生協の秋刀魚

秋の味覚の秋刀魚ですが、今年も残念ながら水揚げ量が減って、またもや高値となりそうだとニュースで流れていました。そんな折、妻が生協で購入した新物の冷凍秋刀魚を食べることになり、久々に七輪を使って焼くことになったのです。

 両面こんがりと焼きあがった秋刀魚は、見た目にも細く脂がのっていないため、炭火に落ちた油も少ないことから白い煙も目立たず、近所迷惑の心配も要らないほどです。大根おろしと醤油で美味しく食したものの、何か物足りない感じがします。

 いつものようにガスコンロのグリルで焼かず、わざわざ炭を熾し、庭先で秋刀魚を七輪で焼く光景は、私が子供の頃にはどこでも普通に見ることができました。しかし、今では特別な行為になってしまったようです。時短やお手軽がモテはやされるご時世に、団扇で七輪の火を調節するのどかな一時も悪くなないと思うのですが。

そんな、旬な秋刀魚と栗ごはんを食べながら、御殿様が「秋刀魚は目黒にかぎる!」と言ったように、「秋刀魚は生協にかぎる!」と言いたいところでしたが、今回ばかりは残念ながら言えません。丸々と太った秋刀魚を早く食べてみたいものです。

ところで旬といえば、「コーヒーにも旬がありますか?」と以前に質問されたことがあります。世界70か国以上で生産されているといわれるコーヒーですが、収穫時期は亜熱帯地域では年1回、熱帯地域では場所によって年2回の収穫があります。収穫時期のタイミングに食するのが旬だとすれば、コーヒーは収穫後に一定期間倉庫で寝かせるうえに、日本まで運ばれる輸送期間を考えれば、本当の旬ってのは何時になるんだろうかと思ってしまいます。まあ、現地で飲むのが一番新鮮なんでしょうね。

でも、飲み頃を“旬”だと考えれば色々な時期がイメージできます。コーヒーは生鮮食品だと言う人からすれば本年度に収穫した新豆のニュークロップだろうし、焙煎に拘る人は焙煎したてがいいと言うでしょう。でも、嗜好品であるコーヒーですから、何年も生豆を倉庫で寝かしたエイジングされたコーヒーが好きだと言う人もいますし、焙煎後2週間後くらいがトゲガ無く落ち着いているから好きだという人もいます。人により飲み頃というのは異なるものです。大切なのは、その人がベストだと感じる時に飲むのがいいのです。そこには、他人様や珈琲屋による指図は無用なのは確かです。単に情報さえもらえれば。 

先日、体重が気になり始めて食事には気を付けていたものの、旬な食べ物には理性を失いがちです。天高く馬肥ゆる秋とならないよう注意せねば。