KOYO BASE

8月の初旬だったか、コーヒー関係者の方から、「オリガミドリッパーを作っている光洋陶器がカフェを作るらしいよ。」という話を聞きました。しばらくして、光洋陶器のホームページの採用募集を見ると、確かにカフェ事業を新たに行う事を知ったのです。その「クッキングサービス責任者」募集欄には、今年の冬にオープン予定だったのですが、最近なって見直すと、2023年初めに開業予定になっていました。それが、次のような文面です。

光洋陶器の器を食事とともに提案する「食堂カフェ(仮)」が2023年初めに開業予定。季節ごとに旬の野菜を使った味覚をお楽しみいただけるだけでなく、器とコラボレーションをお愉しみいただける発見のあるお店を目指します。今回のお店は、私たち光洋陶器にとって初めての事業です。しかもただのお店ではなく、器やグッズの販売、食と器を学ぶワークショップ、製造現場を知るワークショップの起点にもなる場所。』とあります。

 光洋陶器のオリガミドリッパーといえば、コーヒー業界やコーヒー好きの間で知られている存在でありながら、「食堂カフェ(仮)」はちょっとダサくない?と思っていたら、最近になって、これまた知らぬ間に、「KOYO BASE」という名称でホームページまで出来てきました。

そのホームページによると、『その製造工場の一角に生まれた、KOYO BASE。ここは、いわばうつわの複合体験基地です。土から食器にいたるまでの製造工程を間近に眺めたり、伝統の絵付けを実際に体験したり、岐阜の地元食材をうつわとともに愉しんだり、お気に入りの食器を探してご自宅におむかえしたり。』とあります。

 これまで地元の観光としては、ロクロ体験、絵付け体験といった作陶に関するものはありましたが、意匠を模倣する行為を防ぐため、製陶工場を常設で見学できる機会はありませんでした。今回、事前予約ながら規模の大きな工場を見学することができ、そこで作られる器を使った料理を、土岐の街を高台から眺めながら味わえるのですから、今から楽しみです。 

 当初、窯業関係者からは、「なぜ異業種に参入するんだろうか?」とか、「本社の2階にショールームとカフェを作るらしいけど、道路が狭くて分かりにくいよ。」といった意見を聞く中、「窯業を通じて土岐市の街興しというか、地域貢献を考えているようだよ。」という話を聞きました。確かに、ホームページを見るとそんな意気込みを感じます。個人的にはオリガミドリッパーを使用したハンドドリップで、美味しいコーヒーを飲んでみたいのですが。

 陶磁器生産日本一でありながら、「美濃焼」の知名度は低いままです。こうした地元企業の取組みが広がることを期待したいです。