飲んでみたいな

最近になって、タイでもCOE (Cup of Excellence)が始まったことを知りました。コロナ禍の20213月に、生豆商社によるWebセミナーでインドネシアとタイのコーヒーについて話を聞きましたが、その際、タイにおいてはロブスタがメインに生産されており、自国消費が多いためにコーヒーを輸入している状況を知った程度だったので、正直、驚いたのです。

まめ蔵でも、過去に、タイ北部のミャンマーとの国境近くに位置するチェンライ県の生豆を使用したことがあります。しかし、アラビカの生産量が少ない中で、生産国の高品質のコーヒー豆を決定するための品評会が出来るのか不思議に思い、アメリカ合衆国のNPO法人Alliance for Coffee of Excellence、通称ACEのホームページを覗くと、確かに2023年の実績から掲載されていました。

一応、2022年に試行的に行われた後、2023年に本格的に行われたようですが、個々の生豆の重量が極端に少ないようです。タイでは北部の少数民族によってアラビカが生産されており、小規模ながら高品質なアラビカの精選も行われており、ナチュラル、ハニー、アナエロビックといった処理方法も取り組みされているとWebセミナーで聞いてはいたものの、タイのコーヒーについて知らないことが多いことを実感します。

タイ北部の山岳地帯では、ゴールデントライアングルと呼ばれた、焼畑農業による麻薬の原料となるケシの栽培が行われてきました。山岳民族が生計を立てるために栽培していた訳ですが、同時に地元住民の健康被害が深刻な状態となっていました。そのため、1988年に王室が「ドイトゥン・プロジェクト」を立ち上げ、環境破壊と麻薬を撲滅し山岳地方に住む人々を救済するため、ケシの代わりになるコーヒーや果物の栽培を促したことから、タイ北部でアラビカコーヒー栽培が拡大したのです。

そうしたコーヒー産業を守るため、国内消費が進むよう海外からのコーヒー豆の輸入を制限する高い関税も納得です。もっとも、ASEAN協定でラオスやベトナム、ミャンマーは比較的安価に輸入できるようですが、主にロブスタなので大きく影響は受けないようですが。 

そんなクオリティーの高いタイのコーヒーを、いっぱい飲んでみなくなった店主です。