龍の雌雄

来年の2024年(令和6年)は辰年です。名古屋市港区や江南市には龍神社があるほか、1900年以上の歴史を持つ熱田神宮には三種の神器の一つ、草薙神剣(くさなぎのみつるぎ)をご神体としてお祀りしており、境内の北東、神楽殿の東奥には龍神社もあります。

 ですが、今回は龍の名も付かない、各務原市にある手力雄神社(てぢからおじんじゃ)へ行ってきました。地元では「てぢからさん」と呼ばれる馴染み深い神社で、天照大神が天の岩屋戸に隠れていたとき、岩屋戸を開けて引き出したと言われる、力が強いことで有名な手力雄神(たぢからおのかみ)を主祭神としています。また、織田信長が稲葉山城の斎藤氏を攻め入るときに必勝祈願のために立ち寄ったとされています。

拝殿から裏に回ると、1674年に建てられたとされる本殿があります。流れ造りという呼ばれる形式の建物で、ヒノキの木の皮(檜皮・ひわだ)を使った屋根が特徴的です。その本殿左右には、胴体と四肢が本殿の梁にまきつくように取り付けられた龍の彫刻があります。江戸時代に作られたことだけは分かっていますが、作者が誰なのか分からないそうですが、この彫刻は「龍の雌雄」として市の文化財に登録されています。

この龍には伝説が残っており、夜な夜な本殿から出かけて村の畑を荒らしたそうです。そのため、みんなで相談の上、拝殿の龍が二度と出歩けないように、目玉に大きな釘を打つことにしたそうです。(実際には龍の彫刻の目に釘は打たれていないようです。 

辰(竜、龍)は十二支の中で唯一空想上の生き物で、権力や隆盛の象徴であることから、出世や権力に大きく関わる年といわれています。世の中は、既に権力やバブル的な隆盛に関わる状態となっています。今後はさらに大きな動きとなることでしょう。不安定な世の中が続きそうです。手力雄神社で、世界の平安を祈ってきました。