ヤドリギ

可児市今渡の「かぐや姫の散歩道」と呼ばれる、木曽川渡し場遊歩道へ行った際、駐車場に車を止めて川岸へ向かうと、珍しい樹木を見つけました。それは、枯れた木に球体のように付いた緑色の「ヤドリギ」です。

ヤドリギは他の木に寄生して生きており、その様子から漢字で「宿り木(宿木)」、「寄生木」と書かれます。寄生というと、他の樹木から栄養を吸いとって生きていると誤解されやすいのですが、正確にはヤドリギ自身は光合成で栄養分を作っていることから、半寄生植物というのが正しいのかもしれません。

このヤドリギは対岸の太田宿中山道会館のエノキの大木にもあり、会館内には『お休み処 やどりぎ』という食事処もあったりします。でも、一時的な休息をする場所と違って、ヤドリギはその樹木に寄生しながら子孫を増やしていることから、食事を終えても帰らぬ客も出てくるのでないかと思ってしまいます。(そんな訳ないけど)

樹木の枯れた季節にヤドリギの存在に気付くのですが、実はとても理にかなっています。ヤドリギはタネを鳥に運ばせるため、鳥がヤドリギを見つけやすく、同時にエサが不足する冬に果実が熟すように仕組まれています。ヤドリギの果実は直径5mmほどの球形で、中には透明のネバネバした液につつまれた種子が入っています。鳥がこの果実を食べた後に木々から飛び立つ際、身を軽くするためフンをしますが、種子が粘液とともに木に付着するというのです。

ヨーロッパでは、ヤドリギは魔除けや幸福を招くものとして、古くから信じられています。冬でも緑のヤドリギには精霊たちが集まってくると信じられたり、「神の住む家」とも呼ぶことがあるそうです。確かに鳥の巣のように見えることから、妻に画像を見せた時に、「カラスの巣?」なんて言ってましたから。 

こんなご時世ですから、魔除けや幸福を招くというだけで、ちょっと嬉しくなって帰ってきたしだいです。