第3回 CHALLENGE COFFEE BARISTA

東京へ出かけた二日目、928日の午後は、「第3回 CHALLENGE COFFEE BARISTA」を観覧するため品川プリンスホテルへ行きました。第1回がコロナ禍のためオンラインのみの観覧でしたが、第2回目からは応援又は一般での観覧参加も可能となったことから、今回が二度目の観覧となります。

『障がいのある方たちのバリスタコンペティションを行い、「技術の向上」と「新しい雇用の創出」を目指すために開催しています。コーヒーを通して、障がいの有無に関わらず、すべての人がその人らしく活き活きと、命を輝かせて生活できる「インクルーシブな社会」となることを願い企画いたしました。』という大会趣旨に興味を持ち、未だ見ぬ「インクルーシブな社会」とは何かを考えるため観覧してきましたが、今回、少し変化が見られました。

その変化の一つが、技術審査とブレンド審査の順番を入れ替えたことです。昨年はブレンド審査後に技術審査が行われたため、競技参加者の緊張感が長く続いてしましたが、先に技術審査が終了したことで、ブレンド審査に参加した表情が柔らかく会話も多くありました。緊張から解放された笑顔も見られました。

また、スポンサー紹介をブレンド審査時間中にモニターで行い、効率的に消化することが出来ている。MCの女性も誤読も少なくスムーズに進行していました。欲を言えば、ブレンド審査は紙に書いた結果を集計するのではなく、会場内に10個のボタンを設置し押してもうなど、結果をモニターに数字等で表示すれば臨場感や共感を得られる上、集計時間が短縮できて早く審査結果が出せると思います。そもそもチーム名を伏せたブラインド審査なのですから、どのコーヒーが美味しいと評価されるのかリアルタイムで分かることには問題がないのでは。

今回、会場に入って一番驚いたことは応援者や一般観覧者が多い事です。関東圏以外の参加チームが半数あることから、本社機能を持つ企業の多い都市部のチームは、障害を持っている人の雇用促進と安定を目指し、事業主が障がい者の雇用環境や勤務時間に配慮できる特殊子会社を設立してカフェ運営をするところもあります。そのため、会社同士の名刺交換会のような景色が少なくなり、地方の家族的で楽しい応援団が多数みられ、大会を盛り上げてくれていました。

以下は技術審査を見ていた感想です。

1 軽井沢 ひまわり (長野県北佐久郡)

最初のチームということもあり緊張する様子が見て取れました。その為かカップに注ぐ量がまちまちになってしまった。

2 焙煎所諏訪ひまわり (茨城県日立市)

カフェ設立という目標が明確にあり、競技として何をすべきか考えられている。最初に審査員へタイ語とスペイン語で挨拶や、「いいよ!」「せーの」といったチーム内での声掛け、褒め合うことで一体感が生まれているが、そうしたパフォーマンスに拘り過ぎたのか、タイムオーバー気味なのが気になる。

3 SKY CAFE Kilatto (東京都品川区)

 焙煎所諏訪ひまわりとは対照的で、スマートな動作は日頃から行っている安心感がある。抽出やコーヒーの提供は無駄がなくクオリティーは高いが、前者と評価の別れるところではある。

4 ACCEPT COFFEE ROASTER(S) (兵庫県西宮市)

 「ブラックコーヒーが飲めない人が作ったコーヒー」と正直に言ってしまうところが良い。競技の練習をする中でブラックコーヒーが飲めるようになり、抽出後に試飲をしてから提供するスタイルにしたようで工夫がみられる。ただ、コーヒー豆を多めに挽いてから計量するため、二度目の方には挽きたてが提供できないのでは?

5 Café de Bell (東京都港区)

 普段から働いている様子が想像できる手際の良さ。前のチームが使用したコーヒーの香りが移らないよう、少量の豆を一度挽いてから使用する豆を投入している。さらに、挽いたコーヒー粉を茶漉しで微粉を取り除く芸の細かさ。

6 HINARI CAFE (東京都港区)

 Café de Bellと同様に、前のチームが使用したコーヒーの香りを取り除く工程あり。ただ、ミルから直接ペーパーへ粉を落とすことへの評価が気になる。(私がいつもやっていることだけど)

7 冬青(そよご)珈琲チーム (愛知県長久手市)

 車いすのメンバーが一人入っている。そして、車いすに乗りながら抽出を担当するため、テーブルの高さ調整が必要だと感じた。臨機応変に対応できなかったのだろうか?

注湯の3回目に湯温を下げる工夫や、別のサーバーを使用して抽出後の撹拌をしてから試飲するなど、細かな動作があるが無駄な動きともとられる。

8 コーヒー工房しらはま (神奈川県藤沢市)       

 サーバーに「ここまで↓」と書いたシールが有ったり、カップにコーヒーを注ぎ過ぎて減らすなど、学生らしい未熟さがみられた。

9 HUG CAFE (兵庫県宝塚市)

 チーム紹介が好印象。障害の内容が他のチームと異なるため、どう評価されるのか気になった。しっかり練習したことが見て取れる。

10 チームばっぺーた (沖縄県宜野湾市)

 カフェで働いているだけあって手慣れており安心感がある。

 今回3回目目でありながら大会参加希望チームが大幅に増えたといいいます。次回はブロック予選と本戦という形式を考えられているようで、規模が大きくなり素晴らしいことです。ただ、同時に個々のチームの障害の内容や程度をどのように判断するのかといった競技運営的な面や、参加したチームがその後どのような活動をしているのか?大会参加が意味あるものになっているのかの検証も必要だと感じます。コーヒーというビジネスで新しい雇用が創出できるのか?まだまだ先を見てみたい気持ちになります。

 最後に、大会運営に携わっていたボランティアが昨年と比べ浮足立った感が無い。技術審査が先に行われたことで競技参加者の緊張感が伝わり刺激になったのか、ボランティアの年齢層が高くなったのかは不明ですが、印象はとても良かった。そして、長時間立っているのが辛いので、椅子が欲しい!