味ごはん

 昨日の午後、「子守で疲れた~」と言いながら来店されたのが、カネコ小兵製陶所の御夫婦でした。お盆休みも休まらない中、一息入れるためにコーヒーとケーキを食べながら、地元の話やコーヒーについての話題になります。その後、再びご主人が一人店にやってきて、昨年100周年を迎えた製陶所の記念品を持ってきてくれたのです。

 カネコ小兵製陶所は202110月に創業100周年を迎えた窯元です。大正10年に初代の伊藤小兵が新仏具からスタートさせ、戦後の高度成長期に燗徳利に目をつけて量産し、日本一の徳利の窯元となります。その後、現在の社長が「ぎやまん陶」「リンカ」といった新たなブランドを作ってきました。

 そんな小兵さんの100周年記念品は、「カネコ小兵製陶所のあゆみ」、「小兵女将の味ごはん」、「オリジナル・マスク」、「オリジナル・コーヒードリッパー」でした。そこで、早速、今朝の朝食に「小兵女将の味ごはん」を使用し食べてみたのです。一般的に濃い味付けが多いこの地域にあって、あっさりでコクのある味付けになっています。普段は一杯しか食べない私も、ついついお替りしてしまいます。

 下石陶磁器工業組合では、オリジナルの「下石窯もと味ごはんの素」を販売しているくらい、美濃焼の産地である町では昔から親しまれているのが「味ごはん」です。登り窯の炎につきっきりの窯焼き職人は、薪くべに忙しいて食事もままなりませんでした。そこで、窯元の女将さんは、おいしく煮付けた具材を炊きたてごはんに混ぜ合わせた、ささっと素早く食べられ、滋養のある味ごはんを考え出したのです。そのため、味付けも材料も、それぞれの窯もとに伝わる自慢のレシピが存在します。窯焼き作業は暑いことから、どうしても味の濃いものが多いのですが、「小兵女将の味ごはん」は一般家庭でも楽しめる味付けになっているのです。

 鰻も同様に食べられることが多く、地場産業と発展とともに鰻を提供する店も増えてきましたが、最近では徐々に減ってきている状況です。けれど、土用の丑の日に限らず一年を通して食べられている物ではあります。ただ、近年は鰻の価格が上昇し続けており、安価な「味ごはん」は庶民の味方として親しまれているのです。

 

「ごちそうさまでした。」