夏越の祓い

先日、町内にある八剣神社の「夏越の祓い」である、「茅(ち)の輪くぐり」に夫婦で行ってきました。旧暦の6月末に行われる「茅(ち)の輪くぐり」は、半年分のケガレを落とす行事で、この後の半年の健康と厄除けを祈願するものです。未だ収束しない新型コロナウイルスのこともあり、疫病退散の願いもいつもより多めに込めて行いました。

 感染対策もあってか、氏子さんが近くでお世話することもなく、説明の看板を見ながら各自で行いましたが、説明書きが分かりにくくて少々戸惑ってしまいます。しかし、根っからズボラな私は気にせず、最後に「水無月の夏越の祓する人は、千歳(ちとせ)の命延(の)ぶというなり」と唱えながらくぐり抜けました。

「拾遺和歌集」によみ人知らずのうたとして収録されているこの歌ですが、6月の夏越の祓をする人は、寿命が延びて千歳の命を得るとは、昔から人々は永遠の命を求めているんだと感心します。正直、「どんだけ生きたら気が済むんだ!」と言いたくなります。日本の寝たきり人口が100万人を超えると言われる世の中で、生きる意味って何なの?って、つい考えてしまいます。

 高齢者福祉が充実していると言われるスウェーデンでは、「胃ろうは虐待」という考え方があり、「自分の口で飲んだり食べたりできなくなったら、自然な形で看取る。」というのが一般的だそうで、当然、寝たきり人口はほとんどいないんだそうです。もちろん、その前には徹底的に嚥下訓練(食べる、飲むための練習)を徹底的に行うそうです。

 胃に直接栄養を送る胃ろうや、点滴やカテーテルでの静脈栄養による延命措置は、「虐待」だと考えられている国と、何があっても延命させることを第一の使命としている国との違いを知りつつ、自分の命と生き方を考えながら「夏越の祓い」を行ったしだいです。

 ちなみに、八剣神社で茅の輪くぐりは、7月2日(土)まで行われています。