今年の食品衛生責任者講習会

 毎年、多治見食品衛生協会により食品衛生責任者講習会が5月前後に開催されていますが、昨年はコロナ禍ということもあって9月に延期され、なおかつ、講習会を行わないで検便の提出と講習会資料を受け取り、後日、理解度をアンケートに回答する形式になりました。

 今年も県独自の非常事態宣言を発出中のため、再び延期されるのかと思いきや、コロナ慣れもあってか先日行われました。ただし、昨年同様に検便の提出と講習会資料を受け取るだけの内容です。岐阜県食品衛生協会では、集合研修ではないeラーニング方式講習会を試験的に導入予定だそうですが、多治見地区は令和5年度になるとか。今回は理解度のアンケートもないですから、資料も見ないで仕舞い込んでしまう人も多いのではないでしょうか。

 食品衛生責任者講習会資料には、毎回必ず食中毒への注意喚起が中心です。ところが、今回の資料には特集として、「営業許可・営業届出制度」と「HACCPに沿った衛生管理の制度化」が取り上げられています。

HACCPについては以前にも触れている通り、Hazard Analysis and Critical Control Pointの略で、直訳すると「ハザード分析と重要管理点」となるでしょうか。食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因(ハザード)を把握した上で、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、それらの危害要因を除去又は低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようとする衛生管理の手法です。

 このHACCPは、飲食による健康被害の発生を防止するための法律である「食品衛生法」が2018年に改正された際、食中毒対策の強化やリコール情報の報告義務化などと並び、改正内容の1つとしてHACCP義務化が盛り込まれたのです。20206月から施行が開始され、一年間の移行期間を経て20216月からは完全に義務化になるため、各事業者は期限内に制度の導入を行っているかの注意喚起ということでしょう。

 営業許可・営業届出制度については、営業許可制度の見直しと営業届出制度の創設になります。これまで、食品衛生法第52条の規定によって、公衆衛生に及ぼす影響の大きい営業として、飲食店営業をはじめとした34業種については都道府県知事の許可が必要で、それ以外は一部自治体の条例で届出が必要ものと、不要のものだけでした。それを見直して、営業許可の必要な32業種に再編し、温度管理が必要な包装食品の販売業、冷凍冷蔵倉庫業等の届出が必要な業種、常温で保存可能な包装食品のみ販売で届出対象外といった、衛生管理の面から区別されるようになります。

 具体的には、飲食店営業と喫茶店営業が統合されて飲食店営業となり、氷雪販売業や弁当販売業には新たな営業届出が必要となりました。また、営業届出が必要なものにコーヒー製造・加工業が加わったのです。まめ蔵のような自家焙煎珈琲店では、焙煎したコーヒー豆を包装して販売しており届出が必要になります。ただし、豆売りを行わないで店内で抽出して消費する場合は届出が不要なのです。 

 そんな訳で、早速、岐阜県のホームページから営業届出用紙をダウンロードし、6月からのスタートに合わせて準備をしておきました。一応、パソコン等を利用した食品衛生申請等システムもあるのですが、書面にしておくと事前に届出内容を把握できます。面倒なのは、コーヒー焙煎用HACCPの実施記録も加わるので、飲食、製菓と3種類を記録しなければならないことです。