3分で読める

 岐阜県への緊急事態宣言発出を受け、自分なりに出来ることをしようと始めた時短営業です。当然、時短した時間が暇になる訳で、Amazonnプライムで映画を観たり、いくつか本を読み返しております。その中の1つが、『3分で読める!コーヒーブレイクに読む喫茶店の物語 』(宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)です。

 宝島社の「このミステリーがすごい!」編集部による短編集ですが、この本を最初に手に取った際、「何か変だな?」と違和感を感じます。自分が同じようにカウンターに座って読む姿が、表紙のイラストに似てはいるものの、店内の配置がおかしいのです。厨房側のドアがステンドグラスになって、裏口ドアというよりお客様入口ドアにしか見えません。それに、コーヒーカップが並ぶ食器棚も客席側に配置され、とても実用的ではありません。

 さらに裏表紙には、『コーヒーを片手に読みたい、喫茶店にまつわるショートショート・アンソロジー。“チーム・バチスタ”シリーズの田口先生が喫茶店を開く?「『愚痴喫茶』顛末記」海堂尊。喫茶店で大好きな彼に別れ話を切り出される「フレンチプレスといくつかの嘘」岡崎琢磨。誰もが試したことがあるのでは? あのおみくじ器が主役の「おみくじ器の予言」佐藤青南など。3分で心揺さぶられる物語、25作品を収録。』と、人気作家をごちゃ混ぜにした内容に統一感なし、おもくじ器なんぞ試したことなしの、読む前から期待薄でした。

 案の定、一話3分で読める筈もなく、複数の作家が喫茶店という舞台の設定で描くため、一人の作家がショートストーリーを描くのと違って、どこか内容や背景が似通っている部分が存在し、読んでいるのか読まされているのか分からなくなりました。まあ、実際には起きる筈もないストーリーが小説なのですが、現実の喫茶店では、ショートストーリーでは語れない長編物語が結構あるのです。 

 まあ、非現実の時間に想像力を膨らませるのも悪くないものです。さて、焙煎を始めますか。