ラジオを聴いて

 車を運転しながらFMラジを聞いていると、「あぐりずむ」という番組で、「国産コーヒーの栽培に成功した女性に話を伺います。」というコーナーをやっていました。つい気になって、音量を上げて聴いてしまいます。

 この女性は、四万十市や高知市で約40年にわたり喫茶店を営んできた多和昌子さん(77)です。現在は高知市大津甲の「コーヒー研究所・M」というお店で、中南米を中心に世界中の豆を焙煎し提供しておられますが、15年前に「食べ物がおいしい高知の土で作るコーヒーは絶対おいしい」と思い、それ以降15年に渡ってコーヒーノキを育て続けてきたそうです。

 レギュラーコーヒーに使用されるアラビカ種は、気温が高すぎても低すぎても枯れてしまい、風通しの良いところでないと虫が好きやすいため、借地100坪の土地に約100本のコーヒーノキを植えてハウス栽培しているとこのこと。何度も何度も失敗を繰り返しながら試行錯誤し、そして、ついに今春、収穫にこぎつけたという話です。

 話を聞きながら想像していたものの、パーソナリティーが「どのくらい収穫できたんですか?」の問いに、「2kgです。カップにすると150杯ぐらいなんですが。」と答えられていました。コーヒーノキがどの程度成長しているのか不明なため何とも言えませんが、品種にもよりますが、一本のコーヒーノキに約200gといわれることを考えると少なすぎるようにも思えます。 

 「国産コーヒーの栽培に成功した女性」と話題性はあるものの、国内でコーヒーを栽培している沖縄や長崎でも多くがハウス栽培をしていますし、収穫量は国内流通できるほどの量は栽培できていません。店名が「研究所」と付いているのですから研究目的には良いかもしれませんが、日本国内でコーヒー栽培を本格的に行うことには不向きだと考えられます。また、「国産だから」、「有機栽培だから」というだけで、世界のコーヒー産地と比べて味も価格も魅力的かといえば大いに疑問だからです。