竜吟の滝へ

『昔々、不動川の一の滝には雄竜が、二の滝には雌竜が住んでいました。2つの竜は互いに鳴き声を交し合い、のどかに暮らしていました。ある年のこと、この村に大干ばつが襲いました。夏の陽射しがギラギラと照りつけ、田畑は干からび、稲も作物もすべてが枯れ果てようとしていました。村人たちは困り果て、最後の手段として不動川の竜に雨ごいをしょうと決心しました。8月の満月の夜。村人たちは必死に祈り続け、月が丁度真上に差し掛かったときです。突如、滝つぼの水が大きく盛上り、天を裂くような大きな鳴き声が轟き、雄の竜が天に向かって昇り出しました。すると、それに呼応するかのように雌竜が甲高い鳴き声を上げ、共に空に舞い上がりました。2匹の竜は絡み合いゴロゴロと天を走ったそのとき、大粒の雨が降り出しました。それ以来、干ばつもなく、水の豊かな土地となり、滝は「竜吟の滝」と呼ばれ村人たちを守っています。』

 こんな伝説が残っているのが、瑞浪市釜戸町にある「竜吟の滝」です。国道19号線を恵那方面へ走っていると、国道わきに「ドラゴン21」という高さ5.6メートル、今まさに卵から飛び出そうとしている竜をデザインしたモニュメントが見えます。その奥にあるのが竜吟峡で、落差が16mある竜吟の滝を代表する「一の滝」、滝上に赤い橋が架かる「二の滝」をはじめ、「三の滝」、「えびす滝」、「あんま滝」、「昇竜の滝」、「梵天の滝」の七つの滝が連続する景勝地です。

 画像は「一の滝」で、不動明王が祀られており古くから「不動滝」の名で呼ばれていました。高さ16mで、かつては御嶽教の行場であったとも伝えられております。二の滝」は女滝で、昔は滝つぼが現在よりも広く深く、遊泳場となっており、子供の頃に隣保班の旅行で訪れた記憶があります。今は紅葉が綺麗で、数名の方が散策されておりました。 

それにしても、竜(龍)は現実には存在しないし、存在しないことをだれもが知っています。けれど、竜は太古の昔より生活の様々なところに存在しており、神社の手水の水の注ぎ口、法堂や仏殿の天井や襖絵の中に、十二支の中にも唯一の架空の動物として登場します。現在でもラーメンどんぶりやゲームやアニメのキャラクターとして広く様々な表情で浸透している不思議な存在です。