光彫り

昨日は、神奈川県へ出かけたついでに、新横浜駅から横浜駅に寄り道をし、気になっていた、そごう横浜店のそごう美術館で開催中の「光の芸術家 ゆるかわふうの世界 宇宙の記憶」を見に行きました。

 ゆるかわふうさんは、湯河原町にある元幼稚園をアトリエとして活動しており、建築物の内側に使われる発泡断熱材(スタイロフォーム)の背後からLED照明を当て、表面を金属ブラシで削ったり、半田ごてやシンナーで溶かしたりして凹凸をつけ、その彫り具合で濃淡を作って光と陰影を表現するという、世界初のオリジナル技法「光彫り」の作家です。

 映像でしか見たことがなかったため、実際に見たくて開館時間に合わせて入館したこともあり、ほぼ独り占め状態で鑑賞することができました。題材自体は珍しいものではないものの、自分が水中の中にいるような感覚になるほどの新鮮さがあったり、アフリカの大地に立っているような気分にさせられます。

 絵の具ではできない透明感のある奥行きが表現できる画材と唯一無二の技法ですが、さらに昨年からは、「光彫り」を不透明なアクリルでカバーし、その光のトーンを霞がかかったようにぼかした新シリーズを発表されています。個人的には、浮かび上がった美しく鮮やかな「青」が好きなんですが。 

 ゆるかわふうさんの作品は、湯河原温泉にある源泉上野屋が今年オープンした、一棟貸しの温泉宿「上野屋別邸」に常設展示され、「泊まれる美術館」をコンセプトとして、光の陰影が生み出す現代アートを誰にも邪魔されることなく眺めながら、のんびりと過ごせるんだとか。一度泊まってみたいものです。