久しぶりのCOEカッピング

今日は、UCCコーヒーアカデミー東京校で開催されたCOEカッピング会、「タイ&コスタリカ COE2023ロットを楽しむ」へ行って来ました。まめ蔵では取り扱うこともないCOEのコーヒーですが、それだけに自分の知らないコーヒーの世界があると思い、強い興味だけで足を運んだという訳です。

コロナ禍前には、何度かCOEのカッピングセミナーには出かけて来たものの、4年ぶりとなると多少緊張する中で向かいましたが、会場へ入ればコーヒーの香りに包まれて落ち着くことができます。そして、前半にコスタリカのCOEカッピングの後、タイのCOEといった流れで始まりました。

コスタリカCOEでは、上位30ロットの内、ゲイシャが15と半数を占めており、ナチュラル4、ウオッシュド2、ハニー4、アナエロビック5と、「なんでゲイシャをアナエロビックにまでする意味あんの?」って疑問が湧いてきます。さらには、ケニアのスペシャルティコーヒー界でメインになっている、SL28やサン・ロケ(San Roque)などと呼ばれる豆が12もあり、COEの大半がゲイシャとサン・ロケで構成されている状態に驚くばかりです。コロナ禍前に経験したコスタリカCOEのカッピングの内容と様変わりした光景を目にしました。いや、口にしました。

 そのCOEの豆をオークションで競り落とした内容を見ると、台湾・中国といった中華系ロースターや韓国の存在の多さに加え、タイやインドネシア、そして日本を含めれば、このCOEってのは、アジアの珈琲屋のためにやってんじゃないの?と思えてきます。それに、2020年まで1aのロットを必ず競り落としていた、日本の某有名会社の名前がなくなりました。これも時代か?

 後半のタイのCOEは、カティモールが16ロット中12を占めています。以前から栽培されていた品種で栽培環境に適したものでしょうが、その分、ウオッシュドは2つのみで、ほとんどナチュラルやハニーといった精選方法で個性を出しているようです。コスタリカと異なりオークションの対象となる重量が極端に少ないため、入札しやすい価格総額となります。

 COE(Cup of Excellence)とは、生産国内及び国際審査員であるカッパーによって、複数回のカッピング審査の後、一握りのコーヒーだけがCup of Excellenceの称号を授与されます。その後、審査結果と共に各国にサンプルが送付された後、インターネットオークションを通して最高値の応札者に販売されます。農園が栄誉ある称号と高値の報酬を受け取ると同時に、オークション参加者は顧客に高品質のコーヒーを提供できるウィン・ウィンの関係だといいますが、高額なコーヒーは一部の人しか飲めないし、COEの冠に踊らされて飲まされているようで不思議な気分です。

 今回の参加者の一人から「1位のスコアが高すぎるのでは?」といった意見が出ましたが、そもそも、私が珈琲屋を始めたころはスコア85点以上がCOEだったものが、2016年から86点となり、今では87点以上になっていることからも、点数なんてあてにならなくなっているのです。国際審査委員も韓国・中国・台湾が台頭し、評価の見直しも必要ではないかって話も聞きました。

 パチンコ機器メーカーが所有する農園がCOEに入賞したり、ゲイシャの対抗馬のようなサン・ロケが増え、勢いのあるタイのコーヒーといった内容盛りだくさんのカッピング会でしたが、以前のような驚きが無かったというのか正直な感想です。むしろ、ウエルカムドリンクで提供された、ブラジル・ダテーラ農園のコーヒーが美味しかったのが印象に残りました。 

 それにしても、田舎者には東京は疲れる場所だ。