中馬のおひなさん

その昔、三河湾でつくられた塩を山間部へ運ぶため、矢作川を川舟で上り、古鼠(ふっそ=現豊田市)で荷揚げされた塩は、足助の塩問屋で荷直しされ、信州方面へ中馬(馬の背で荷物を運ぶ人々の組合)によって運ばれていました。そのため、この街道のことは別名「中馬街道」と呼ばれています。

 街道の中継地点だった足助は、三河湾からの塩、信州からの米やたばこなどの山の産物が集まる交易都市として栄えました。そんな歴史ある足助の古い町並みの民家や商家に、昔から伝わるお雛さまや土雛を玄関先や店内に飾り、道行く人々に町並み散策を楽しんでもらおうと、平成11年から始まったのが「中馬のおひなさん」(310日まで)です。

そんな訳で、豊田市の加茂川公園から足助町へ向かい、足助交流館の裏にある駐車場へ車を駐車して散策していると、町のいたる所に赤い「中馬のおひなさん」と書かれた旗と、「おひなさん展示中」とカラフルな文字で書かれた看板が目に留まります。

その場所には店先や店内にお雛様が飾られており、道行く人達がお雛様を見ながら散策できるようになっていました。中には、地元の信用金庫の前に中馬のおひなさんを模った顔パネルがあったり、「だき地蔵」のお堂の中にも雛人形が飾ってあったりと、町中がこのイベントを盛り上げています。平日にも関わらず多く観光客が歩いていますが、さすがにローカルなイベントだけに、外国人の観光客は見当たりませんでした。

「だき地蔵」のお堂の前には、ひな祭りの原点といわれる風俗行事「流しびな」が再現されており、人形を模った半紙に懺悔の言葉や願い事を書いて、地蔵堂の前に吊るすことが出来るようになっていました。書いたものは足助の川には流さず、本尊に奉納するそうです。

この日は寒さが戻ってきた天候でしたが、途中の「ミートショップいずかめ」で、猪肉の入ったアツアツの「シシコロッケ」を食べおかげで、足取りも少しばかり軽くなった散策となったのでした。少しは運動不足が解消されたのかな?