再びコーヒーサロン

313日に、「第54回コーヒーサロン コーヒーで読み解くSDGs」(主催:コーヒーサロン、日本サステイナブルコーヒー協会)が、ZoomYouTubeによるオンラインで開催されました。ただし、17日に「コーヒーで読み解くSDGs」という本が出版されることによる出版記念講演みたいな内容で、「ネタバレしないように。」といった気持ちが働いてか、消化不良を感じさせるものだったのです。

そして、64日に「第55回コーヒーサロン」の案内メールが届きます。メールには、「今年3月に開催された第54回コーヒーサロンでは『コーヒーで読み解くSDGs』を巡って多くのご質問が寄せられました。そこで、今回のコーヒーサロンでは著者の3人がご質問にお答えすることにしたいと思います。質問は事前に受け付け、著者がそれらを整理してまとめてお答えする形にしますので、質問がある方は参加申し込みの際に一緒に質問もご記入ください。」とありました。そこで、619日の16:0017:30まで、Zoomに参加したしだいです。

質問に対して個別に答えるものではなく、「まとめてお答えする形」とあって、あらかじめ段取りよく仕込まれており、最初に池本先生から「アマルティア・セン『正義のアイデア』」(池本先生翻訳)の説明から始まります。先験的制度尊重主義といって、「正義とは何か」を議論するよりも、「少しでも正義にかなうことをやっていく」方が現実的である。「地球に良いこと」を絞り込んだ結果が169のターゲットなのだから、SDGsが完全でないと批判する人たちは、このことを理解していない。全てに合意できるまで、待つ必要はない。

こんな感じで冒頭に釘をさされると、「ごもっともで。」となりそうですが、逆にいえば、このSDGsが完全でないと考えている人が多いことを表しているようです。私自身も懐疑的な意見を持つひとりであり、その理由の一つとして「少しでも正義にかなうことをやっていく」、その「正義」こそが、多くの企業においては、著者の3人や、このコーヒーサロンを視聴する人達とは異なることに危惧しているのです。企業の正義は、市場の大きなウエートと占める中においては、ときとして、「地球に良いこと」ではないものでも正義とされてしまうことがあるということです。

本来、「正義」を論ずるに際して、「正義」とは何かの明確な定義がなされていないことに問題があると思うのですが、現実社会においては「正義」を論ずることさえはばかられることもあります。だからこそ、全てに合意できるまで待つ必要はなく、SDGsの目標が達成されるような知恵が必要になってくると思います。

MDGsが未達成になってから、途上国からSDGsの発想が生まれたそうですが、先進国では自分たちの目標ばかり気を取られ、「目標とターゲットがすべての国、すべての人々、及びすべての部分で満たされるよう、誰一人取り残さない」、このことを忘れているため、途上国は置き去りになったままになるのではないか?そこが一番心配することです。 

コーヒーを通じてSDGsを知ることになった者として、正しく伝えることが役割だと考えています。足らない脳みそを使って、自分の言葉で。珈琲屋として。