で営業中であることを確認されたこともあり、理由をお尋ねすると「こないだ来たとき臨時休業だったから。」言われてしまいました。店頭のボードに周知分を書いたり、ホームページやツイッターでお知らせしても、必ずしも全員が見る訳ではないですからね。自分自身も同じような経験をしているので、対応に苦慮してしまいます。

 当たり前に開いている店でありたいと同時に、当たり前を続けることの難しさを痛感するのでした。

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