最終号

 まめ蔵を開業するまでの間、様々な場所へ行き、様々な本や雑誌を読んできました。そんな中で、「珈琲」というキーワードで検索した際に必ず出てきた雑誌が「珈琲時間」(大誠社)です。時々気になる記事を見つけては購入してきましたが、編集者の「季刊雑誌『珈琲時間』は2022年春号をもって最終号となります。長らくのご愛読ありがとうございました。」というメッセージを見つけ、最終号も最近購入しました。

  2011年に創刊した「珈琲時間」ですが、2022年の春号(5月号)で最終号となり、11年間の季刊発行の幕を閉じるというのです。編集者によれば、紙媒体としての一定の役割を終えたということのようですが、商業的に継続不可能ということなんでしょう。それにしても、実質、廃刊を休刊という言い回しにしている出版界の慣習に違和感を覚えてしまいます。

 ともあれ、コーヒーとケーキを楽しみながら頁をめくっていきます。「瀬戸内しまなみ珈琲海道」では、立ち寄りたくなるお店を見つけて旅する光景を想像し、「もう一度行きたい、素敵な珈琲店」では、一度は行ってみたいと夢膨らめせます。雑誌の良さは、手に取った時の感触が伝わることで、視覚だけでは得られないイメージが湧いてくることです。雑誌片手に旅をしたい気分になります。

 ところで、コーヒーにまつわる話題のなかで、ORIGAMIドリッパーにAS樹脂製のものが発売されると知り、陶磁器産地の土岐市発ORIGAMIドリッパーだったのに、何だかちょっと残念です。約半分の軽さと、多少手荒に扱っても平気な耐衝撃性なんて言われたら陶磁器売れないじゃん。

 また、川島良彰さんが初心者向けの「人生を豊かにしたい人のためのコーヒー」(マイナビ新書)って本を出すそうな。コーヒー飲んで人生が豊かになる訳じゃなく、どう生きるかってことが大切なんだれど、注文しちゃうんだろうな。 

 そんな記事を読みながら、私の珈琲時間を過ごすのでありました。それにしても、老眼が進んで活字が読みにくくなったものです。