ハードル

 先週は東京へ行くため二日間臨時休業したこともあり、何人かのお客様から「コロナになったと思った」とか、「せっかく来たのにやってなかった。」など、いくつかのクレームをいただきました。事前にお知らせはしているものの、ご迷惑をかけることになり申し訳なく思っています。ただ、そんな不満を言いながらも、こうして普段と変わらぬようにご来店いただけていることに感謝するばかりです。

 そんな事を考えながらお客様にコーヒーを淹れていると、ブログに書いた「第2回チャレンジ・コーヒー・バリスタ」について、主催者側の日本サスティナブル協会理事である池本幸生さん(東京大学東洋文化研究所)からコメントが寄せられています。そのコメントに対して返事を書いた後に、ふと、「なんでこんなブログにコメントを?」と疑問が湧いたのですが、それよりも、「障がい者の方たちにやっていただきたいことはたくさんあるのですが、いきなり多くのことをやっていただくのはハードルが高すぎるので。」という言葉が気になります。

 「ハードル」とは、物事の達成の障害となる要素の意味であったり、ハードルの高さを物事の達成の難易度に比喩して使用します。一見、筋の通ったような意見なのですが、障がいを持った人達といっても、その障がいの内容や程度は千差万別であり、100人いたら100種類のハードルが存在するのだと思います。ある人には困難であっても、ある人には容易なケースもあり、それぞれの強み弱みをチームで克服しながら競技を行うことが、チーム参加の趣旨でもある筈です。

 そんな事を自問自答しながら、株式会社アルムの家が就労継続支援B型事業所として運営されている、「カフェ・ペペアルム」へ食事に行ってきました。前回は豚汁とご飯のセットでしたが、今回はカレードリアを注文します。豚汁と同様にSTAUB社製の重厚な鉄鍋に入ったカレーのドリアが登場し、このボリュームでもうお腹いっぱいです。

 初めて訪れた際、ぎこちなく接客をしていたスタッフの男の子は、厨房でバナナジュース用のバナナを包丁でカットし、ラップに包んで冷凍保存する仕事を熱心に行っていました。包丁の扱い方が気になりましたが、思いのほか丁寧で几帳面な動きです。

 その後、食後のコーヒーを飲もうと、市役所のラウンジスペースにある就労継続支援B型のカフェ「ほしのテラス」に向かい、(コーヒーはこっちの方が美味しい)ハンドドリップで淹れたブレンドコーヒーをテイクアウトします。ここは女性ばかりのスタッフで、挨拶の声も大きくて明るのが印象的です。 

 こんな地方の街でも、障がい者がカフェで働く場所が存在します。働く内容は異なるものの、いずれも生き生きと働いているように見えます。彼等には、仕事の難易度を測るハードルではなく、ストレスなく働けるための障害となる要素(ハードル)を取り除いてあげる事が優先されるべきだと思ってみるのでした。