被災地の情報

令和6年能登半島地震が発生し、まもなく2週間が経過しようとしています。この間、新聞やネットニュースなど多くの媒体を通じて被災地の現状を見てきました。普段どおりの生活ができる自分たちに感謝しながら、何かできることはないかと考え、夫婦で日本赤十字社へ「令和6年能登半島地震災害義援金」に送金する事にし、先日、郵便局へ行って来ました。

 震災の現状を取り上げる媒体は多くあるものの、映像として人を引き付けるものであったり、多くの人が関心を持つ内容に限られてきます。当然、決められた時間内に映像を流し、限られた誌面に載せるため、情報の選択が行われてしまうのは仕方のないことです。

 私のように、ろう者と関わりを持つもの者として最初に目にしたのは、石川県聴覚障害者センター(金沢市)の動画でした。以下は発信された情報の概略です。

1月1日

珠洲市で大きな地震が発生し、今後も揺れる可能性があります。高いところへ逃げてください。怪我や助けて欲しい事があれば、公式LINEに送ってください。

1月1日

自分の地域のろう協に安否の連絡をお願いします。

1月1日

安否確認の連絡のない人がおり心配しています。被害を受けた人が何人かいるようです。必要なことがあれば連絡をください。

1月2日

石川県聴覚障害者協会災害救済対策本部を立ち上げました。ろう協会員の安否確認をしているところです。被害のひどい奥能登地域では家屋の倒壊や輪島の火災など被災があります。被災地への継続的な支援の方法について検討、相談をしております。

1月3日

奥能登地域(珠洲、輪島、能登、穴水)数人の確認が取れていません。今朝、株式会社プラスヴォイスの三浦社長が珠洲市に向かい状況確認されました。結果、自宅が全壊なった珠洲市のろう者と無事会うことが出来たということです。また、珠洲市総合病院に同行されるなど色々と情報をいただきました。奥能登のほぼ全域で停電、断水です。生活が困難なうえ、スマホのバッテリーが無くなると充電できない状況です。

1月4日

奥能登(珠洲、輪島、能登、穴水)は道が遮断されるなど通行が困難な状況で、救援物資が届いていない避難所もあります。そのうえ、聞こえないために情報を取得できず、孤立しているろう者が多数います。それらの人において、情報保障の支援、そして救援物資を届けることを考え、石川県聴覚障害者センターに届いている救援物資を奥能登へ届ける人を募集しております。

1月4日

能登地区においては、ほぼ避難所や車中生活となっています。食事もおにぎり一つと空腹状態の人もいます。水は2Lのペットボトル(箱)、お菓子類、カイロ(箱)の三つを今後も引き続きご協力いただきたいと思います。

1月7日

全国の皆さんにいただいた支援物資を車5台に詰め込み、輪島市曽々木、能登町藤波、能登町松浪、珠洲市、穴水の5ヶ所へ朝9時に出発して向かいました。ろう者が避難所にいる地域になります。目的地に着くまでに6時間、長くて8時間かかりました。ろう者どうしが手話言語で話せたこと、心の思いを手話言語で吐き出せたこと、手話言語で話せることで顔が明るくなり嬉しそうな様子でした。やはり対面での会話は大切であると改めて感じた、被災地支援の一日でした。

1月8日

支援物資を車5台に詰め込み6日朝9時に出発して向かいました。6日(土)の夜のうちに3組が戻り、7日(日)の朝に2組がようやく帰還、地震や雨等による陥没や悪路で、車の移動に時間を要しました。避難所か自宅かどこにるか分からない、情報保障の状況も掴めていませんでした。今は自衛隊が支援物資を被災地へ届ける体制が整ったことをうけて、私達は被災者の情報保障を中心に調査していくことに切り替えていきます。

1月9日

震災から一週間が経過しました。情報提供を行います。能登地域で補聴器の電池が無く困っている、聞こえにくい、聞こえない方いませんか?補聴器の電池が欲しい方はご連絡ください。障害者手帳をお持ちでなくても、必要な方にお届けします。連絡をお待ちしております。

1月11日

被災者へ継続的な支援を行うための支援金と、被災者へ直接お渡しする義援金の募集を開始します。

 

高齢者のろう者が多い地方では、スマホが使いこなせない方や停電でFAXが利用できないなど、情報保障が得られない状況に置かれてしまいます。何より手話による会話が出来ない状態が孤立を生み出し、精神的に被災者を追い込むことになります。

そんな中にあって、遠隔通訳サービスなどを行う株式会社プラスヴォイスや、認定NPO法人 障害者放送通信機構が行う「目で聴くテレビ」では、災害発生直後から被災地での苦しむろう者の状況を動画で配信しています。自宅でなんとか生活している人、避難所で不自由な生活をする人の情報から、被災者へ向けた様々な情報提供を行う様子が見てとれます。本当に貴重な存在だと思います。ただし、その情報を受け取れる手段のある人が対象なのですが。 

 災害支援は始まったばかりです。様々な情報を得ながら自分が出来ることを考えてみる店主でした。