最近の事

ロシアによるウクライナ侵攻を受け、各国による経済制裁が行われています。その影響で原油やLNG(液化天然ガス)が高騰し、ガソリン価格の値上がりをはじめ、ガス代や電気代など光熱費にも影響が出てきそうです。また、小麦や蕎麦といった穀物価格への影響も懸念されているほか、海産物に至るまで値上がると言われています。まさに値上げラッシュです。

 そうかと思えば、ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、コーヒー豆や天然ゴムといった先物価格が値下がりしているとも聞かれます。ちょっと違和感を覚えますが、世界の企業がロシアからの撤退や事業の縮小に動き、飲食業や自動車産業などの用途で需要が減速しており、景気不安が市況を下押しする傾向があるようです。コーヒー豆のアラビカ種を指標とするニューヨーク先物市場を見ても、昨年から続く高騰の状況から少し変化が見られています。

 確かに、米国のファストフード大手マクドナルドやコーヒーチェーン大手スターバックスは、8日にロシア国内の全店舗を一時的に閉鎖すると発表しました。これにより、マクドナルドはロシアの847店舗を、スターバックスはロシアでの全事業を停止することによって、コーヒーの需要は減少するでしょうが、世界全体から見れば一時的な反応ではないかと思います。

 今後も軍事支援を行わないでしょうから、経済制裁がさらに進むのでしょうが、経済制裁で戦争は終わらないのではないでしょうか。「経済制裁をしてやったぞ!」と相手に伝えることは、単に憂さ晴らしをしているようにも思え、相手の行動を変えるというよりも、制裁を与えること自体が目的になってしまうのではないでしょうか。

これは北朝鮮などを見れば明らかで、年中行事のように弾道ミサイルを発射し、その度に国際社会は批判をし、日本や米国は経済制裁に乗り出しています。ですが、それによって貧しくなるのは北朝鮮の庶民だけで、中国やロシアが裏で援助をしている政治体制や軍事開発には何ら影響がないように見えます。むしろ、日本や米国への怒りが増して今後もミサイルを発射し続けるでしょう。

経済制裁は実際に効果の度合いを測ることが難しいし、制裁をかける側も被害を受けるし、始めたのはいいものの、止めどきがわからなくなるというジレンマが生まれます。ロシア国内では情報統制が行われ、反体制派には厳罰がくだされる状況になっています。一部には国外に退避する人もいますが、現体制を受け入れることで自分を守る人も多いようです。なんだか80年前の日本のように思えてなりません。 

毎日、何度もウクライナの戦況が映像で流され、戦争に対する感覚が麻痺してしまうようで恐ろしくなります。店内で交わされる会話も他人事のような解説ばかりで悲しくなりますが、そんな中、高齢のお客様が「テレビで戦争の映像を観ていると胸が苦しくなるので、コーヒーを飲みに来ました。癒されます。」とポツリと言われた言葉に、戦争経験のない自分も、他人事のように話す人と同類なのかな?と感じてしまいました。