■ 2016年1月 ブログ

コーヒーの香り

 コーヒーの香りにはリラックス効果があり、コーヒーの香りを嗅ぐことで、脳にα波が生じてリラックスできることが科学的に分かっています。だから良いことばかりかというと、ちょっと違うようです。

 いつも一人で来店される男性のお客様、カウンター座ってコーヒーを飲み、「仕事の途中だから」といって足早に帰られます。昨日はコーヒーを飲みながら、「多くの店はコーヒーの香りが店内に漂っていないけど、ここはコーヒーの香りがちゃんとあるから好きなんだ。けど、妻にサボっていることが香りで分かってしまう。」とポツリとこぼされました。「別に怪しい場所で休憩している訳じゃないから良いじゃないですか。」と言いつつも、そなにん香りが付くもんだろうかと思いました。

 確かに、朝お店に入る時と焙煎や抽出時には香りを強く意識はしますが、一日10時間以上店内にいても体に香りが染み付くなんて考えたこともありませんでしたから。そんなことを家で食事の時間に話すと、娘から「お父さんもコーヒーの臭いがついてるよ。」って言われ、改めて驚いてしまいました。「加齢臭も消えるからいいじゃないか。」と言っても、「コーヒーの臭いと加齢臭は別!」と切り返されてしまうと返す言葉がありません。

 

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ブラジルの不毛の大地「セラード」開発の奇跡

 ファスナーで知られるYKKグループがブラジルに広大な農場をもち、約30年にわたってコーヒー事業を続けており、今月、東京都内にカフェを開いたというニュースを見ました。YKKは、1972年にファスナー事業でブラジルに進出し、そこでの利益を投資し、地元に貢献しようと、85年にブラジルでコーヒー事業を始めたそうです。その自社農園はブラジルの中央高原地帯セラードだといいます。
 「セラード」はポルトガル語で「閉ざされた」を意味する言葉で、ブラジルの不毛の大地と呼ばれた場所でした。同時にコーヒー産地として知られている「セラード」。 この場所の特別な意味について、久しぶりに『ブラジルの不毛の大地「セラード」開発の奇跡』(本郷 豊、細野 昭雄:著)を取り出して読んでみました。

 ブラジルに「緑の革命」を起こしたといわれるセラード農業開発。ブラジル政府が国家プロジェクトとして着手してからわずか20年余りで、不毛の大地は南半球最大の農業地帯に生まれ変わりました。そして、「20世紀の農学史に輝く偉業」と称されるその陰で、日本の協力が大きな役割を果たしていたことが、NHKのプロジェクトXに登場するようなドキュメタリーとして記録されています。

 改めて、日本のODAやJICAの長年にわたる取り組み、ブラジル移民やその二世のフロンティア精神に感心するとともに、日本人であることへの誇りさえ感じてしまいます。ただ、一方で、日本が開発に大きく貢献したにもかかわらず、主要作物の大豆などの取引に関しては、穀物メジャーが独占的に扱っており、日本は大きく遅れをとっているのです。日本的な奥ゆかしさというべきか?

 また、開発には必ずつきまとう環境破壊という問題もあります。その点については、TV Brasil(公共放送)の作成したセラードの生態系的危機の特集番組があったので、動画を張り付けておきます。 

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見えるもの、見えないもの

 今日も寒さが厳しい一日になりそうです。ニュースでは月曜日頃に前回の寒気よりも強いものが来るとか、月曜なら定休日と重なって、雪かきの必要がないからいいや、などと思いながら、昨晩は家の前で双眼鏡を使って夜空を眺めておりました。

 実は、お店に来る同級生から、「双眼鏡で夜空を眺めと、肉眼では見れない星が見えて綺麗だよ。」と勧められたので、近くのアウトレットでニコンの双眼鏡を購入し、晴れた寒空の中で夜空を見たのでした。めっちゃ寒いので数分しか外に出ていられません。

 「夜空の向こうには 明日がもう待っている~♪」って訳ではなく、寒さだけが待っているのですが、お月様には確実にウサギが住んでいないことが確認できますし、肉眼で見えない星もいくつか見ることができます。残念ながら満月だったので、満点の星空とはいきませんでしたが、同級生が言っていた意味が理解できました。しばらく双眼鏡を車の中に入れておいて、時々夜空を眺めてみようと思います。

 目の前に存在しているのに肉眼では見えないことや、犬には聞こえるのに人間には聞こえない音など、「見えるものと、見えないもの」には物理的な要素がありましが、巷に溢れている情報も、見えているものが全てだと勘違いしやすいものです。本当の事は見えないものの中にあるような気がするのですが、双眼鏡のような物を使って改めて見ようとはしないのが現実なのかも知れません。

 寒さの中で夜空を眺めながら、まだまだ色々な事に興味を持って、ちょっと前に進んで覗き込んでみる行動ができるようになりたいし、コーヒーの事も更に知りたいと思っていたのでした。

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フアン・バルデス

 「本日のコーヒー」はコロンビアにしました。そのコロンビア・コーヒーに使われるロゴに左のようなものを見かけることが時々あります。ソンブレロをかぶり、白いポンチョの上にコロンビア国旗と同じ色の肩掛けを羽織って、収穫したコーヒー豆の袋を積んだラバのコンチータと一緒に並んだイラストです。このおじさんの名前は「フアン・バルデス」と言い、コロンビアコーヒー生産者連合会(FNC)が作り上げたイメージキャラクターです。

 コーヒーの産地といえばブラジルと言われるように、生産量も認知度も一番であり、ブレンドに使用されることの多い二番手、三番手のコロンビアのコーヒー豆を、100%コロンビア・コーヒーのブランド力を高めるために作られました。そして、このロゴを表示できるのは、FNCから認定を受けた100%コロンビアコーヒー商品のみとして、商品パッケージに付いているのです。

 これまで、様々な国や地域のコーヒーを数種類ブレンドしてコーヒーを楽しむことが主流でしたが、最近では、一つの地域や農園に限定したコーヒーそのものの味を楽しむという傾向が強くなってきました。コトンビア生産者連合会(FNC)では、そうした世界的なニーズに応えるため、産地の差別化・ブランド化を図る事が出来るように、「原産地呼称制度」を設けています。

 FNCでは、2005年より原産地呼称制度への取り組みを戦略的に開始し、現在Nariño(ナリーニョ県)、Cauca(カウカ県)、Huila(ウィラ県)、Santander(サンタンデール県)が認定されています。この原産地呼称付きコーヒーの生産にはたくさんの規定やノルマがあり、その管理は容易ではありませんが、生産者は普通のコーヒーを大きく上回る収入を得ることができるのです。

 お店で扱っているコロンビアの豆は、Huila(ウィラ県)の南部、サン・アグスチン村地区のものを使用しているのですが、残り3つの原産地呼称付きコーヒーも飲んでみたいものです。2月には4か所の豆を揃えて飲み比べができるようなイベントもしてみようかな。

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雪きやこんこん

 「雪やこんこ あられやこんこ 降っては降っては ずんずん積もる 山も野原も わたぼうしかぶり 枯木残らず 花が咲く」こんな歌を口遊むような雪景色です。なんと初雪が大雪となって、朝から家の前の雪かきと店のスロープの雪かきで、すでに一日の体力の多くを使い果たしてしまった感があります。(年だ!)

 積雪はメジャーで測るとちょうど10cmでした。これくらいの積雪は毎年1回くらいはあるのですが、暖冬が続いていた反動なのか、心構えができていないために、駐車場の雪かきまでやろうという気持ちになれません。家の近所の方から「今日は休む?」なんて聞かれちゃいましたが、テンションの下がる一日になりそうです。

 そうは言っても、こんな日だからこそ普段できないような事をしようと前向きに考え、興味のあったコーヒー産地のことを勉強しようと思っています。「雪やこんこ あられやこんこ 降っても降っても まだ降りやまぬ 犬は喜び 庭かけまわり 猫はこたつで丸くなる」若い時には雪に喜んで庭を駆け回っていましたが、今では、こたつに入って丸くなるようになっちゃたな~。

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焙煎をしながら

 暖冬と言われたこの冬ですが、1月、2月には必ず寒波がやってきます。今年も寒さが急に増してきて、来週には強い寒波が襲来するようです。本当にコタツの恋しい季節になりました。

 そんな寒い時期にも関わらず、コーヒー豆を求めて来店さえる方が毎日あり、本当に感謝の気持ちでいっぱいになります。今日は土曜日という事もあって、平日には来店できない方々が多数あり、一日の間に何度も焙煎することになりました。小型焙煎機で少量多品種を心がけているので嬉しい悲鳴です。

 焙煎をしながら考えている事は、「先日来店された方が、もう来ていただけた。そろそろ、あの方がお見えになる頃かな?がっかりされないように準備しなければ。」などと考えながら、焙煎する豆を選んでは予熱された焙煎機に生豆を投入します。コーヒー豆がパチパチからピチピチとハゼる音を聞きながら、香ばしい焙煎された豆を取り出す瞬間がたまりません。

 焙煎した豆は欠点豆を取り除くため、50g程度をトレイに出して欠け豆や未熟豆を見つけ出すのですが、老眼でメガネの位置を前後にずらして作業する姿は、恥ずかしくて人には見せられません。でも、焙煎後に放たれる香り高いコーヒーの香りに包まれる至福の時間なのです。

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コマーシャル・ムービー?

 定休日の今日は、朝からコーヒーの焙煎とプリンやケーキの準備をし、午前中に明日からの買い物を済ませました。午後からは、以前から気になっていた映画の『A Film About Coffee ア・フィルム・アバウト・コーヒー』を見るため、電車を乗り継いで名古屋まで出かけたのです。

 「究極のコーヒー」とは何か?コーヒーに人生をかけるプロフェッショナル達の熱い仕事ぶりと哲学を追う世界を席巻するコーヒーカルチャーの"今"を描いたドキュメンタリー。とういのが謳い文句なのですが、コーマーシャル・ムービーって感じでした。

 タイトルを直訳すれば、「コーヒーについての映画」ですが、内容はスペシャリティー・コーヒーのプローモンションだらけで、「コモディティーコーヒーなんか飲まないで、スペシャリティー・コーヒーを選択して飲みなさい!」って連呼してます。スペシャリティー・コーヒーは浅煎りが一番だの、産地を大切にしているなど、水洗式でないのは良いコーヒーじゃないなど、スペシャリティーなら必ず美味しいと言わんばかりの映像が流れています。事前に悪評は目にしていたのですが、自分の目と耳で確かめたかったので納得しながら見ていました。

 この映画に興味を持ったのは、コーヒー産地であるルワンダの映像がPRビデオに流れていたので、どのような内容なの知りたかったからです。昨年の産地セミナーで、現地で活動している青年海外協力隊のメンバーからの報告を聞き、映像としての産地の状況を見たかったのですが、現地の声よりもアメリカのバイヤーばかり目立つ内容でした。

 スペシャリティー・コーヒーの定義も曖昧なまま、その言葉だけが独り歩きして商売道具になっていくのが気になります。この辺の地域では、まだまだ「スペシャリティー・コーヒー」という言葉は浸透していませんので、言葉に踊らされる人は少ないというのが救いかもしれません。

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鏡開き

 今日は、お正月に神様、仏様に供えていた鏡餅を下げ、それを食べる鏡開きの日です。神様に供えた食べ物には力が備わると考えられ、神様や仏様に感謝しながらそれを食べることによって、無病息災を祈願するのです。今朝、妻が親戚から貰った小豆をハンドピックのように、欠点豆を取り出して用意をしていたので、夜には美味しいぜんざいを食べることができました。

 本来、鏡餅を包丁で切るということは、切腹を連想させるので、マナーに反すると考えられており、一般的に木槌で開くことが縁起が良いとされています。昔は家で餅を搗いていたので、硬くなった鏡餅を小さくするのに苦労していましたが、随分前からプラスチックの容器で作られた鏡餅になっており、小分けになった切り餅が中から出てくる便利物で随分手軽になりました。

 こうした昔ながらの風習がテレビの画面だけではなくて、我が家でも続けられていることにホッコリとしながら、いつまで続けて行けるのかな~なんて思うのでした。

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また臨時休業

 一人でお店を営んでいると、どうしても冠婚葬祭の時には臨時休業しなければなりません。今回もお正月休で休んだと思ったら、長女の結婚式で、また休むことになりました。私自身は嬉しいお休みなのですが、いつも来店していただいているお客様には大変申し訳なく感じています。「こないだ来たけど、お店閉まっていたよ!」なんて言葉を聞く度に心が痛みます。

 臨時休業については、事前にホームページやツイッター、店の前のブラックボード、レジ前のメッセージボードなどでお知らせしていますが、なかなか上手くお伝えできないことに歯がゆさを覚えます。けれども、当面は現状のままでいくしかないでしょうね。

 娘の披露宴では、ご来賓の方々をお見送りする時に配るクッキーを頼まれていたので、数種類のクッキーを焼いて用意しました。親として唯一貢献できることができたと内心喜んでいます。事前準備や打ち合わせ等、この日のために費やした二人の時間や苦労を考えると、正直ちょっと手伝えただけなのですが、笑って輝く頭で周りを照らすだけの父親にとっては、これくらいしかしてやれません。前日に床屋に行ったので、尚更輝いていたのではないでしょうか。

 そんな訳で、また臨時休業とさせていただきました。次回の臨時休業予定はありませんが、こんな感じで店を続けていきますのでよろしくお願いいたします。

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七草粥

 今日は、我が家の年中行事の一つ「七草粥」の日です。随分昔から七草粥を食べているのですが、子どもの頃は七草をそろえる事もなく、家にある菜っ葉類を適当に入れて作っていた記憶なのですが、いつの頃からかスーパーで便利なセットを購入し、お手軽に作っているのが当たり前になりました。

 今回も地元スーパーで購入した物をまな板に並べ、妻と一緒に7種類あるのかを確かめたのですが、7種類は確認できましたが、いったいどれが何なのか判別が出来ないものがあります。とりあえず、春の七草「せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ」は、中学生の時に授業で覚えた記憶が残っており、空で言えるだけが自慢です。(こんなの自慢にならないか?)正直、「はこべら」と「ほとけのざ」が良くわかりません。

 七草は、早春にいち早く芽吹くことから邪気を払うといわれ、無病息災を祈って古くから七草粥を食べたようです。また、七草はいわば日本のハーブ、そのハーブを胃腸に負担がかからないお粥で食べようというのですから、正月疲れが出はじめた胃腸の回復にはちょうどよい食べものなのです。けれど、このお粥だけでは物足りなさを感じるのは私だけでしょうか?

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お年玉

 次女がお正月の間の体重増加を気にしたようで、一生懸命に腹筋運動をしているように、食べて飲んでのお正月というのが定番になっていますが、そもそもお正月行事とは、新年の神様である「年神様」を家に迎えて・もてなし・見送るための行事なんだとか。年神様は、新しい年の幸福や恵みとともに、私たちに魂を分けてくださると考えられてきたようです。
 その年神様から魂を分けていただくものが鏡餅です。鏡餅の餅玉が、年神様の御魂であり、その年の魂となる「年魂」で、年魂をあらわす餅玉を、家長が家族に「御年魂」「御年玉」として分け与えたのが、お年玉のルーツなんだとか。お雑煮を食べる行為は、餅を食べることで体に魂を取り込むことになるそうです。

 そう考えると、お年玉っていうのはお金に限らないものになります。実は今日、妻と私、それに長女に関わる懐かしい人が来店されました。久しぶりにお会いしても以前と変わらぬ感じで、時間の経過を感じさせません。私にとっては、お年玉をもらったような嬉しい気分になったのです。もう、お年玉をもらえる年齢ではないのですが、年の初めの有難い再会でした。

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感謝で始まる

 開店以来の長い休業期間だった正月休みだったので、前日の焙煎やロールケーキ作りなど、いろいろ戸惑うかと思っていましたが、意外にも体が覚えていたおかげで、いつもどおりの動きができました。

 昨日思いついた「初窯」に引っ掛けて、急遽「左馬」のシールを作ってコーヒー袋に貼り付け、何かご利益ありそうなパッケージにしてみました。もちろん、このコーヒーを飲んだからと言って何の効果もありませんが、何だか初物らしくて一人で喜んでおりました。

 そんな気分でいられるのは開店前だけでありまして、5日間も店を開けていなかったので、お客様に来ていただけるかと内心不安でしたが、いつもと変わらず常連の方々をお迎えすることができました。本当に感謝!感謝!です。その中でも、ご夫婦で来店された方が5組あり、仲の良い光景を見ることが出来て楽しくコーヒーを淹れられます。感謝で始まる一日でした。

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初窯

 朝から明日の営業開始のため、7種の豆を焙煎し、ガトーショコラとプリン、紅茶のロールケーキを作りました。5日ぶりの焙煎でしたので、焙煎したての香ばしいコーヒーの香りを楽しみながら、今年最初の焙煎を緊張しながら行いました。

 焙煎機は焙煎窯とも呼ばれ、ガスの火で鉄製のドラムを回転させながら熱します。ですから、新年初めの火入れを初窯と言ったりするのです。地元の製陶業に関わる多くの人にとっては、「初窯」という言葉はなじみが深く、昔から、新しい窯を築いて火を入れ、最初に焼成する「初窯」のときに、「左馬」の文様を描いた茶わんを焼いて取引先や従業員に配っていました。その茶碗で飲食をすると「中風」にならない、縁起がよいと珍重されていたのです。起源は諸説あるようですが、子どもの頃から慣れ親しんだものでした。

 地域によっては、製陶工場や陶芸家が新年初めて火を入れて焼成することも、「初窯」と呼ぶこともあり、珈琲屋という全く違う分野ではあるものの、焙煎機(窯)を通じて地域と関わりがあるようで、何だか嬉しい気分になります。

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