目立たないスポーツイベント

 今日、723日はオリンピックの開会式のようです。そして、824日~95日にかけてパラリンピックが行われる予定です。障害者スポーツの国際大会としては、パラリンピックの他にデフリンピック、スペシャルオリンピックスがありますが、IOCと協定を結んで開催しているパラリンピックと違い、デフリンピックやスペシャルオリンピックスは存在すら認知されていないのが現状です。

 パラリンピックは、第2次世界大戦後に戦争で脊髄を損傷する兵士が増えることを見越し、英国ロンドン郊外のストーク・マンデビル病院内に脊髄損傷科が開設され、戦後の1948年のロンドン五輪に合わせ、病院内で車いす患者によるアーチェリー大会が開かれたのが始まりです。1960年第1回パラリンピック競技大会ローマ大会(第9回国際ストークマンデビル競技大会)の頃に使用されていたエンブレムには、車椅子の車輪が描かれています。

 現在のパラリンピックでは、国際パラリンピック委員会(IPC)が主催し、肢体不自由・脳性麻痺・視覚障害・知的障害による、身体障害者を対象とした障害者スポーツの総合競技大会となっています。

一方、デフリンピックは、パリで開かれた国際サイレント大会にあるとされています。この大会は、自身も幼児期に聴覚障がい者となったユジェーヌ・リュバン=アルケの主導のもとに行われました。フランスでは、1918年フランスろう者スポーツ連合(FSSF)が創設され、もともと健聴者とろう者が一緒に、レスリング、ボクシング、体操競技、自転車競技が行われており、そうした活動に一層の弾みをつけるために国際大会が開催された経緯があります。

そして、スペシャルオリンピックスは、1962年に故ケネディ大統領の妹ユニス・ケネディ・シュライバー夫人が、自宅の庭を開放して開いたデイ・キャンプが始まりと言われています。知的障害があるために、まだ一度もプールで泳いだり、トラックを走ったり、バスケットボールをしたことがない人たちにスポーツを提供することを願って始められました。

パラリンピックやデフリンピックが世界中からのアスリートが集まり、それぞれの分野で金、銀、銅を競う世界的な競争である一方、スペシャルオリンピックスは、毎日、世界中で開催されます。ここでの目標は、パラリンピックのような競技ではなく、あくまでも参加です。知的障害のある人たちに様々なスポーツトレーニングとその成果の発表の場である競技会を、ボランティアによる運営と善意の寄付によって非営利で行われるのです。そんな日常的な活動から「スペシャルオリンピックス」と複数形で表されています。 

ちなみに、デフリンピックは今年125日~21日にブラジルのカシアス・ド・スルにて開催予定でしたが、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、202251日~15日に延期されることが決まっています。コロナ禍の日本で開催されるオリンピックにちなみ、目立たないスポーツイベントにも目を向ける良い機会になればと、コーヒー豆を焙煎しながら思うのでした。