とりあえず作ってみた

スーパーに沢山のイチゴが並んでいることから、イチゴのロールケーキの他に、お持ち帰り用のビスコッティやパウンドケーキも作ってみました。お菓子は既存の商品を応用するだけなので簡単なのですが、作りながら、「イチゴって今が旬じゃなかったよな。」と思い始めます。

 子供の頃、父親が畑の隅に作っていたイチゴは酸っぱくて、初夏に食べていた記憶があります。ところが、今では12月上旬ごろからスーパーにイチゴが並び始め、何だか冬の食べ物といったイメージが定着してしまいました。それに、イチゴ狩りの施設では5月上旬でシーズン終了といった所も多く、イチゴの季節感がよく分からなくなってしまっているのです。

 本来、ビニールハウスなどの施設を使わず、屋外の畑で栽培されるイチゴの収穫時期は46月頃だそうです。冬のあいだ休眠状態だったイチゴが春の気温の上昇とともに目を覚まし、春から初夏にかけて花と実をつけるというメカニズムです。実際、俳句の季語となるイチゴは夏を意味します。

イチゴが屋外で栽培されることが主流だったのは1960年代頃までで、徐々にビニールハウスなどで人工的に春の環境をつくる促成栽培が普及し、いちごは1112月頃から収穫できるようになった経緯があるようです。その理由は、イチゴの需要が爆発的に増えるクリスマスだそうで、品質の高いイチゴを冬の時期から収穫するために考えられた技術なんだとか。確かに、クリスマスケーキといえば、イチゴが乗ったケーキが一番に思い浮かびます。

そんなイチゴを世界で一番栽培しているは中国で、FAO(国際連合食糧農業機関)の2019年調査によれば、全世界のイチゴ生産量は889tで、中華人民共和国が321tで最も生産量が多く、次いでアメリカ合衆国が102t2番目に多くなっており、この2国で世界の生産量全体の約48%を占めています。 日本は世界で12位の16tの生産量があり、世界の生産量の約1.8%となっています。 

 その中国におけるイチゴの生産量は近年増加傾向にあり、イチゴ粉末加工品や冷凍イチゴとして日本に多く輸出されているほか、近年では中国国内での需要も高まっているようです。今回使用したドライフルーツも中国産ですから、便利に利用させてもらっているのですが、これも、シャインマスカット同様に、日本から持ち出された苗木をもとに中国で栽培が進められたと思われるだけに、ちょっと微妙な気分になります。