ぶんぶんぶん~

♪ぶんぶんぶんハチが飛ぶ~♪といった虫の羽音を意味する言葉は、オランダ語では「BOMMEN(ボメン)」というそうで、14世紀に英語圏に入ったとき「BOOM(ブーム)」となったそうです。そして、17世紀に入ると、“船の帆が風を受けて音を立てて進む様”を表す時に使われるようになり、19世紀になって現代のように“人気が出る様”を言うようになったんだとか。

 その「ブーム」を広辞苑で調べると、「1.にわかに需要が増し、物価がはねあがること。2. あることが急に人気を呼んで、一時的に非常な勢いで流行すること。または、特定の人が熱狂的にもてはやされること。また、その期間。」とあります。どちらにしても長続きしないものではあることは共通しています。最近のブームでは、タピオカ・ブームや高級食パン・ブームといったものが浮かびますが(既に古いかも?)、ブームに疎い私は他に浮かびません。どうせ覚えても消え去るものですから、いちいち関心を持つ必要もないのです。

 そんなブームに疎い私でも知っているのが、最近、自家焙煎コーヒーブームだというのです。個人による自家焙煎店への新規参入や、大手企業といった異業種からの参入で、コーヒーの自家焙煎が急増してマシンの生産追いつかない状況なんだとか。焙煎セミナーは盛況で予約が取りづらくなっているようです。

そのうえ、コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻で半導体をはじめとするコーヒー機器の部品の一部が調達困難になっていることが需給逼迫に追い討ちをかけているようですが、「足らない!」という状況が「欲しい!」という欲求を高める効果もあって、数年は自家焙煎コーヒーブームが続くのでしょう。しかし、あちらこちらでコーヒー豆を焙煎しても、飲用する人口が増えなければ当然のごとく淘汰されます。お客様の動向を見ても、「お酒はなくても、生きていける。」というほどのコーヒー好きは少ないのが現実です。

一般的に、ブームが来たと言われ出した時には頂点近くにまで達しており、徐々に下降線を辿ると言うのが常識です。そんな時に、「私もやってみるか!」などという妙な欲は出さぬが良いというものです。ブームを起こす側ではなく、ブームに乗っかるほど怖いことはないのですから。所詮、にわか・一時的な現象がブームです。また新たなブームが起こってくるのが世の常というもの。

♪ぶんぶんぶんハチが飛ぶ~♪ではないですが、ミツバチは数が増えて密集すると春に分蜂します。冬を越して春を迎えることのできた群れは、外敵の侵入に強かったり、周りに十分な蜜源があるなど、何かしら有利な場所ということになります。そのため、ニホンミツバチは、より若く寿命が長い次の世代に良い家を継がせるわけです。人間では出て行くとすれば娘ですが、ミツバチの世界では逆で母親が家を出ていき、新たな場所に巣を作るといいます。 

このような分蜂はミツバチの生きるための術ですが、限られた需要に過剰な供給は長続きしません。また、新たな儲け話を求めてビジネスを始めるのが現代のブームです♪ぶんぶんぶん~とブームは過ぎ去った後に、しっかり残れる珈琲屋でいたいものです。