マンボウ

 我が家の庭には桃の花が咲き、ラッパ水仙も満開となり、まめ蔵の花壇には昨年秋に妻が植えたチューリップが咲き始めています。そんな暖かな春の陽気に厚生省官僚も気が緩んだのか、職員23人が午前0時近くまで送別会を開いていたことが明るみとなり、ほかにも3月下旬に2部署で、政府が自粛を求める5人以上の会食を開いていたことが明らかになりました。

最近、気になっている言葉に「マンボウ」というのがあります。緊急事態宣言の解除の決定に伴って開いた記者会見で、諮問委員会の尾身茂会長が「マンボウ」と何度も発言したことから、マスコミや政治家が「マンボウ」、「マンボウ」と使い始めました。「マンボウ」とは「まん延防止等重点措置」のことですから、のんびり海に泳ぐマンボウを連想してしまい、新型コロナウイルスに対する警戒感が薄くなってしまっていると感じてしまうのです。

 「まん延防止等重点措置」は、緊急事態宣言が都道府県単位で出されるのに対し、この重点措置は、政府が対象とした都道府県の知事が、市区町村など特定の地域を限定することができるものです。・従業員への検査受診の勧奨・入場者の整理・発熱などの症状がある人の入場の禁止・入場者へ感染防止のための措置の周知と、それを行わない人の入場禁止などの処置が可能になり、それこそ蔓延している地域に限定して集中し対策を講じるものなのです。

 それを、「まん防」や「マンボウ」と称されることに緊張感がないと違和感を覚えるのは私だけではないように思うのですが。キチンと緊張感を持って正しい情報を伝えることを政府もマスコミを忘れているようです。揚げ足取りのマスコミも罪は重いのです。 

 ちなみに、海に泳ぐ「マンボウ」は2015年、国際自然保護連合(IUCN)から絶滅危惧種に指定されており、昨年には、疫病退散を願って描かれたという江戸時代のマンボウ木版画が和歌山市立博物館に展示されていました。この「マンボウ」騒ぎで、和歌山市立博物館の3月19日ツイッターには、『緊急事態宣言の解除後は「マンボウ」を発動することもあるようですが、「マンボウ」とはまん延防止等重点措置のことで、当館の「疫病除けマンボウ」のことではありません。 当館の「疫病除けマンボウ」は一旦役目を終え、21日に収蔵庫へ戻ります。』とありました。

 正しく伝えなきゃ!