庭の花

朝食後、いつものように私が淹れたコーヒーを夫婦で飲みながら、テレビの天気予報を眺めて他愛のない会話をしていると、妻が立ち上がってレースのカーテンを開け「綺麗に咲いた。分かる?」と自慢げに声を上げます。「はいはい。」と力なく返事をしたものの、店に向かうため玄関を出た際、咲いている花を一つずつ見ると12種類の花が確認できます。

 下手に「12種類あった。」と答えようものなら、「まだ有りますよ!」と言われそうなので、そのまま車に乗り込み店へ向かいました。そんな花の手入れに余念のない妻は、11月に入ってからの休日は、庭に植えられた一本の松の選定に一生懸命です。今年も「我が家の庭師」が健在であり、相変わらず「園芸日誌」と書かれたノートに何やら記録しております。

 店に着いて、開店準備が整った手隙時間に咲いた花を改めて見てみると、抗白菊、パンジー、ローズガーデン、ハイビスカス、ストロベリーフィールド、ペチュニア、白菊、ヒャクニチソウ、小菊、黄菊、ダリア、茄子の花、あっと、パンジーと一緒にシクラメンもあります。やはり12種類あったなどと言わなくて良かった。それにしても、日常生活の中で当然のように咲いている花々を日々手入れしているのだから、まったくもって感心するばかりです。

松下幸之助は『道をひらく』(PHP研究所)の中でこんなふうに言っています。「仕事には知恵も大事、才能も大事。しかし、もっと大事なことは、些細と思われること、平凡と思われることも、おろそかにしない心がけである。むつかしいことはできても、平凡なことはできないというのは、本当の仕事をする姿ではない。」と。 

特別なケーキやクッキーは作れません。特別なコーヒーは淹れられません。ですが、平凡ではあるけれど、丁寧に作ったケーキやコーヒーを提供したいとは思っています。妻のように生きている植物を扱うのはとても苦手ですから、せめてこれぐらいは心掛けています。

コメントをお書きください

コメント: 2
  • #1

    あべちゃん (木曜日, 16 11月 2023 07:18)

    今日から、元気復活ですか❗
    無理されないように…(笑)

  • #2

    まめ蔵 (木曜日, 16 11月 2023 12:59)

    適度にお客様の数は少なく、コーヒー豆を買うお客様が多く、のんびり過ごせております。