お家ではじめる自家焙煎珈琲

まめ蔵には、毎日様々な方が来店されます。コーヒーを飲みながらお喋りを楽しむ方、一人で静かに飲む方、コーヒー豆を購入する方など。その中には、コーヒーに興味を持って自分で焙煎までする人も。銀杏煎りを使って手網焙煎をしたり、市販の手廻し焙煎機を使う人や、自分で手廻し焙煎機まで作ってしまう人もいます。まめ蔵の店内には、その自作した手廻し焙煎機の試作品が飾ってあります。

そんな、コーヒーの焙煎を楽しむ方が関心を持ちそうな、『ホーム・コーヒー・ロースティング お家ではじめる自家焙煎珈琲』(著:嶋中 労、旦部 幸博)という本が12月3日に発売されます。コーヒーの焙煎については、『コーヒー焙煎の技術 』(旭屋出版MOOK)や、『カフェ・バッハ コーヒー焙煎の技術』(著:田口護、田口康一)なんてものもありますが、個人が楽しむコーヒーの焙煎についての本は数少なく、貴重かもしれません。

 発行元の集英社インターナショナルの紹介欄には15ページの立ち読みが出来るため、少しだけ読んでみると、こんな一文があります。『もしあなたが焙煎未経験で、コーヒーのことをもっと知りたいと思うなら、実際に自分で何度か焙煎してみることを強くお勧めします。抽出に比べてハードルが高いことは否めませんが、自分で焙煎して初めて見えてくる「コーヒーの一面」が、抽出して初めて見えることよりも、遙かにたくさん存在するからです。』。

 確かに、焙煎してみて初めて分かることや、もっとコーヒーのことを知りたくなりますからね。私もお客様が焙煎に興味を持っていそうだと思ったら、「こんな銀杏煎りでも焙煎できますよ。」とお勧めしています。そして、公民館講座などでも参加者に体験してもらうように、出来るだけカリキュラムの中に取り入れるようにしてきました。実際に体験してもらうと、「わ~、色が変わった!」、「煙が出てパチパチいってる!」とか、みんな楽しそうですから。

この本の中には、コーヒー焙煎のセミプロたちも登場してくるようです。目次を見てみると、「先達たちの作法」という頁で、十文字美信、小山伸二、鳥目散帰山人、白井了といった名前が登場します。私がお客様にお勧めしている「焙煎を楽しむ」といった領域とは異なる、彼ら独特な世界観を持っている人達のため、憧れを持つのは良いのですが、あんな風になろうとは思わないことです。「1.実践 手網・フライパン」、「2.お家焙煎の科学」といったところを読んで、よりコーヒーを楽しんでもらいたいものです。(まだ、そこの頁は読んでませんが) 

ちなみに、お家ではじめる自家焙煎珈琲をお勧めしていても、そのお客様も時々コーヒー豆を購入しに来店されます。だから、そんなことしたら商売にならないんじゃないかと思われるかもしれませんが、意外にそんなことはないのですよ。不思議なもので。