インペリアルコーヒースタウト

中日新聞の地方版に、昨年の豪雨で倒れてしまった、瑞浪市大湫宿の御神木を香りづけに使用したというクラフトビールが、釜戸町の工房で本日発売されるという記事が載りました。その誌面を見た瑞浪市に住む姉夫婦が、以前、私が「カマドブリュワリーに行ったけど、完売で買えなかった。」と言っていたことを思い出し、車で数分の場所にある醸造所に出かけ、わざわざまめ蔵まで届けてくれました。

 クラフトビールは3本セットのもので、PI-NE-IPA(パイナップルヘイジーIPA)(730円)、大湫大杉エール(600円)、窯焚物語~第3楽章~寝落ち インペリアルコーヒースタウト(800円)です。私が珈琲屋をやっているということもあり、インペリアルコーヒースタウトが入ったセットを選んでくれました。

 コーヒーフレーバーのクラフトビールは、「窯焚物語」シリーズとやらで、これまで第一楽章:着火の儀、第二楽章:窯焚きセッション、第3楽章:寝落ち、第四楽章:霞む稜線と名付けられた三作目になります。添えられた説明書きには、『コーヒーの香り高さを引き出しつつ、スッキリとした味わいと、甘みが絶妙なバランスのインペリアルスタウトです。コーヒーのアロマに包まれ、寝落ちしそうに心地よい時間を…。』とあります。ほぼ下戸の私は一口飲めば寝落ち確定です。

 続いての説明では、『夜も更け酔いが回り眠気がよぎったところで「コーヒーでも」と器に注がれた黒い液体。薫り高いアロマに少々の癒しとカフェインに覚醒・・・するはずだったのだが様子がおかしい。酔いは醒めるどころか深くなり、激しい眠気まで襲ってくる。「何かおかしい・・・。」見ればコーヒーを注いでくれた男は深い眠りに落ちている。大事そうに抱えるボトルにはしっかりと「インペリアルコーヒースタウト」と書かれているではないか。飲みすぎには注意されたし。』一口飲めばお酒だって気付くワ!

 インペリアルスタウトとは、19世紀にイギリスから帝政ロシアや北欧、バルト諸国に輸出されていたことからその名がついたビールです。海上輸送期間中に傷んでしまうのを防ぐため、高めのアルコール度数と濃厚な味と香りに仕上げているのが特徴で、このビールも8%とほぼ下戸にはキツイ。

 一般的に、スタウト(黒ビール)を作る工程には、麦芽を一旦80度前後の熱風で乾かして成長を止める「焙燥」を行い、その後、100度以上の高温で麦芽を焦がす「焙煎」を行います。その際に、コーヒー豆を焙煎した時のような香りが付くといわれていますが、このクラフトビールには原材料にコーヒー豆と書かれてありました。どうやって着香しているかは不明ですが、確かにコップに注いだビールは黒くてコーヒーの香りがします。 

 ほぼ下戸には8%というアルコール濃度、そして強い苦味、正直「美味しいです」と言えないインペリアルコーヒースタウトを、妻にも協力してもらって何とか一瓶空けることができました。同時に、目眩のように目が回ってリビングのソファーに横になり、30分程眠りにつきます。まさに、「酔いは醒めるどころか深くなり、激しい眠気まで襲ってくる。」状態になります。ただし、「何かおかしい・・・。」どころか、「やっぱり、こうなるんかい!」と、お酒の飲めなくなった自分自身を慰めるのでした。