耳で焙煎する珈琲

今年512日に、日本サスティナブルコーヒー協会主催の「Challenge Coffee Barista」という、障がいのある方たちのバリスタコンペティションが行われました。参加チームの中には焙煎も行っているところもありましたが、埼玉県上尾市には視覚障がい者がコーヒー豆の焙煎を行う、その名も「耳で焙煎する珈琲」がキャッチフレーズのところがあることを知りました。

 そこは、NPO法人みのりが202041日に開設した、視覚障害特化型多機能事業所(就労継続支援B型)である「領家グリーンゲイブルズ」です。点字名刺(名刺に点字をつけます)や音声をテキスト化する文字起こし、農福連携事業やマッサージなどを中心に視覚障害・盲重複障害のある方の活動拠点となっています。

 様々な活動の一つとして、今年に入ってから、車で30分程離れた「アウトドアカフェ山小屋」店長の松本さんに指導してもらい、小型焙煎機を使用してコーヒー豆の焙煎にも挑戦し、81日にはネットショップGGメイドもオープンしました。私のような者でも温度計や排気調整の付いた焙煎機を使い、焙煎時間やコーヒー豆の色、香り、ハゼ音(豆が弾ける音)を目安に焙煎しており、聴覚を研ぎ澄まして豆の合図だけを感じながら判断するのはちょっと自信がないと思ってしまいます。

 NPO法人みのりの代表理事が作った「僕らは耳で焙煎する」というキャッチフレーズに刺激を受け、誇りを持って仕事に向き合うようになり、技術を高めていったといいます。何度も試飲して納得できるものを商品にしているとのことですが、一度、どのように行っているのか見てみたいものです。

しかし、実際に見ることができませんので、耳で焙煎する珈琲を取り寄せてみました。注文したのはドリップバッグの飲み比べセット1000円(送料込)です。ブラジルのブルボン・アマレロ、グアテマラ、タイ、ペルー4種類で、ドリップバッグの包装紙には「僕らは耳で焙煎する」と大きく表示され、袋の両面に点字が付いており、賞味期限が短く設定され中々良心的だという印象です。ハゼ音で判断することから、2ハゼ以降の深煎りを予想していた通り、試飲したグアテマラは濃い目のコーヒーに仕上がっていました。

 実際に取り寄せて感じたことは、通販サイトに代金徴収方法が明記されておらず、クレジット決済もできませんでした。先ずは注文内容をメールで送信すると、翌日に代金先払いのための口座番号が案内されます。翌日に銀行から送金してメールで連絡すると、その翌日に入金確認が出来たことと、商品を発送する旨の案内メールがありました。ただ、送付方法が普通郵便扱いのため、土日に配達されず月曜になってしまうため、結局、最初に注文してから商品が届くまで一週間以上経過しました。Amazonでの利用が慣れている私にとっては、非常に遅いというのが正直な感想です。 

 そんなことを思いながらコーヒーを飲んでいると、耳で焙煎するではないですが、生豆をかじって焙煎度を決め、煎り止めまで豆を見ない人が居ることを思い出しました。