同伴者

 数か月に一回程度、まめ蔵へ来店されるお客様がいらっしゃいます。名古屋市から東海地区を社用車で転々と出張で巡る方で、この地域に出向く際には必ず顔を出し、コーヒーとケーキを楽しんだ後、幾つかのコーヒー豆を購入されます。

 ところが、今日は同伴者を伴ってのご来店です。なぜだろうかと尋ねると、「新人の指導者を任されたので、同伴で出張先へ向かうところです。」とのこと。なるほど、今回は実践の場を新人に与えて見守るという訳ですか。この方と一緒なら上手くいくだろうと思いながら二人を見送りました。

 その後、母子と思われるお客様が来店されました。しかし、その母親と思われる女性は、以前、ご主人と二人で来店されていたことを思い出します。数年前から度々来店され、「ここのコーヒーは美味しいから。」といって楽しそうに会話されていたのですが、そのご主人ではなく、息子さんらしい方を伴って来店されました。

 お会計の際、気になって息子さんと思われる方へ「以前は別の男性と来店されましたよね。」と尋ねると、「弟ですかね?」、「いえ、お母さんと同年代の方でした。」、「ああ、父ですね。父は1月に亡くなったんです。ですから、弟や私が連れてきているんです。」とのことでした。楽しい想い出の場であった筈の店で、今は息子さんを伴って来店していただけます。ありがたいことです。

 まめ蔵へ来店される方は、本当に様々な方がいらっしゃいます。そんなお客様の一息つく場所であったり、お気に入りのコーヒー豆を買い求める場であったり、立ち寄る場所である存在意義を感じることが出来る一時でした。