高遠城址公園へ

 土岐市内の桜は散りはてて、今年はゆっくり花見をする時間が持てませんでした。そこで、妻が休みを取った月曜日、ちょっと離れてはいるものの、「日本三大桜名所」といわれる高遠城址公園さくら祭りへ出かけることにしました。ちなみに、桜の名所は数ほどあるものの、日本三大桜の名所といわれる所は、青森県の弘前公園、奈良県の吉野山、そして今回訪れた長野県伊那市の高遠城址公園です。(諸説あり)

 城址と呼ばれるように、高遠城は明治4年(1871年)の廃藩置県で城が取り壊されて、明治8年(1875年)に公園となります。高遠城址公園は、かつて馬の姿が桜の花に埋もれて隠れたという高遠藩の桜の馬場であったため、荒れたままになっていた高遠城址を何とかしようと、旧藩士達が馬場の桜を城址に移植したのが公園の桜の始まりのようです。

  本丸の老木はその際に植えられたもので、毎年4月には、130年生以上の古木20本、50年生以上のもの500本などに若木を加えた約1,500本の「タカトオコヒガンザクラ」が、淡紅色で小ぶりの花を枝いっぱいにつける全国でも有数の桜の名所となっています。

 「タカトオコヒガンザクラ」は高遠にしかない固有種だそうで、ソメイヨシノより少し小ぶりで薄紅色の花で公園全体を染めます。その可憐さと規模の大きさは「天下第一の桜」と呼ばれており、桜の樹林は県の天然記念物の指定を受け、平成2年には、日本さくらの会の「さくら名所百選」に選ばれているほどです。

 そんな桜の名所には多くの観光客で渋滞が予想されるため、途中の駒ケ岳サービスエリアのエリア・コンシェルジュに、開花情報と渋滞を避けるルートを教えてもらいました。そのおかげで、小黒川PAのスマートインターチェンジから高速道路を降り、迂回路を利用して比較的スムーズに目的地近くに到着します。ただし、公園近くの有料駐車場は満車表示となっていたため、シャトルバス乗降場近くの高遠中学校のグランドに車をとめました。意外とこの選択が最善でした。

 満開となった公園内を散策し、桜並木の間から見える中央アルプスを眺めた後は、小腹がすいたお腹を満たすべく、名物の「高遠まん頭」を買い求めます。皮が薄くて漉し餡たっぷりのうえ、あっさりとした甘味でお土産用にも追加で購入。ついでに、近くの屋台で売られているイワナの塩焼きの匂いに釣られ、こちらもパクリ。

 この美しい桜を見ることできるのも、高遠城址公園には「桜守(さくらもり)」がいるからだといいます。伊那市振興公社に所属する三人の桜守の方々が、桜の世代交代のために新しい苗木を植えたり、春に桜が美しく咲くように枝を剪定したり、害虫にやられている桜があれば駆除したり、一年中忙しく維持管理されているそうです。

 

 「日本三大桜名所」のうち、残すは「奈良県の吉野山」のみとなりました。いつか出かけてみようと考えています。