霜害(そうがい)

 妻の実家は加茂郡白川町です。白川茶の産地として有名で、妻の実家の周りの斜面にも茶畑は多く存在します。茶畑の所々には、霜害(そうがい)を防ぐために背の高い扇風機が設置されているのが見えます。霜害とは、茶葉の表面が0℃以下になったとき、空気中の水蒸気が直接凍る昇華現象によって発生した霜により、葉が-2℃以下に冷やされて葉の生育が遅れたり、枯れてしまったりすることです。

 植物の80%以上が水でできているといわれ、特に茶葉の新芽には水分量が多いため、収穫前に霜害にあうと収穫できなくなってしまうのです。そのため、地面から離れた上部の暖かい空気を地表に送風し、温度の低下を防ぐために扇風機を回して防いでいるのです。

 そんな霜害が、世界一のコーヒー産地であるブラジルで発生したというWebニュースを見ました。それによれば、ブラジル産アラビカ種の7割を生産するミナスジェライス(Minas Gerais)州の主要農園が、720日の早朝に発生した降霜により、落葉を招いたり若木を枯らしたといいます。南半球のブラジルは冬のピークに向かうタイミングですが、霜害が起きるのは、通常6月から7月初めで、今回はかなり遅いようです。また、雪が降らないブラジルのはずが、南部では降雪があったそうですから、やはり気候変動が大きく影響しているのかもしれません。

 生豆商社からのメールでも、『霜による被害は、コーヒーの木の葉や茎が焼けたようになってしまい、2021/22クロップのコーヒーチェリーの収量に影響するだけでなく、2022/23クロップ以降へも影響を及ぼす可能性がある点が問題となります。新型コロナウイルスに対するワクチン接種が行きわたることで、世界的なコーヒーの需要回復が見込まれる中、この霜害による供給減により更に大きく需給バランスが崩れることが見込まれています。このリスクを受け、コーヒーの相場が例年になく、非常に大きく反応しております。当社からの販売価格へ今すぐに影響を及ぼす状況にはございませんが、今後の状況次第で価格改定が必要となる可能性がある点、予めご承知おきくださるようお願いいたします。』とありました。

 コーヒー生豆の価格については、ブラジルの減産期と新型コロナウイルスによる弊害が重なり、既に、アラビカの先物取引市場であるニューヨーク市場では高騰が続いています。さらには、ロブスタにおいてもロンドン市場の先物取引価格が上昇しており、生豆商社の「当社からの販売価格へ今すぐに影響を及ぼす状況にはございませんが」という話も、直ぐに翻されることになるかもしれません。

 コーヒー好きの方は、多少価格が高くなっても飲んでください。コーヒーがあまり好きではない方は、他の飲料に鞍替えしてください。そうすれば、コーヒー好きの方に安定してご提供できるかもしれません。コーヒーは嗜好品ですから。