阿部農園でイチゴ狩り

今日は、恵那市の道の駅「三郷」の近くにある、「すまいるふぁーむ阿部農園」へイチゴ狩りに行ってきました。北には笠置山、遠く東には中央アルプスという見晴らしの良い土地にある農園には、農業用ハウスが立ち並び、夏はトマト、冬はイチゴ、ネブカネギを栽培しているそうです。

 ちょっと昔はイチゴ狩りのできる農園は近くになく、知多半島などの遠方へ行っていたものですが、最近は近場でイチゴ狩りの出来る所が多くなりました。農林水産省の令和元年度新規就農者調査によれば、部門別新規参入者割合では露地野菜作30.0%に次いで多いのが施設野菜作の20.0%だそうです。今回のような農業用ハウスは施設野菜と言われ、施設野菜の10aの農業所得はミニトマト、イチゴ、なす、の順となっており、この農園でも夏はトマト、冬はイチゴというように、収益性の高い種類を栽培しているようです。

 ここでイチゴ狩りのできる品種は章姫のみですが、ハウス内では「紅ほっぺ」、希少な「白イチゴ」、「よつぼし」といったイチゴも栽培されているようです。お土産用の「白イチゴ」を買ったお客様が教えてくれた農園なのですが、今日は「白イチゴ」は無いとのことで、母親の土産用に章姫を購入してきました。

清潔なハウスで美味しいイチゴと甘い香りを楽しめましたこともあり、私は56個、妻は53個も食べてしまって、昼食は抜くことにしました。イチゴを食べ過ぎたこともあり、帰り道にはトイレばかり立ち寄ってしまうことになりましたが、この農園の一つだけ残念なところが簡易トイレだということですね。

 ところで、阿部農園では福祉事業所通じて障害者雇用を行う、農福連携を実践されているそうです。農福連携とは、障害者や高齢者などが農業に携われるよう、国や自治体、法人などがそれを支援する取り組みのことです。農福連携の取り組みが進むことで、障害者や高齢者、生活困窮者の働き口を創出できるとともに、農業分野では高齢化による後継者・働き手不足の問題を解消できると期待されているものです。

この考え方は、安倍さんが言っていた「ニッポン一億総活躍プラン」の一環として「農福連携の推進」が盛り込まれたそうです。なんだか怪しいフレーズに聞こえてましたが、こんなところにも関係していて驚きました。確かに、日本における障害者の総数は約900万人(2018年)超えており、全体人口の7.4%にあたる訳ですから大きな課題です。

さらに、障害者の内訳は身体障害者が約半数、精神障害者は4割、知的障害者は残りの1割というのがおおまか概況です。気になるのは、精神障害者の数が1999年では170万人だったものが、2014年には倍以上に増えており、現代社会を反映している点です。

ただ、農福連携によって全て解決できる訳ではないようです。障害者の働き口が増えて、少しずつですが弱者が生きやすい社会にはなってはいるものの、まだまだ賃金水準は決して高いとはいえません。障害者の報酬である平均工賃月額は15000円ほどで、補助金や助成金に頼っている部分も大きく、一般的な給与と開いたままの状態は改善されていません。例えば、お米の生産に携わる障害者の工賃は28500円で、きのこ類では6600円程度といわれており、農産物を生産して出荷しているだけでは限度があります。そこに、食品の加工や飲食の提供が加わればより高い工賃が得られることになりますが、同時に複雑な作業となり難しい面も出てきますが。 

大手企業の人事担当者だった同級生が、「身体障害者は積極的に雇用するけど、精神障害者の雇用はあまりしない。」と言っていたことを思い出します。雇用の一つの分野として農福連携が上手く機能すれば良いけれど、などと思いながら帰ってきたしだいです。