SCAJ2023のセミナー

二日間、SCAJ2023のイベント期間中に3つのコーヒーセミナーへ参加してきました。一応、ここに記録しておきます。

■ダテーラ農園・マスターピース2023試飲会

ブラジルのミナスジェライス州・パトロシーニョ市に位置するダテーラ農園は、2750haという広大なブラジルを代表するコーヒー農園です。2750haというと釧路湿原の2,700haと同じくらい、もっと分かりやすく言えば山手線の内側とほぼ同じ広さになります。このダテーラ農園では、クラシックラインと呼ばれるブラジル独特の香味を待つ豆が75%生産されており、残り24%がコレクションラインと呼ばれ、よりエレガントで、より甘い特性を持つ豆、さらに、今回カッピングを行ったマスターピースと呼ばれる1%のコーヒー豆が生産されています。

 ダテーラ農園のマスターピース・カッピングは20199月にUCC神戸で行った経験があり、個々の豆にはブラジルの音楽や文学、神話になぞらえた名が付けられていました。今年はコーヒー生産を始めた1993年から30周年、オークション開始から10周年となることから、それぞれ記念となる年数が表記されています。

 2019年の際には、エアロビック2種類、アナエロビック11種類、そしてハニーが2種類でしたが、今年は15種類全てがアナエロビックで、イースト発酵や発酵時間の微妙に変えたバリエーションになっています。中には珍しいYellow Gesha 、Yellow Aramosa Paraiso Organicといった品種もあり興味深かったのですが、ここまでアナエロビックにしてしまうと、本来のコーヒー豆の持つ香りってなんだったんだろう?って逆に気になります。

■高品質コロンビアコーヒーの特徴を差別化するための生産工程における革新

FNCコロンビアコーヒー生産者連合会の研究センターCenicafé(セニカフェ)から、ヴァレンティナ・オソリオさんによる講演会です。「革新」とあるため、またもやアナエロビックを中心とした話かと思ったら、環境・土壌・天候に合った品種の選定や、適切な状態での収穫や精選がいかに大切かをデータに基づいた説明が行われました。

Cenicafé(セニカフェ)は1938年に設立され、研究農園として始まり、現在は、おそらく最も古く、世界で最も大きいコーヒーの農学研究でもあります。バイオテクノロジーを駆使して丈夫で品質の良い苗木の遺伝子を研究したり、害虫や病気のコントロール、投資や労働の効率を改善して作物の生産性を高め、農園の経営を良くすることなどを研究しているところです。

コーヒーの実の完熟度合いによって有機酸や多糖類が増えることや、発酵時間が長ければコーヒー豆の評価となるスコアが良くなる訳でないことをデータとして検証されていました。また、生豆の水分量による食品安全性についても検証されています。ただ、こうしたデータに基づいた研究が現場のコーヒー生産者にどのように届き、活かされるいるかが少し不明な点もあります。

■キリマンジャロコーヒー~キリマンジャロコーヒーの試飲とタンザニア生産者・輸出者のご紹介~

 5月にUCCコーヒーアカデミーで行われたタンザニアコーヒーのセミナーへ参加したため、また同じスタッフじゃないですか?と思っていたら、今回は、生産者や輸出業者への仲介を目的としたセミナーのようです。

 それぞれの農園や輸出業者が扱うコーヒー豆を実際にカッピングしますが、セミナー参加者が多いのに30種類もカッピングするため、カッピング用のテーブルは渋滞状態でした。30種類の中でロブスタが4種類ありましたが、意外にもロブ臭の少ないものもあります。また、ドライの状態でナチュラルやハニーを強く感じても、実際にカッピングすると期待するようなコーヒーではなかったりと、カッピングの面白さも味わいます。 

 コロナ禍以降、こうしたコーヒーに関するセミナーを受講する機会が減った私にとって、今回は貴重な体験をした二日間になりました。