『且坐喫茶』

 お客様から色紙を頂きました。書かれている文字は「且坐喫茶(しゃざきっさ)」です。そう、今年95日に訪れた、恵那市山岡町の林昌寺にある寺カフェ「且坐(さざ)」の由来となる禅語です。そして、この色紙を書かれたのは、美濃加茂市の北部にある「正眼寺」(しょうげんじ)の山川宗玄老師です。正眼寺には2020121日に訪問しており、境内に造られた重森三玲作のモダンな観音像前庭や、本堂の正前の樹齢300年と推定されるしだれ桜を眺めた場所です。

 縁あって、まめ蔵のコーヒー豆が山川宗玄老師の手に渡り、飲まれていることを知って訪れた正眼寺でした。そんな縁を感じたのも束の間、今回は、禅語の「且坐喫茶」という色紙を間接的に山川宗玄老師の手から私の元に届いたのです。もちろん、間に入っていただいた方があるからこそ繋がったのですが、何か特別なものを感じてしまいます。

 「且坐喫茶」とは、「且(しばら)く坐して茶を喫せよ」と読めます。相手の緊張を和らげる意図で用いられる他、肩肘張らず、ありのままでいることの大切さに気づかせる言葉でもあります。元々は、勇み立つ修行者に対し、急かずにゆっくりやりなさい、と気分を緩める言葉のようでした。いきりたって高い境地の呈示を急ぐのは、心が動いている証拠。これをたしなめて、自然体でいけということのようです。 

 まめ蔵を利用されるお客様に 「まぁ、お座りになってコーヒーでも飲んでください。」という意味もあれば、私自身にも「急かずにゆっくりやりなさい。」と言われているようで、改めて自然体で望む心構えを注意されているような気分です。 

 さて、この色紙をどうやって店内に飾りましょうか。お知恵を拝借するため、知人の画材屋さんのところでも行きましょうか。