串ういろう

 先日、お客様から差し入れで頂いた「串ういろう」の味が忘れられず、犬山市にある創業90年の老舗和菓子専門店「大野屋」へ行ってきました。一般的な長方形の箱に入った「ういろう」もあるのですが、一口サイズにカットした「ういろう」を串に刺した「串ういろう」は食べやすく、丁度良い大きさです。

 もっちりとした食感に、ほのかな甘さが口に広がる「ういろ」ですが、現在の店主が継ぐ前の製造法は充填機とスチーマーを使用したものでした。先代から引き継いだ店主から、蒸篭を使用した「ういろ」を復活させ、愛知県産の米粉を使用し、2時間以上蒸すことで独特の食感を生み出すそうです。

 差し入れしてくださったお客様は、「昔から串に刺したういろうがあったよ。」と言っていましたが、「串ういろう」は犬山市の観光協会とタイアップした商品だそうで、「もう10年くらい前からでしょうかね。」と、お店の方は話してくれました。「串ういろ」のように食べやすい形状にすることで、従来の切って食べる手間をなくし、街を散策しながらでも食べられる手軽さがウケ、子供からお年寄り、女性にも可愛くて綺麗、食べやすいと好評だそうです。

 他にも美味しそうな和菓子がありましたが、「珈琲わらび餅あります。」という文字につられて一緒に購入してみました。フレッシュをかけてコーヒーゼリーのように食べるのですが、わらび餅特有の食感にほんのりコーヒーの香りが口の中に広がります。 

 「ういろう」は岡山、名古屋、小田原、伊勢など各地の名物になっています。けれど、米粉と砂糖というシンプルな材料にも関わらず、意外と個性あふれる和菓子です。個人的には、「串ういろう」がお気に入りになりました。