コーヒーの花

コーヒーの花を見る機会は少ないと思いますが、名古屋市守山区にある東谷山フルーツパークの「世界の熱帯果樹温室」にはコーヒーノキもあり、コーヒーの花の開花やコーヒーの実を見ることが出来ます。私はハワイのコーヒー農園でも見たことがあり、ジャスミンの花のような白く5弁の花で、香りもジャスミンそっくりだった印象があります。

 ところが、『現代化学 7月号』(発行:東京化学同人)の「Café Chimique」のページでは、旦部幸博氏がコーヒーの花の香りについて、ジャスミンとは異なる成分であると述べています。確かに、ジャスミンはモクセイ科ソケイ属に分類されているつる性植物の総称であり、コーヒーノキはアカネ科コーヒーノキ属に属する植物の総称ですから、別の植物であることを考えると頷けます。

 ジャスミンの花の香りに似たフェニルアセトニトリル(シアン化ベンジル)は、コーヒーの花の香りの32%を占めており、ジャスミンの人工香料にも使われているとか。さらには、ドラッグ製造にも悪用可能なんてことを知ると、なんだか特別な感じでコーヒーの花を見ることになりそうです。

 ちなみに、ジャスミンの花言葉は「愛想のよい」「優美」、コーヒーの花は「一緒に休みましょう」と、それぞれの意味合いも異なるようです。似ているようで違う事って多いことを、また一つ発見したしだいです。

 この雑誌は研究者向けのようで、人工知能から昆虫食まで幅広い分野が網羅されています。私のような無知な者でも興味を引く内容がありますが、一つの項目に割かれるページが少なくて物足りなさを感じます。でも、「もっと知りたい」といった探究心は、私でも生まれる面白いものでした。

 中でも、「アカンボウが降ってきた」(下岡ゆき子)は、クモザルの子供が木の上から落下した事例が、授乳しているメスが次の子を妊娠できないため、オスがアカンボウを殺すことでメスを早く妊娠可能な状態にする「子殺し」であるとか、人間界でもありそうな内容ではないですか。

 気楽に読めるのが、漫画「世界で一番美しいウイルス事件簿」です。肝心なところで9月号につづくとなって残念ですが、犯人はサルモネラか?カンピロバクターか?それともO-157?でも、細菌じゃなくってウイルスとなるとなんだろう? 

 コーヒー繋がりで偶然読んでみた雑誌でしたが、自分から入り込まない分野を楽しむことが出来ました。(たまには良いものです)