レギュラー

 時々、お客様に注文内容を伺った際、「レギュラーで。」とお答えになる方があります。そんな時にも、「お店のコーヒーは全てレギュラーです。」などどツッコまず、「ブレンドでよろしいですか?」と答えています。

 そもそも、この「レギュラーコーヒー」という和製英語、regular coffeeがあるなら、irregular coffeeがあってもよさそうなものの、レギュラーコーヒーの対になるのがインスタントコーヒーな訳で、いったいどのような経緯で作られた言葉なのでしょうか?

 一応、「レギュラーコーヒー及びインスタントコーヒーの表示に関する公正競争規約」の22項には、この規約において「レギュラーコーヒー」とは、コーヒーノキの種実を精製したコーヒー生豆(以下「コーヒー生豆」という。)を焙煎したもの(以下「煎り豆」という。)及び煎り豆にコーヒー生豆を加えたもの並びにこれらを挽いたものをいう。とあります。

続いて3項には、この規約において「インスタントコーヒー」とは、煎り豆又は煎り豆にコーヒー生豆を加えたものから得られる抽出液を乾燥した水溶性の粉状、顆粒状その他の固形状のものをいう。とあり、さらに4項で、この規約において、レギュラーコーヒーとインスタントコーヒーを混合したもの及びインスタントコーヒーの製造工程における抽出液にレギュラーコーヒー粉末を混合して乾燥させたものは、最終製品の重量百分比率で、レギュラーコーヒーの割合が多いものは「レギュラーコーヒー」、インスタントコーヒーの割合が多いものは「インスタントコーヒー」とみなすものとする。とあります。

ですから、レギュラーコーヒーの中にもインスタントコーヒーが含まれている場合もあり、「レギュラーで。」とお客様から注文があった場合は、少しだけインスタントコーヒーを混ぜても良いことになります。もっとも、そんなことはしませんが、世の中にはロブスタを一定量ブレンドしたレギュラーコーヒーは多いので、「レギュラー」はどこがレギュラーなのか分からないものなのです。

ちなみに、regular coffee という表現は英語にもありますが、その意味するところは英語圏でもまちまちのようです。場所によっては、「砂糖やミルクを適量加えたコーヒー」、「砂糖もミルクも加えないブラックコーヒー」、「カフェインレス加工(decaf)していないコーヒー」と複数の意味を持つことがあり、安易にregular coffee という表現は使用しない方がいいみたい。 

一応、まめ蔵のメニューにはレギュラーコーヒーってのは無いんです。