好きな番組

最近の楽しみの一つが、NHK総合で放送されている海外ドラマ『アストリッドとラファエル 文書係の事件録』です。今月23日からシーズン3がスタートし、鋭い観察眼を持つ文書係アストリッドと猪突猛進型の警視ラファエル、正反対の女性バディが難事件を解決するフランス発の人気犯罪ミステリーを観ています。(録画で)

 今回の放送の中で、なるほどと思う部分がありました。それは、アストリッドが自閉症者での集会で、「この捜査はまるで真実が嘘のようで、逆に嘘が真実のようです。」と相談している場面でした。(捜査情報を話すことは良くはないが)

 相談に対し、「それが情報操作の特性だ。否定すると真実味が増す。嘘を信じ込んでいる人達を説得するのはとても難しい。」、「ワクチンの噂と同じだ。自閉症になるって!?」と、情報操作から陰謀論にまで話が及びます。するとウイリアムが、「陰謀論というのは、何より拒否なんだと思う。社会の複雑さを拒否すること。複雑な問題への単純な答え。」なるほど、正しく理解することではなく、自分を納得させたいのだ。

 マスコミに取り上げられる様々な情報には、以前から怪しいものが登場していますが、最近では「諸説あります。」という言葉を良いことに、まるで真実のようにデフォルメされて取り上げられている場面を多く見ます。「また、いい加減なことやってるわ!」と客観的に見られるうちはいいのですが、人によっては「そうなのか!」と真実と捉える人も出てきます。また、そうした人が店内で友人に語りかける場面を見ることもあり、諸説ありますが、一瞬にして真実となって拡散してしまうのです。

 良識ある知識人の中にはマスコミへの対応に苦慮されたり、苦言を呈す方もあるようですが、世の中には便乗して利益を得る方を選択する方もあります。または、まんまと利用されてしまって、本意でない方向に解釈されてしまうこともあります。そして、何よりも情報を得ようとする側が、自らを納得させるために単純な答え(ストーリー)を求めてしまうのです。コーヒーの業界でも、〇〇〇チャンピオンとか〇〇バリスタといった肩書きのある人が発信する情報が、あたかも全て正しいかのように見てしまう人もいます。一つの選択肢だけだというのに。 

 社会の複雑さはこれからも解消されないだろうし、コーヒーについても商売に有利な情報が垂れ流されます。面倒でも一つ一つ確かめながら選択していくしかないですから、せめて自分が発する言葉だけでも、誤解されないように気をつけなければと思ったしだいです