ROTA BLUE COFFEE

3月11日にNHKのBS放送で、『小さな島のコーヒー大作戦 〜ミクロネシア ロタ島〜』が放送されました。NHKによれば、「ミクロネシアの自然豊かな島、ロタ島。観光業がコロナで大打撃を受け、窮地に陥った。野生のコーヒーを栽培し、復興につなげようとする島民。徒手空拳で挑む人々の物語。」とあり、興味が湧いてきたので録画して見ることにしたのです。

 コーヒー栽培を始めるキッカケとなったKFCトライアスロンクラブとロタ島との関係や、コーヒーの歴史的存在、コーヒー栽培を行うまでの過程を再現VTRで構成されており、なるほどと思いながら見ておりました。ただ、手作りの手廻し焙煎釜での焙煎も、ドラムのスリットから豆がこぼれ落ちるわ、そもそもパーチメントのまま焼くしまつ。どこまで本気なのかと疑ってかかってしまいます。それに、唐突にUCCの農事調査室室長である中平さんが登場するのも違和感がありました。

 そこで、KFCトライアスロンクラブの代表である大西喜代一さんが2022118日書かれた、『ROTA BLUE COFFEE トライアスロンクラブが作った南の島のコーヒー農園』読んでみることにしました。すると、ロタ島が衰退した過程や大西さんが関わりだした理由が分かってきました。

観光を主要産業とするロタ島経済は現在、観光客の激減でどん底状態にあします。2001年のアメリカ同時多発テロで世界の航空業界はテロ対策のセキュリティー強化でコストがかさみ利益の出ない路線を廃止・縮小。日本航空も05年にサイパン路線から撤退しました。さらに新型コロナウイルスによる観光客の激減が追い討ちをかけています。

KFCトライアスロンクラブは、1993年にタヒチ国際トライアスロン大会へ参加することになっていたものが、フランスによる南太平洋フランス領ポリネシアで核実験により中止となります。そこで急遽、トライアスロンとは無関係にロタ島へ観光旅行に行ったことから、大西が「ロタ島でトライアスロンが出来る!」と直感して大会が継続して行われるようになりました。        

 ロタ島との関係を深めた中で、航空路線の廃止や新型コロナウイルスという苦境が待っています。現地の人々から「昔、日本人がコーヒーを植えていた。」という情報からコーヒー栽培へと突き進むのですが、いかんせん素人だった。冗談かと思ったら、本当にド素人なのには正直驚きました。手作りの焙煎窯でのできごとにも納得できます。また、UCCとの関係も、大西代表がUCCのホームページのお客様窓口にメールを入れて問い合わせ、運良く、中平室長につながりUCCの協力が得られることになるという奇跡のような出来事でした。

 本の中にも6つの奇跡として取り上げていますが、奇跡ではなく、「畑違いでも本気になってやれば何かできる。」ということかもしれません。私自身、畑違いな仕事から珈琲屋になっているので、こんなストーリーを見聞きすると励みになります。 

 ちなみに、「ロタブルーコーヒー」という名前は、「ロタブルートライアスロン」に由来するかと思ったら、UCCの中平さんから、ロタ空港から離陸直後に上空から見た透き通ったブルーの海を見て提案されたそうです。そこは、自分たちで決めたんじゃないのか?とツッコみたくなりました。

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コメント: 2
  • #1

    武田信男 (月曜日, 19 6月 2023 22:44)

    初めまして、札幌市厚別区もみじ台に在住しています武田と申します。3月11日NHKのBS放送を釘付け状態で視聴しておりました。なかなか美味しいコーヒーに巡り合う機会が少なく、珈琲豆を取り寄せ自家焙煎を3年前頃から始めました。焙煎機本体は、アメリカ人のご婦人から8年ほど前に送って頂いたもので、鋳物製ですが相当に古く手回しの物を寝かせていましたが、、知恵を絞り、工夫を積み重ね、電動の自家焙煎機に造りあげました。現在、試作機を一台造り上げ、その改良版に取り組んでいるところです。世の中にまだ出ていない、完成度の高いものです。熱源はイワタニ カセットコンロ炉端大将を使用。焙煎機本体は鉄製です。木炭や豆炭を燃料に使用することも可能です。ロタ島でもお役に立てるのではと想い筆を執りました。もしご興味がございましたら画像をお送りします。

    いつの日か、ロタ島から、生産者の顔が見える美味しいコーヒーを飲みたいものです。

  • #2

    まめ蔵 (火曜日, 20 6月 2023 08:24)

    コメントありがとうございました。
    コーヒー産地のこと、焙煎のこと、コーヒーを通して様々な興味が湧いたり、深堀したり、生活が豊かになることができますね。私自身は焙煎に強い拘りが無く、お客様との関わりを楽しんでおります。
    ロタ島のようなストーリーのあるコーヒーは飲んでみたいものですね。