屋久島から

年末に、屋久島から実家へ帰って来たというお客様が来店されました。同席されたご家族によると、屋久島で山岳ガイドをされているとのこと。(確かに山男って感じ)コーヒーを提供した際、「屋久杉をまだ見たことがないんです。」と話すと、「屋久島は屋久杉ばかりが取り上げられますが、」の言葉を皮切りに、屋久島に関する話が矢継ぎ早に飛び出してきました。

そもそも屋久島は、島の中央に九州最高峰の宮之浦岳(1,936m)をはじめ、標高1,800m以上の山岳が10座、1,000m以上の山岳が46座を数える山岳島で、「洋上のアルプス」に例えられるといます。そして、1993年には、島の面積の約21%にあたる107.47km2が世界遺産(自然遺産)として登録されているのですが、世界的な動植物の移行帯に位置する湿潤気候下の高山として特異な環境下にあり、北限・南限が自生している生態系を構成していることが選定された大きな理由だと知ります。

思わぬ平地で屋久島の山岳ガイドを受ける事になりましたが、一応、珈琲屋ということもあり、屋久島でのコーヒー栽培について話をしてみると、「島内の南部でいくつかのコーヒー農園がありますよ。」とのこと。私の知る限り、屋久島でのコーヒー栽培は30数年以上前から始まっており、小規模な農園が存在しているという認識です。

山岳島というだけあって、屋久島は花崗岩で成り立っている島です。そのため作物を育てる畑の土としては痩せている場所が多い。しかも、急勾配の土地が多くて山からの水も流れが早く、土壌の養分が溶けにくいのです。そんな地形の特徴もあって、小規模で手間をかけ丁寧に育てる有機農法を行う農家が多いと言う。

島の南部には平地もあり、麦生地区や平内地区周辺には何軒かのコーヒー農園がありますが、主に屋久島へ移住してきた人達が飲食店を併設しながらコーヒーノキを育てているとのこと。調べてみると、「沖永良部島から取り寄せたアラビカ種の苗150本を約15アールの畑に植えた。」とか、「200本を超えるコーヒーノキいっぱいに実を付け、細い枝をしならせていた。」という地元新聞の記事を目にします。ただし、コーヒーノキ一本で収穫できるコーヒー豆は200g程度なので、現地へ行かなければ飲むことは出来ません。 

今年は少し遠出をして、南の島へ行ってみたくなった出会いでした。