西尾市までドライブ

緊急事態宣言解除を受け、定休日の今日はちょっと遠出をし、愛知県西尾市にあるフレーバーコーヒーまでドライブです。目的は抽出器具を買うためで、少しばかり加工時間が必要なこともあって、開店時間の30分前に店に着くと、案の定「準備中」の札がかかっておりました。

準備中であっても、店主の中川さんが店にいることは分かっていたので、意に介せず「おはようございます!」と引き戸を開けます。すると、案の定、黒のズボンとワイシャツ姿という定番のスタイルで、何事かといった様子で現れました。

「〇〇〇が欲しいんです。」(私)、「表向きは販売してないんです」(中川さん)、何か違法な取引をしていそうですが、欲しいのはコーヒーを淹れるための器具です。どうやら、メーカーが生産していないために在庫商品のみとなり、数が少なくなったのでホームページの商品欄からも外したそうなのです。そうとは知らず、ホームページも見ずに直接来店してしまった私に、電動工具を使って、「ギュイ~ン」、「ギーコ・ギーコ」、「キュッキュッ」と抽出器具を完成させ、手渡していただきました。

一見して珈琲屋とは思えない作業場のある光景は、中川さんのフレーバーコーヒーならではです。コーヒーに関する道具を自作したり、理論的な知識を確かめるための器具を作成し、検証する場でもあるフレーバーコーヒーという存在は、全国探しても他にはないかもしれません。また、そうした器具や検証過程をホームページや動画で紹介しているため、私自身も大変参考にさせていただきました。

ただ、参考にするならともかく、中川さんが考案した器具や検証過程をまるで自分が考えたように披露する珈琲屋さんもいます。いわゆるパクリなんですが、メディアに取り挙げられやすい都市部の珈琲屋さんの中には、「私が考えました。」といった感じで利用する方もいますし、実際、私自身も目の前で「〇〇式です」と言って、自分の名前を付けていることろを見たことがあります。さすがに、「それって松屋式じゃん!」とは言えませんでしたが、やり得的な矛盾も感じました。

そうした稀有な存在でもある珈琲屋の中川さんを、世の中にもっと認知してもらいたいという人もいるようですが、どうやら本人はそんなことはお構いなしといった感じです。30年以上続く店舗についても、「リニューアルしないんですか?」と尋ねると、「いっぱい棚に詰め込んだ物を移動させられないでしょ。」と話す姿を見ると、ハイセンスで小奇麗な店舗の中で、工作機械で遊ぶ中川さんを想像できないし、中川さんらしくないと思えてきます。 

年に一度くらいしか訪問できないフレーバーコーヒーですが、必ず行きたい珈琲屋さんですね。