パン屋に行って考える

ワクチン接種の日曜日、接種会場から自宅へ帰る前に、瑞浪市月吉にあるパン屋さん「ベーカリー・ツキヨシ」に寄り道です。以前から気になっていたパン屋さんで、妻に買って帰ろうと遠回りしてみました。というのも、営業日が木・金・土・日の4日のみのため、まめ蔵の定休日である月曜日には営業していないからです。

それにしても、この数年の間に多くのパン屋さんがオープンしています。そして、最近の高級食パンブームも相まって、お客様の会話に「〇〇のパンは美味しい。」、「〇〇のパンはそれほどでもない。」といった声を聞く回数が増えました。お米を食べないと食べた気がしないと思っている私には、パンにそれほど執着心はないものの、世間はパンブームらしいのです。

珈琲屋である私も同様なのですが。脱サラからのパン屋開業は、昔からイメージされる憧れのビジネスモデルです。日本人の食文化は大きく変化しており、パン食の人気も上昇したため「個人でパン屋を開業したい」という人も年々増えてきているのでしょう。

ところが、同時に個人店のパン屋さんや高級食パン専門店の廃業が話題になります。その要因には様々なものがあるようで、高齢化による後継ぎ問題コンビニなど競合他社の増加、採算の悪化、薄利多売のビジネスシステム、といったものが挙げられています。

金融機関主催の開業セミナーに参加した際にも、独立起業者全般として事業を開始した場合の5年後廃業・撤退率は80%以上ともいわれました。個人事業で5年以上存続することは意外と簡単ではないのです。ただし、フランチャイズ加盟の場合、この廃業・撤退率は35%。五年後の存続率は65%まで上がることが分かっており、フランチャイズ加盟が安全だと言われたものです。

パン屋さんの魅力は、100円台から取り揃えるコストパフォーマンスの高さがです。しかし、コンビニの台頭や原材料価格の高騰が経営を圧迫し、国産小麦や天然酵母使用といった謳い文句から、自家製石釜で焼いたパンまで、特徴を持たせた高級指向に向かうところもあります。

 とりとめもなくパン屋さんについて書いてきましたが、この内容というのは珈琲屋につても共通する内容です。まめ蔵は5年後廃業・撤退率80%以上から逃れることはできてはいますが、いつ窮地に陥るかも知れません。その時にどのように振る舞うのか、パン屋さんに行って足元を見つめてみながら色々と考えてみるのでした。