ドーン

一昨年から、糖分と油脂分が多いのが特徴だった高級食パンのブームが去り、昨年には、新型コロナウイルスの感染拡大による巣ごもり需要で、空前のブームとなった唐揚げ専門店ブームも下火となりました。いずれも、同業他社が乱立する競争激化と原材料費や光熱費の高騰のうえ、多くがFC店ということもあって、利益が減少する中で高いFC加盟料を払い続けることとなるため、廃業に至るケースが目立ちます。

個人事業として開業するケースの多くが、事業を始めて1年後に生き残っている割合は、62%ほどといわれています。3年後にはその割合は38%程度まで減少するため、3年以内に60%以上の個人事業が廃業していることになります。〇〇ブームだからといって、勢い参入したところで、開業当初は売れ行き好調であっても、徐々に下火となるのが普通だということです。

 市内には高級食パンの店は無いものの、パン屋さんは私の知る限り、ここ数年の間に5店舗は増えています。FC店ではなくとも、パンのロス(廃棄)は作ったパン全体の約510%あると言われるので、一部の店では夕方から値引き販売したり、売り切るまで営業時間を延ばしたり、中には売れ残ったパンを車に乗せて売り歩く光景を見たりします。その点、減った分だけ生豆を焙煎する小規模な珈琲屋の私としては、ロスは無いものの、ブームに乗るにも乗れないのが現実です。

 ちなみに、コーヒーブームとかカフェブームとの言葉を聞きますが、全日本コーヒー協会の統計資料を見れば、業者による売る側の論理で形成された偽りのブームだと分かります。全体としてはコーヒーの飲用は減少傾向にあり、自動販売機のコーヒーがコンビニコーヒーに移行し、喫茶店利用者が大手コーヒーチェーンに移動しただけだったりするのですから。日本の人口が毎年、鳥取県の人口分減っていっている現状を見れば、コーヒーを飲む人が増えている筈もないのです。

 最近では、222日の中日新聞で、『25年度完成を予定していた土岐市泉町定林寺の「泉北部レクリエーションゾーン」の建設事業は、24年度に造成工事着手を計画していたが、建設に携わる「スノーピーク地方創生コンサルティング」の親会社「スノーピーク」(新潟県三条市)が自社買収(MBO)を実施することを受けて、急きょ予算から外して休止する。現段階では事業の再開は未定。スノーピーク地方創生コンサルティングと親会社の経営状態を確認し、今後の方針を協議していく。』という記事がありました。

キャンプブームに乗っかって計画された大型のレクリエーションゾーンの計画でしたが、スノーピークをめぐっては、213日に発表した202312月期決算で、売上高が前期比16%減の257億円、純利益は同99.9%減のわずか100万円と大幅減益を発表、一時株価が急落しているうえに、今回の自社買収(MBO)を実施ですから、キャンプブームの終焉を象徴しているかのようです。

ブームとは英語ではboom。日本で使われているブームは流行という意味で使われる事が多いですが、ブーン[ドーン]という反響音が鳴り響く、〈大砲・雷などが〉とどろく、〈声・オルガンの音などが〉響くといった意味から派生しており、大砲がドーンと鳴り響いても、続けて連打されることなく終わってしまうものなのです。決してスタートの合図でブーン[ドーン]と号令が鳴り響いた訳ではないことを忘れてはいけません。 

新型コロナウイルス感染症もブームのごとく終焉を迎えて欲しいのですが、こればかりは一過性には終わりそうもありません。昨年末に私も感染し、先週は妻も感染してしまいました。そのためか、定休日を挟んでも疲れが取れていない状態です。