自動販売機

 久しぶりに、大須の松屋コーヒー本店に足を運びました。立体駐車場に車を停めて、商店街に向かって歩いていくと、春休みなのか大勢の人が歩いて来ます。田舎者の私は思わず怯んでビルの方へ避けてしまいました。すると、自動販売機の前に家族連れが集まっているではないですか。

  よく見ると、その自動販売機には大きく「昆虫食」と書かれており、全国各地のコオロギがガーリック味、ソース味、甲州みそ味など、様々なフレーバーで販売されています。また、隣の機械にはサソリ、タランチュラ、タガメ、シロアリなんてのも並んでおり、タガメサーダーなんてのもありました。

 調べてみると、スマートフォンアクセサリーやデジタル雑貨などの企画・製造・販売を行っている「株式会社アイキューラボ」が設置したもののようです。この自動販売機の一番人気は、山形こおろぎガーリックマッシュルーム味(税込700円)で、カブトムシやキョクトウサソリ(税込1,500円)、タガメ(税込1,400円)も人気だそうです。

 ちょいと前には、コオロギ給食が話題になりましたが、私にとっては子供の頃から「ヘボ」や「イナゴの佃煮」を食べているので、何を今更といった気がします。ちなみに、「へぼ」とはクロスズメバチのことです。地蜂とも言って、地中の巣を山の中を駆け回って探し当て、花火の煙幕でクロスズメバチを失神させ、幼虫を楊枝で取り出す光景を何度も見てきました。海から遠い山間部では、貴重なタンパク源として、へぼを甘露煮や味飯にして食べていました。(ご馳走です)

 イナゴは稲が実る頃、田んぼの周りを虫取りタモを持って走り回り捕まえ、瓶の中に入れてフンを出した後、煎ってから佃煮にしていたのを思い出します。子供たちは、今では食べなくなりましたが、「ヘボ」も「イナゴ」も喜んで食べていたものです。

 そんな事を考えて歩いていると、先日、地方のテレビ局が大須の万松寺を取り上げて、光り輝くLEDの納骨堂が新時代のお墓だと紹介していたことを思い出しました。そこで、松屋コーヒー本店を通り過ぎ、万松寺に行ってみると、ここでも見慣れぬ自動販売機があります。機械の上部には「Banshoji Coin」と書かれており、「このコインはお賽銭として利用できます。」、「当寺で1枚500円の通貨としてご利用いただけます。」と日本語の他、英語、中国語の3か国語で記載されています。

 「お賽銭が500円は高くね!」と思いましたが、面白そうなので買ってみようと思いましたが、自販機はキャッシュレス決済に対応しているため、アナログな私には購入することができませんでした。ちなみに、この自動販売機も「株式会社アイキューラボ」が設置したようです。 

 考えてみたら、私が歩いてきた所は全て、宗教法人万松寺に関係しており、不動産事業やビルメンテナンスをする萬松寺土地株式会社、 IT事業や万松寺の境内をイベントスペースとして貸出す(株)SMC、納骨堂「水晶殿」を販売する()マテリアルシードや飲食業の()シュラインなど、全て万松寺で成り立っておりました。昆虫食も凄いけど、一番凄いのは宗教法人だった。